京漬物近清の九代目日記

毎日、お店や九代目の周りで起こった事、九代目からのお知らせ等を日記形式でお伝えしていきます。

黒服繁盛記

2008年02月11日 | Weblog
ホールも担当するようになり、いよいよ水商売にどっぷり浸って行ったんですが、慣れるにつれ余禄が付いてきます。

まあここからが水商売の醍醐味と言うかおいしさです。

先ずその一つは、お馴染みさんに可愛がってもらうようになるとチップがもらえます。

このチップも色んなパターンが有って「おい、君、×××(煙草名)有る?」って珍しい銘柄で通常置いてない物を頼まれると即、買いに走りますが、お客さんは大体千円札渡して二箱買ってきてよ!と言うパターンが多いです。

当時煙草は大体一箱120~180円、洋もくで250円くらいでしたが、取りあえず買いに行くと数百円お釣が出来ます。

「買って来ました」って煙草とお釣を渡そうとすると「いいよ!小銭じゃまやから、チップ、チップ!とっとけよ!」って感じで多い日は一晩2千円位になる時も有りました。

次回からはそのお客様の予約が入るとその銘柄の煙草を予め揃えて置き、「煙草!」って言われると「はい、××さんのお煙草はちゃんとご用意して有ります」と直ぐに持っていくとお客さんの機嫌のいい時は5百円~千円のチップがいただけます。

まあたくさんのお客様の中には変わった人もいて変な趣味じゃなく若い男の子と話したがる人もいます。

物分りのいい常連さんに限るのですが、ホステスさんがトイレや電話で席を急に外さなければならず、更に店が満席でホステスさんが足りない時は穴埋めに僕らがほんのちょいの間、お相手します。

その時に音楽やスポーツの話でたまに盛り上がる事が有るのですが、女の子が帰ってきても「まだちょっと話の続き有るんでこの子おいといてよ!」っていわれるケースも有りますが、基本的にはどんなに長くても
10~15分のお相手がまあ限界でした。

ただそんなケースのではホステスさんは仕事が楽なような居場所が無いような変な感じのポジショニングになるので、僕も居心地が悪く、そわそわすると常連さんもそこは名うての遊び人。

「あんまり男の子と話し込むとホモと間違われてしまうな~、ごめんねみゆきちゃ~ん、僕が好きなのは君だけだよ!」って女の子に上手に甘えその場を取り成して下さいます。

後でそのホステスさんに謝りに行くと「いいわよ~お陰で来週の同伴の約束とったから、今日アフター無ければ夜食食べに連れて行ってあげる!」って全てが上手く行く時もたまには有ります。

ちなみにアフターってえのは、ホステスさんがお客さんと店の営業時間終了後、ご飯食べに行ったり飲みに行ったりする事で、まあこれで変な関係に発展する事は滅多に無いんですが、ホステスさんも色々と困った時には頼りになる客を確保する為、少し上手に甘える、まあ課外営業活動って感じです。

またタバコ以外でも小遣いをくれる常連さんが何人かおられました。

接客のイロハですが、お一人様の時も、しっかりとそれなりにおもてなししますが、接待の際は、店サイドの接客にもっとも気合が入ります。

接待で店を使って貰うって言うのは、漬物屋の商売で言うと結婚式の引き出物、内祝い、お中元、お歳暮に使って貰う、料理屋だとおせちの注文を貰うってえのと同じくらい名誉な事です。

お客さんの一番信頼する、そして最も見栄えのするお店って証ですし、確実に売り上げが立ち、副産物として接待を受けるお客さんを新規のお客さんに引っ張る大チャンスとなります。

反面、接待時は必ず予めお客様から時間や人数、どのくらいの持てなしレベルかの連絡も入っていますし、キャストもばっちり揃えて置けるので、楽と言えば楽ですが、ちょんぼした時のお客様のお怒りは激しく、大事なお客様を失いかねません。

特に大事なお客さんの場合などは、ママやチーママが早めに出張り、軽いミーテイングと細かい指示が出されます。

そういう時は、精度の劣る僕の情報メモは宝の持ち腐れと言うか、効力を発揮しません。

威力を発揮するのは常連さんの不意の来店、そしてお客さんの業界仲間とか同級生連れって場合にはしっかり役立ちました。

基本的な作戦としては三つの柱、顔馴染みのお客様には徹底的に「お礼」「いつものやつ」「特別に」攻撃に出ます。

「いつもご贔屓に有難う御座います」まあ是は誰にでも言いますが、もう少し付け加えて

「この前のお話は本当に面白かったです、あの後、一頻り××さんの話で盛り上がりました」

「この前のアドバイス有難う御座います、あのアドバイスを参考にしてきっちりといい方向に向かいました、××さんのお話は本当に為になります」

「××さんが来られると、色々な話をお聞きできるので、僕らもほんと楽しいです、また色々と用事を言いつけて下さいね、そうしたらお席に顔出せますんで」

いや~久し振りだな~って入店の時にはお荷物や衣服預かる際、お連れの方にこれ見よがしに「××さんがお見えにならないね~、寂しいねって昨日もみゆきさんんと話していた所です」

特に具体的な面白い話やアドバイス有った訳でなくても、必ず一つや二つは本人に思い当たる節も有るでしょうし、入店時の丁寧でありながら少し馴れ馴れしい接客で、お連れさんにこの方が、このお店のどういうランクなのかを悟ってもらいます。

そしてキープボトルは当然スタンバイしては居るのですが、あえて直ぐに持っていかず、

僕「いつもの通りにご用意させてもらえば宜しかったでしょうか?それとも今日は違う始まりで?」

客「う~ん、いつものでええわ、そやけど最初だけ適当にビール頂戴」

僕「××様のお気に入りなので、いつも常備しておりますサッポロ黒ラベルです」って少し希少なビールを持って行きます。

この位のよいしょで、店仕舞い、後はホステスさんに渡すと、場が暖まっているというか、いい空気になってるので、立ち上がりからスムーズに場が賑わいます。

更にもっと情報が有るお客さんの場合はチャームを、通常なら入る筈の無い、お客さんの好みの抹茶のキスチョコとか西村の衛生ボーロ、山椒のおかきなんかをワザといびつに目立つように盛って出します。

ここで連れの方が乗ってくれたらしめた物「この店、おもろいな~見てみ西村のエイセイボーロなんか入ってるで!?」

ホステスさんも「いつも」の作戦を引き継ぎ「××さんのお好みやから特別にご用意させてるんですよ」

僕はお客さんに喜んで貰うと言うよりも、ホステスさんに始まってママやマネージャーに「この子はよく間に合うわ」って言われたい一心で、お客様メモを作り、常に先手先手ともてなしていくんですが、仲間や友人連れの時には、非常にそのお客さんには嬉しいと言うか、顔が立ちプライドを満たします。

結果、後日チップが手に入るって寸法で、正に一石二鳥でした。

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