「お盆にとんぼが家に入って来た時は
捕まえたりしては駄目なのよ。
亡くなった方達が帰ってらしているのだからね」
子供の頃、そんな風に母が言っていた様な
記憶がある。
だから、さっき入ってきたこの大きなとんぼに
思わず「桂さん!」と呼びかけてしまった。
ずっと電気のコードにとまっているとんぼを見ているうちに
気が付いた・・・・・・・・・・・・・・蜘蛛の糸が ある。
この夏のなんとない目の前の忙しさに上を見る事がなく
忘れていた私にとんぼが教えてくれたのですね。
お掃除をしようと思います。桂さん。
起きて来たM・一郎オーナーに母からきいた話をすると
「桂ちゃん、のんのんぱ。
アリスの丘の木ちゃんのんのんぱ。」
と、とんぼに手を合わせていました。
古き習わしにあわせて一瞬でも心が静まるのは
いいことだなと思いました。
アリスの丘の木ちゃん・・・とは
今、ゴンをつないでいるすぐ前にずっとずっと植わっていた木のことです。
その木にゴンが絡まって絡まってぐるぐる巻きになることに気をもんだ
M・一郎さん、はじめのうちは枝を切り、また、枝を切りしていたのに
とうとう地面すれすれの切り株を残すだけに伐ってしまったのです・・・
なにも木を伐らずともゴンをどこか別の場所に、
と思われたのではないでしょうか?
でも、無かったのです。ここぞと思える良い場所が。
それでM・一郎さん、毎晩桂さんにお祈りする時には
「アリスの丘の木ちゃん」のことも加えているのです。
お盆に寄せて (グレーうさぎ)