除草機のギ~ンというあの音が聞こえてきた。
見れば10人ほどの作業員の方たちが
其々の持ち場の作業をしながら
こちらに向かって進んで来る。
「すみませ~ん」
大きな声でさけびながらそこに向かって走る。
いつもならゴンのひっぱりぐせに
「ゴン足が痛いんだからゆっくりね」などと言っているところですが
「はい。なんでしょうか」
現場の責任者らしき方が応じてくださる。
「お願いがあります。せっかく咲いている野の花たちを
残しながら刈っていってくださいませんか。
こんなにきれいに咲いているのですから」
「いや。それは出来ません。1メートルの幅で刈るという
決まりですので」
「・・・・決まり・・・それがみなさんのお仕事なんですね・・・」
「はい。では」
そんな話をしていた間にも除草機は容赦なく進んでいた。
「ゴン、行こう・・」
いつもの散歩コースの花々はもうすでに全部なくなっていた。
きれいに刈り取られすっきりした沿道。
きれいに咲いていた沢山の野の花。
さっきの方が車で通りかかる。
「まあ、雑草ですからまたすぐ出てきますよ」
「・・・・・」
額にいっぱいの汗。
「お疲れさまです。お気をつけてお帰りください」
(私も少し大人になっているかもしれない)
軽井沢は夏は全ての工事をしない。
騒音をたてないことが決まりとして有る。
だから秋、草刈がはじまる。
グレーうさぎ