6月13日(火)木管とピアノのための五重奏曲演奏会
~スーパー木管アンサンブルとフォルテピアノの響き~
王子ホール
【曲目】
1.バッハ/3声のシンフォニア BWV 787〜801 より
第1番ハ長調 BWV787/第11番ト短調 BWV797/第8番ヘ長調 BWV794
2.ミヨー/コレットによる組曲 Op.161b
3.モーツァルト/ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 K452
4.ヴィデルケール/ピアノとオーボエのための二重奏曲第1番ホ短調
5.ベートーヴェン/ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 Op.16

【アンコール】
♪ モーツァルト/ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 K452~第3楽章後半(別バージョン)
【演奏】
Ob:吉井瑞穂/Cl:三界秀実/Hrn:福川伸陽/Fg:ローラン・ルフェーブル/フォルテピアノ:川口成彦
世界で活躍する5人の名手によるモーツァルトとベートーヴェンの名クインテットを核としたコンサート。今夜の僕にとってのキーパーソンは、フォルテピアノの川口成彦。演目の時代に合わせ、1790年にミュンヘンで製作されたという楽器のレプリカを使用して、繊細で柔らかな音色を生かし、いつもながらの柔軟で雄弁な演奏を聴かせてくれた。
後半最初の吉井とのデュオで心を掴まれた。機転の利く多彩なアプローチで存在感を発揮し、艶やかで柔らかなオーボエがピアノを引き立てた。ヴィデルケールというモーツァルトと同時代の作曲家は知らなかったが、この作品からは、生き生きとしたインスピレーションに富んだ魅力を感じた。
次のベートーヴェンでも、川口は自由に、時に大胆な表現も盛り込んでベートーヴェンの音楽の持つ様々な顔を鮮やかに示してくれた。多彩な語り口で即興的な要素も入れ、音楽のエッセンスを無駄なく自然に伝え、音楽をする喜びが沸き上がってきた。共演の管楽器プレイヤーたちも名手ぶりを発揮して、生き生きとしたアンサンブルを聴かせてくれた。
ただ、最前列中央のプレイヤーたちから至近距離の席であったが、メンバー同士が顔を見合わせながら働きかけ合い、リアルでスリリングな演奏が生まれる室内楽ならではの醍醐味までは伝わって来なかった。第3楽章の冒頭でピアノがレチタティーヴォ風に大胆なテンポで働きかけたが、これへのリアクションも特になかった。管楽器だけの前半のバッハやミヨーも、颯爽とした申し分のない演奏だったと云えるが、今まさにこの場で音楽が生まれるような臨場感を伝えるまでには至っていないように感じた。
今夜の演奏会では、ピアノだけがピリオド楽器で、管楽器はみなモダン楽器を使用した。その組み合わせで初めて聴いたモーツァルトでは、両者の楽器の扱い方の差(小柄な人が全身を使って全力投球しているようなピアノに対して、モダンが同じように振舞えばバランスを保てないということへの配慮?)や音色の違いから異質なものを感じ、音量の違いでフォルテピアノがアンサンブルの中に埋もれてしまった。ベートーヴェンではそれが解消されたというより、オーボエとのデュオを挟んで聴いている耳が慣れたのかも。アンコールでは皆が解放されたように伸び伸びと楽しそうにアンサンブルを作っていたのが印象的だった。
川口成彦 フォルテピアノ・リサイタル 2021.12.15 紀尾井ホール
東京・春・音楽祭2021 川口成彦 協奏曲の夕べ 2021.4.12 東京文化会館小ホール
ファビオ・ルイージ/N響(Hrn:福川伸陽) 2023.5.25 サントリーホール
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)
拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
やめよう!エスカレーターの片側空け
~スーパー木管アンサンブルとフォルテピアノの響き~
王子ホール
【曲目】
1.バッハ/3声のシンフォニア BWV 787〜801 より
第1番ハ長調 BWV787/第11番ト短調 BWV797/第8番ヘ長調 BWV794
2.ミヨー/コレットによる組曲 Op.161b
3.モーツァルト/ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 K452
4.ヴィデルケール/ピアノとオーボエのための二重奏曲第1番ホ短調

5.ベートーヴェン/ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 Op.16


【アンコール】
♪ モーツァルト/ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調 K452~第3楽章後半(別バージョン)

【演奏】
Ob:吉井瑞穂/Cl:三界秀実/Hrn:福川伸陽/Fg:ローラン・ルフェーブル/フォルテピアノ:川口成彦
世界で活躍する5人の名手によるモーツァルトとベートーヴェンの名クインテットを核としたコンサート。今夜の僕にとってのキーパーソンは、フォルテピアノの川口成彦。演目の時代に合わせ、1790年にミュンヘンで製作されたという楽器のレプリカを使用して、繊細で柔らかな音色を生かし、いつもながらの柔軟で雄弁な演奏を聴かせてくれた。
後半最初の吉井とのデュオで心を掴まれた。機転の利く多彩なアプローチで存在感を発揮し、艶やかで柔らかなオーボエがピアノを引き立てた。ヴィデルケールというモーツァルトと同時代の作曲家は知らなかったが、この作品からは、生き生きとしたインスピレーションに富んだ魅力を感じた。
次のベートーヴェンでも、川口は自由に、時に大胆な表現も盛り込んでベートーヴェンの音楽の持つ様々な顔を鮮やかに示してくれた。多彩な語り口で即興的な要素も入れ、音楽のエッセンスを無駄なく自然に伝え、音楽をする喜びが沸き上がってきた。共演の管楽器プレイヤーたちも名手ぶりを発揮して、生き生きとしたアンサンブルを聴かせてくれた。
ただ、最前列中央のプレイヤーたちから至近距離の席であったが、メンバー同士が顔を見合わせながら働きかけ合い、リアルでスリリングな演奏が生まれる室内楽ならではの醍醐味までは伝わって来なかった。第3楽章の冒頭でピアノがレチタティーヴォ風に大胆なテンポで働きかけたが、これへのリアクションも特になかった。管楽器だけの前半のバッハやミヨーも、颯爽とした申し分のない演奏だったと云えるが、今まさにこの場で音楽が生まれるような臨場感を伝えるまでには至っていないように感じた。
今夜の演奏会では、ピアノだけがピリオド楽器で、管楽器はみなモダン楽器を使用した。その組み合わせで初めて聴いたモーツァルトでは、両者の楽器の扱い方の差(小柄な人が全身を使って全力投球しているようなピアノに対して、モダンが同じように振舞えばバランスを保てないということへの配慮?)や音色の違いから異質なものを感じ、音量の違いでフォルテピアノがアンサンブルの中に埋もれてしまった。ベートーヴェンではそれが解消されたというより、オーボエとのデュオを挟んで聴いている耳が慣れたのかも。アンコールでは皆が解放されたように伸び伸びと楽しそうにアンサンブルを作っていたのが印象的だった。
川口成彦 フォルテピアノ・リサイタル 2021.12.15 紀尾井ホール
東京・春・音楽祭2021 川口成彦 協奏曲の夕べ 2021.4.12 東京文化会館小ホール
ファビオ・ルイージ/N響(Hrn:福川伸陽) 2023.5.25 サントリーホール
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)
拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
やめよう!エスカレーターの片側空け