9月22日（日）第14回TIAA全日本作曲家コンクール入賞者披露演奏会
日暮里サニーホールコンサートサロン
【曲目】
1．中野恭子／ひ天、約束
Pf:中野恭子/A.Sax:伊多倉潔
2．原島篤史／エレミヤ ―独奏ピアノの為の―
Pf:波形啓晃
3．関根純／"Schiele"for piano solo
Pf:土屋光彦
4．竹藤敏／遠い海の目醒め―4人のクラリネット奏者の為の
カリヨン・クラリネット・アンサンブル
5.河田理奈／光へ ～チェロとピアノのために～、Joy
Vc:矢口里菜子/Vn:長尾春花/Pf:河田理奈
♪ ♪ ♪
6．木村恵理／わらい（詩：金子みすゞ）、わたしと小鳥と鈴と（詩：金子みすゞ）、シドロアンドモドロ（詩：やなせたかし）、林檎畑（詩：金子みすゞ）
S:山田智恵/Pf:木村恵理
7．高島豊／「金子みすゞ 三景」～大漁、積もった雪、花屋の爺さん（詩：金子みすゞ）
Bar:旭潔/Pf:長澤恵美子
8．野村朗／連作歌曲「鳳琳・春」～桔梗の花を…、紫陽花、寒き日なりき、散ることなかれ
Bar:森山孝光/Pf:森山康子
9．吉田和弘／呼応する水面と光、七夕の星たち
S:山下瑞希/Pf:有馬裕子
10．赤岩篤子／道、アカシヤ
S:鳥屋郁子/Pf:赤岩篤子
様々な音楽活動の企画・支援を幅広く行っている一般社団法人東京国際芸術協会が主宰する作曲コンクールの入賞者披露演奏会に、入選作で参加させて頂いた。器楽のソロやアンサンブル作品が前半に、歌曲が後半に演奏されたが、様々なタイプの作品が集まり、聴衆として客席で聴いていてもとても楽しむことができた。
中野さんの作品は、ポップス調の親しみやすい音楽。エレクトーンの講師をされているということで、リズムやコーラスの音源による演奏も加わって、ポップで色彩感豊かな音の世界が聴けた。原島さんの作品は、バロック調の優雅な音楽が変奏曲風に変化しながら、アグレッシブな展開を見せた。
関根さんの作品は、硬質な響きの烈しい前後と静かな中間部から成る独創的な音楽。土屋さんのテンションの高いメタルチックなピアノ演奏も聴きものだった。竹藤さんのクラリネットアンサンブルの曲は、リズム感と流麗な躍動感のあるフランス風の洒落た雰囲気の作品。クラリネットアンサンブルの一人ひとりの「歌」も良かった。
前半最後の河田さんの作品からは、キラキラした光の粒が踊りながら天高く上って行くような広がりと躍動を感じた。どこを切り取っても瑞々しいしぶきが迸るフレッシュな感覚や歌にも溢れ、ドラマ性があり、ワクワクする素敵な世界へと導かれた。現代曲ではないが、独特のオリジナリティーも感じた。伸びやかで嬉々とした表情の演奏も素晴らしく、とても完成度の高い作品発表だった。これはまた聴いてみたい。
後半は歌曲。最初の木村さんの作品は、詩は違うが自分と同じ金子みすゞの曲が3つ含まれていた。とてもメルヘンチックでファンタジーに溢れ、ユーモアも交えた親しみやすい歌で、また違うみすゞの世界に触れることができた。拙作の3曲は、過去に旭さんに何度も演奏して頂いているが、今回も濃厚で熱のこもった歌を聴かせて頂いた。初共演となった長澤さんのピアノは音色や表現のグラデーションを柔らかな感覚で出してくださり、みすゞの内面の世界がじわっと伝えてくださった。感謝！
野村さんの連作歌曲「鳳琳・春」から演奏された4曲は、どれもとてもデリケートで詩情溢れる作品。映画の幻想的なシーンが見えるよう。端正で丁寧な歌唱と柔らかなタッチのピアノがよく調和していた。吉田さんの作品は、1曲目の声楽が入った表現主義的な音楽の妖艶な世界が印象に残った。山下さんのソプラノ歌唱からは色香と熱っぽさが漂っていた。赤岩さんの作品は、懐かしさを感じる優しいメロディーが印象的。歌をとても大切に聴かせる演奏の姿勢にも好感を持った。
出品者は年齢も経歴も様々だが、複数の部門に応募して複数の賞を獲得したり過去にも受賞歴があるなど、このコンクールに熱心に参加している方が多いようだ。そうしたなかに初めて参加させて頂けたことは良い経験になったし、他の方々の作品に触れることで、大変良い勉強もさせて頂いた。
