きょう、合羽橋と浅草に買い物と用事があって、その合い間に浅草演芸ホールに行った。開演してから10分くらいしかたっていないが、場内は6,7分埋まっている。最近、浅草に人出が多いのは感じていたが、演芸ホールも例に漏れず盛況だ。
お目当ての一之輔は、中入り(休憩)後の15時に登場した。演目は『初天神』で、「何もねだらないから、お詣りに連れてって」と約束した金坊がねだり倒して結局、飴も団子も凧も買ってもらう、という父子愛情?物語だ。
一之輔が演じると、父ちゃん(八五郎)が息子以上にやんちゃで、団子屋や飴屋でやりたい放題をする。あんな父親の姿を見たら、金坊はもともと賢い子なので、分別のある行儀のいい子に育つんじゃないか。
一之輔が扇子をぺろぺろ舐める場面(どこだか言わない)があります。場内のそこここから「えーっ」の声が上がった。扇子をなめるくらいでそんなに驚くこともないのだが、意表を突かれて思わず声が出たのだろう。
その後、漫才落語と続いて、柳家小はんの高座だ。あいかわらず出だしは、声も身振りもカタカタした感じ。5分くらい経過して暖機運転が済むと、いきなり名人の域に到達するから小はんは素晴らしい!きょうは「抜くと、馬が痛がる」がサゲの『馬のす』。前に見た時より枝豆を食う場面が長くなっています。枝豆の茹で汁がチューチューと、莢から出る音まで聞こえます。
『馬のす』は登場人物が二人だけで、場面転換もないというごく軽い噺だが、本寸法の小はんの芸で見せられると格別な満足感を得られる。一之輔といい小はんといい、ライブでなくちゃ見られない芸を披露してくれました。
あと、早い時刻に出てきた春風亭百栄(ももえ)が印象に残った。顔も髪型もオゼキイサムが描く人物にそっくり!そこはかとなく漂うナンセンスな雰囲気も、オゼキイサム・タッチで「お!」と思った。容貌だけでなく、声も語り口も魅力を感じる噺家だ。