facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト

2014年12月16日 | pocknのコンサート感想録2014
12月16日(火)上原ひろみ(ピアノ)/アンソニー・ジャクソン(ベース)/サイモン・フィリップス(ドラムス)
 ~川口総合文化センター リリアメインホール~

曲目
ウォーリアー、プレイヤー、ドリーマー、シーカー、フラッシュバック

ムーブ、ワンダラー、マルガリータ!、ファイヤーフライ、ALIVE
アンコール
スピリット


今夜のライブはジャズ!一昨日は矢野顕子の「さとがえるコンサート」を聴いたが、これの3年前のゲストが上原ひろみで、「天才ジャズピアニスト」のライブ演奏を初体験し、そのスゴイ!ピアノに心酔。今夜はたっぷり正味2時間半、ひろみワールドに浸かった。

エキサイティングでアクロバティックな超絶パフォーマンスはやっぱり目立つし、これには今夜も驚嘆したが、更に今夜のライブでつくづくスゴイと思ったのは、上原は、どんなに熱狂的な場面でもアーティストとしての冷静な心を失わないこと。だから、演奏がどんなに激しく高揚しても絶対に乱れないし、荒削りにもならず、タッチは益々明晰で音は輝きを増す。拳をガンガンとキーボードに叩きつけるクラスター奏法でも、どの音を鳴らすかをちゃんと計算しているようにさえ見える。

更に上原は、どんなシーンにもフィットした、打てば響く抜群のセンスを聴かせるが、これはヒロミの基本的なポジションがニュートラルな状態、何も描かれていない真っ白なキャンバスの状態だからではないだろうか。その時の状況、演奏の流れの中で、どんな方向にでも瞬時に飛べて、真っ白なキャンバスに瞬時に自由に色や形を描きつける。これが、ひろみワールドの魅力を無限に広げ、「今度はどんなことやってくれるのかな、どんな音楽が飛び出すのかな」とワクワクさせるワケだと思う。

上原ひろみが2011年来トリオを組むビッグミュージシャン、ベースのアンソニー・ジャクソンとドラムスのサイモン・フィリップス。ジャズのことはあまりわからないが、3人がいかに相手の演奏を聴いて敏感に反応し、会話を交わすように自分の言葉で話しかけているかが伝わってくる。アンソニーもサイモンも、やっぱりヒロミと同じように、どんなに演奏が盛り上がり、聴衆がエキサイトしても、それをニンマリと見る余裕が感じられた。

ヒロミが真っ白なキャンバスだとすると、他の二人は独特のカラーと匂いをベースに持つ。アンソニーはダークがかったスモーキーな味わい、サイモンは狩りをする野獣が獲物をじっと狙う緊迫感。上原は、この2人の強烈な個性を受け止め、それを真っ白でセンシティブなキャンバスに写しとり、そこに自らのパッションをぶつけ、三人のスリリングなアンサンブルが生まれる。それはとても新鮮で、ドキドキワクワクする最高にエキサイティングなパフォーマンス!

本割り最後にやったニューアルバムのタイトルナンバーALIVE では、真っ直ぐな幾筋もの光線が、音楽のシーンごとに色を変えてビシッと静止のポーズを決める演出が、颯爽とした演奏にピッタリ合っていて格好良すぎ!「私達が生きていることを一番に実感できるのがライブ。ライブは聴きに来てくれるお客さんがいなければ成り立たない。皆さんのおかげで私たちは生きる喜びをもらえることに感謝しています!」というヒロミの言葉に相応しい、生きてる喜びが弾け飛ぶアクティブな演奏にトリハダがビンビン!超満員の客席はスタンディングオーベーションで生きてる喜びを共有した。

拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け

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