facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

東京・春・音楽祭オープニング・コンサート

2014年03月14日 | pocknのコンサート感想録2014
3月14日(金)10th Anniversary Concert ~春が来た!
東京・春・音楽祭 ~春の訪れを祝うコンサートの決定版~
東京文化会館小ホール

【曲目】
♪ ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」~「春」
♪ ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第5番ヘ長調Op.24「春」~第1楽章
♪ モーツァルト/弦楽四重奏曲 第14番ト長調 K.387「春」~第4楽章
♪ J.シュトラウスⅡ/ワルツ「春の声」Op.410
♪♪♪

♪ ドリーブ/歌劇「ラクメ」~花の二重唱
♪ モーツァルト/春への憧れ K.596、すみれ K.476
♪ シューマン/美しい5月に Op.48−1
♪ シューベルト/春のおもい D.686
♪ メンデルスゾーン/春の歌 Op.62-6
♪ シューマン/春の祭の美しさ Op.37−7、春の夜
♪ マーラー/「若き日の歌」~春の朝
♪ R.シュトラウス/「4つの最後の歌」~春、春の祭りOp.56−5
♪ サン=サーンス/歌劇「サムソンとデリラ」~春は目覚めて
♪ ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」~冬の嵐は5月には過ぎ去り...あなたこそ春

【出演】
Vn:前橋汀子/S:橋爪ゆか/MS:小泉詠子/T:大槻孝志
都響メンバーによるアンサンブル
Pf:松本和将、志茂貴子/Cem:山口範子


10回目を迎えた上野の森で行われる春の風物詩、「東京・春・音楽祭」を飾るオープニングコンサートを奥さんと聴いた。「春」にちなんだ曲が勢揃いし、バイオリンソロと弦楽アンサンブルによる前半と、歌とピアノによる後半の盛り沢山な二部構成。

前橋汀子さんのバイオリンを聴くのは久しぶり。僕が中学の頃から活躍していたが、今でもとても若々しく、アクティブなバイオリンを聴かせくれた。スプリングソナタでの果敢で熱いアプローチがとりわけ印象的だった。

前半の最後は弦楽合奏による「春の声」で締めくくられた。前半最初の「四季」ではソロと息を合わせるのにエネルギーを費やしているようにも見え、カルテットは正直よくわからない演奏で、都響自慢の弦の本領が感じられなかったが、「春の声」ではウィンナワルツのリズム感がよく出ていて、ウキウキ感を誘った。せっかく歌手陣が後半のためにスタンバイしているのだから、これは歌付きで聴きたかった。それに、そうすれば前半と後半のプログラミングのうまい橋渡しにもなったかも知れない。

3人の歌手による歌曲とオペラのアリアや二重唱で繰り広げられた後半が今夜の演奏会のメインだろう。昨夜に続いて2夜連続で聴くことになったメゾの小泉さんは、今夜もとてもいい仕事をした。2曲のデュオとリートが3曲と出番も多く、モーツァルトからサン=サーンスまで音楽のタイプも表現の幅もかなり異なる曲を、それぞれの音楽の特徴を捉えつつ、曲の細部まで突き詰めるいつもと変わらぬ真摯な姿勢で、格調高く歌い上げた。どの曲でも歌詞をとても大切にして歌に乗せ、何をどう伝えたいのかが自然に聴き手の気持ちに入ってくる。清らかさやひた向きさを伝えたモーツァルトもよかったし、色香を湛えたサン=サーンスのアリアも魅力的だった。

テノールの大槻さんはリリック系のシューマンの歌曲も、ボリュームとハッタリも求められるワーグナーの楽劇の朗唱も見事にこなしていた。艶のある美声で滑らかに歌われた「詩人の恋」の「美しい五月に」では溢れる情感が込み上げ、ワーグナーでは橋爪さんとの押しも押されぬ表現力とパワーで春の謳歌を歌い交わした。

そのソプラノの橋爪さんは、ワーグナーやシュトラウスなど、濃厚でアグレッシブな音楽でより本領を発揮した。音楽を大きく捉えて骨太に歌い上げるだけでなく、濃厚で熱い色づけが施され、デリケートな表情づけもおろそかにされることはない。人の心を掴む歌唱だ。後半は春の息吹を伝える大変充実した歌の饗宴となった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 明日を担う音楽家による特別... | トップ | 新国立劇場オペラ公演 コル... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2014」カテゴリの最新記事