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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

コバケン/読響の「復活」

2015年04月24日 | pocknのコンサート感想録2015
4月24日(金)小林研一郎 指揮 読売日本交響楽団
~東京芸術劇場 世界のマエストロシリーズVol.3~
東京芸術劇場

【曲目】
◎ マーラー/交響曲第2番 ハ短調「復活」
S:小川里美/MS:アンネ=テレーザ・メラー/合唱:東京音楽大学合唱団

今夜のオケ、読響を聴くことは僕にとって大きなハードルだった。というのも、もう17年以上も前のことだが、ジェルメッティ、グシュルバウアー、テイトという名指揮者の客演が続き、ワクワクして出かけた読響のコンサートが、どれも何を伝えたいのかよくわからない演奏に聴こえてしまい、指揮者が違えど印象が変わらないのはオケのせい、と自分の中で結論付けてしまった。それ以来、読響のコンサートには全く足が向かなくなった。でもそろそろ「これは!」と思うコンサートがあればまた行ってみようかな、と思っていたところに、コバケンが「復活」をやるコンサートを見つけ、これはいいかも知れない、と思って出かけた。チケットは完売の超満員で、コバケンの人気は相変わらずだ。

期待と不安を胸に始まった「復活」、冒頭の低弦のアグレッシブな斬り込みが、熱く烈しく心を揺さぶってきた。パワーと気合いさえあればいいというわけではないが、「復活」ではやっぱり強い意思と炸裂するエネルギーが不可欠。コバケン/読響は、渾身の力と全身全霊でこの長大なシンフォニーに挑んでいる姿が伝わってきた。「炎のコバケン」の異名は未だに全く衰えることなく、激しく燃え盛る場面での威圧的とも言える訴えかけには大いに共感を覚えた。

その一方で、第2楽章ではリラックスした優しい語りかけやチャーミングな歌にもっと表情が欲しかったり、第3楽章ではマーラー的な諧謔性で更なる「冴え」や「煌めき」が欲しかった。第4楽章ではアンネ=テレーザ・メラーの歌に貫録と存在感が足りず、金管のコラールもちょっと唐突… など、もうひとつ満足できないところもあったが、終楽章では集中力と温度がワンランク上がり、後半は合唱とオケが一丸となって「復活」を熱く歌い上げ、底知れぬ高揚感が胸を大きく打ち震わせて感動へと導いてくれた。小川里美のソプラノの輝きも音楽を高貴な光で照らした。

読響は、文句なしとまでは言えないにせよ十分に健闘していい演奏を聴かせてくれた。この「復活」を機に、読響のコンサートに行くことも復活させようと思う。

ところで今夜の演奏会が始まる直前、自分のなかでかなりのハプニングが起きた。というのも、開演時刻が近づいたので歌詞対訳を確認しておこうとプログラムをパラパラめくったら、ナ・ナント… 歌詞対訳が載ってないではないか!!?僕にとって歌詞は超重要!「大地の歌」とか「子供の不思議な角笛」なら歌詞が多くてページ数が増えてしまうので、タダのプログラムに載らないことも想定して自分で用意するが、「第4」とか「復活」のコンサートでプログラムに歌詞が載ってないなんてあり得ない!!慌てて3階からスタッフがいる1階まで駆け下りて窮状を訴えたが無いものはない…

ドイツ語はわかっても、覚えているわけでもない言葉を歌で聴き取る自信は「復活」“Auferstehen“ぐらいしかない。困った。。!最後の手段で、シャットダウンしていたスマホを起動し、ネット検索で辛うじて合唱部分の歌詞だけ見つけておいて、終楽章では周りを気にしつつスマホを点けて歌詞を確認しながら聴いた。演奏中にスマホのスイッチを入れるなんて言語道断と思っている僕なので、とにかく隣りの人にスマホの明かりに気づかれないように気を付けたが、これでかなり神経を使ってしまった。そればかりか、このことが最初から気になって、全曲を通して集中力がかなり削がれてしまったのは非常に残念。合唱だけでも歌詞を追え、言葉と音楽を同時に感じながら演奏を聴けたことは、言葉を聞き取れずに悶々とした気分で聴くよりは遥かにマシだったが… 「歌詞なんてわからなくてもいいじゃん」と言う人は多いだろうが、歌詞がわかって聴くのとそうでないのでは感動度が全然違うんです!!

この演奏会は東京芸術劇場の主催。せっかくいいホールなのに、以前はほぼ貸ホール状態で企画公演なんてなかったことを思えば、ホールもリニューアルして企画も頑張っているが、プログラムに演奏曲目の歌詞を載せるという当たり前のことに、どうか今後は気を配っていただきたい(有料でも!)。ホント、お願いします!

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