日暮里サニーホールコンサートサロン
【曲目】
1．中野恭子／ひ天、約束
Pf:中野恭子/A.Sax:伊多倉潔
2．原島篤史／エレミヤ ―独奏ピアノの為の―
Pf:波形啓晃
3．関根純／"Schiele"for piano solo
Pf:土屋光彦
4．竹藤敏／遠い海の目醒め―4人のクラリネット奏者の為の
カリヨン・クラリネット・アンサンブル
5.河田理奈／光へ ～チェロとピアノのために～、Joy
Vc:矢口里菜子/Vn:長尾春花/Pf:河田理奈
6．木村恵理／わらい（詩：金子みすゞ）、わたしと小鳥と鈴と（詩：金子みすゞ）、シドロアンドモドロ（詩：やなせたかし）、林檎畑（詩：金子みすゞ）
S:山田智恵/Pf:木村恵理
7．高島豊／「金子みすゞ 三景」～大漁、積もった雪、花屋の爺さん（詩：金子みすゞ）
Bar:旭潔/Pf:長澤恵美子
8．野村朗／連作歌曲「鳳琳・春」～桔梗の花を…、紫陽花、寒き日なりき、散ることなかれ
Bar:森山孝光/Pf:森山康子
9．吉田和弘／呼応する水面と光、七夕の星たち
S:山下瑞希/Pf:有馬裕子
10．赤岩篤子／道、アカシヤ
S:鳥屋郁子/Pf:赤岩篤子
様々な音楽活動の企画・支援を幅広く行っている一般社団法人東京国際芸術協会が主宰する作曲コンクールの入賞者披露演奏会に、入選作で参加させて頂いた。器楽のソロやアンサンブル作品が前半に、歌曲が後半に演奏されたが、様々なタイプの作品が集まり、聴衆として客席で聴いていてもとても楽しむことができた。
中野さんの作品は、ポップス調の親しみやすい音楽。エレクトーンの講師をされているということで、リズムやコーラスの音源による演奏も加わって、ポップで色彩感豊かな音の世界が聴けた。原島さんの作品は、バロック調の優雅な音楽が変奏曲風に変化しながら、アグレッシブな展開を見せた。
関根さんの作品は、硬質な響きの烈しい前後と静かな中間部から成る独創的な音楽。土屋さんのテンションの高いメタルチックなピアノ演奏も聴きものだった。竹藤さんのクラリネットアンサンブルの曲は、リズム感と流麗な躍動感のあるフランス風の洒落た雰囲気の作品。クラリネットアンサンブルの一人ひとりの「歌」も良かった。
前半最後の河田さんの作品からは、キラキラした光の粒が踊りながら天高く上って行くような広がりと躍動を感じた。どこを切り取っても瑞々しいしぶきが迸るフレッシュな感覚や歌にも溢れ、ドラマ性があり、ワクワクする素敵な世界へと導かれた。現代曲ではないが、独特のオリジナリティーも感じた。伸びやかで嬉々とした表情の演奏も素晴らしく、とても完成度の高い作品発表だった。これはまた聴いてみたい。
後半は歌曲。最初の木村さんの作品は、詩は違うが自分と同じ金子みすゞの曲が3つ含まれていた。とてもメルヘンチックでファンタジーに溢れ、ユーモアも交えた親しみやすい歌で、また違うみすゞの世界に触れることができた。拙作の3曲は、過去に旭さんに何度も演奏して頂いているが、今回も濃厚で熱のこもった歌を聴かせて頂いた。初共演となった長澤さんのピアノは音色や表現のグラデーションを柔らかな感覚で出してくださり、みすゞの内面の世界がじわっと伝えてくださった。感謝！
野村さんの連作歌曲「鳳琳・春」から演奏された4曲は、どれもとてもデリケートで詩情溢れる作品。映画の幻想的なシーンが見えるよう。端正で丁寧な歌唱と柔らかなタッチのピアノがよく調和していた。吉田さんの作品は、1曲目の声楽が入った表現主義的な音楽の妖艶な世界が印象に残った。山下さんのソプラノ歌唱からは色香と熱っぽさが漂っていた。赤岩さんの作品は、懐かしさを感じる優しいメロディーが印象的。歌をとても大切に聴かせる演奏の姿勢にも好感を持った。
出品者は年齢も経歴も様々だが、複数の部門に応募して複数の賞を獲得したり過去にも受賞歴があるなど、このコンクールに熱心に参加している方が多いようだ。そうしたなかに初めて参加させて頂けたことは良い経験になったし、他の方々の作品に触れることで、大変良い勉強もさせて頂いた。
