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フランス音楽と文学の出会い ~獨協大学創立50周年特別企画~

2014年11月22日 | pocknのコンサート感想録2014
11月22日(土)フランス音楽と文学の出会い
~獨協大学創立50周年特別企画 クラシックコンサート~
獨協大学天野貞祐記念館大講堂

【演目】
~第1部~
♪ サン=サーンス/「動物の謝肉祭」~白鳥
 朗読Ⅰ メーテルランク「ペレアスとメリザンド」
♪ フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」~シシリエンヌ
 朗読Ⅱ プルースト「失われた時を求めて」~スワンの恋
♪ フランク/ヴァイオリン・ソナタ イ長調

~第2部~
 朗読Ⅲ ヴェルレーヌ「艶なる宴」~月の光
♪ ドビュッシー/ベルガマスク組曲~月の光
♪ ラヴェル/弦楽四重奏曲

【アンコール】
1.サラサーテ/ナヴァラ Op.33
2. ショーソン/ヴァイオリン、弦楽四重奏、ピアノのためのコンセール~シシリエンヌ

【出演】
Vn:水林彪/Pf:野田清隆/桐朋SQ(Vn:篠原悠那、土岐祐奈/Vla:中恵菜/Vc:香月麗)
朗読:ジョルジュ・ヴェスィエール=佐藤、水林ミシェル、長岡立子


獨協大学創立50周年記念行事の一環で行われたフランス語学科の主催によるコンサートは、 19世紀末から第1次世界大戦勃発(1914)まで、パリを中心に芸術が花開いた「ベル・エポック」と呼ばれた時代に生まれた作品から、文学と音楽にスポットを当て、朗読と演奏で綴るという企画。

朗読はフランス語だけでなく日本語でも行われ、フランス語の柔らかな発音と音楽的なリズムをフランス語がわからない人間としては「音」だけで楽しんだ後に、日本語の朗読で、詩の内容と抑揚の妙味を楽しむことができた。朗読の背景には、読まれた場面が描かれた絵が映し出されてイマジネーションが広がった。

そんな朗読の余韻をつないだ演奏で特に印象に残ったのは、水林さんのヴァイオリンと野田さんのピアノによるフランクのヴァイオリン・ソナタ。人間の吐息のような温もりとエモーショナルな感情が伝わる水林さんのヴァイオリンと、落ち着いた深い叙情性を湛えつつ全体を大きく捉え、ダイナミズムで能動的に訴えてきた野田さんのピアノが、大人の成熟したデュオを聴かせた。テンションの配分もとてもドラマチックで、エネルギーが炸裂した第2楽章の後で客席から拍手が沸き上がったほど。プロフィールではヴァイオリンの水林さんはアマチュアと紹介されていたが、音程やボーイングも素晴らしいし、何より明確なメッセージを伝えようとする姿勢はプロと何ら変わりない。

後半に演奏された桐朋SQによるラヴェルも良かった。4人の若いプレーヤー達は、この曲の外面的な見栄えの良さやムードを品よく聴かせる姿勢から大きく踏み込んで、その中で起きている白熱したバトルで聴き手に迫ってきた。第1楽章や第4楽章では焦げ臭さが立ち上って来そうなほどの燃焼度だったし、第2楽章のピッチカートの集中力もスゴイ。第3楽章では深く切々と訴える歌が本気度を伝えてきて、特に中さんのミュートをかけたヴィオラの音の存在感ある深い響きが印象的だった。4人のプレーヤーは、アンコールも含めてそれぞれがソリストとしても素晴らしい腕前を聴かせてくれたが、カルテットとしての彼女たちの今後の活動にも注目したい。

ラヴェルが終わると客席からは手拍子が沸き起こり、アンコールが2曲演奏されて大いに盛り上がった。このコンサートは企画もプログラムも演奏も素晴らしく、大学のイベントにつきものの挨拶や、曲目や演奏者の紹介も入らずスマートに進行したが、最後の最後で演奏者をステージ上に足止めして主催者側の挨拶が… コンサートの感動だけを胸に会場を去りたいところだった。

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