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日本男児もしてみむとてするなり

核を巡る世界情勢雑感

2006-10-14 01:56:01 | 日本男児
核を巡る世界情勢雑感

技術はいずれ陳腐化します。技術力の低い国でもいずれ核武装が可能になるのは明らかです。運搬手段であるミサイル搭載の敷居は核より高そうですがそれとていずれかなりの国がクリアするでしょう。第二次世界大戦の戦勝国による核管理体制がいずれ崩壊することは確実です。

第二次大戦の戦勝国による核管理体制を維持しているのは今や技術力を持つ各国の自制に過ぎません。そこにあるのは損得勘定だけです。イラク攻撃をアメリカが何とか正当化できたのは攻撃開始時に核開発とテロを結びつけることに成功したためであり公式にはイラクの核保有そのものが攻撃対象とされたわけではありません。つまりテロと結びつかない「自衛」名目の核は現在でも強行突破すれば保有が可能だということです。そのことはインドとパキスタンの時に証明済みです。

ある団体が世界中に核兵器を開発できる技術レベルにある国が30カ国程度あると書いているのを目にしたことがあります。当たらずとも遠からずなのでしょう。そしてそれらの国の一部が「自衛」名目に核武装に走り始めればれば早晩現在のNPT&IAEAによる核管理体制は崩壊します。ではどこから崩壊するのでしょうか。それは他国に軍事的圧力を露骨にかける核保有国の周辺から崩壊するに違いありません。そして他国に露骨な軍事圧力をかけている核保有国は現在シナとアメリカそしてロシアとイスラエルです。ちなみにイスラエルは第二次大戦の戦勝国以外で核武装を暗黙のうちに認められている唯一の国です。

現在は忘れられた観がありますがインドが核武装に走ったそもそもの理由は毛沢東時代のシナがヒマラヤを越えてインドに攻め込んだからです。当時既に核武装していたシナに対抗するためにインドは核武装することにしたのです。そうしたらシナはインドと仲の悪いパキスタンに核の技術供与をして核を印パの問題にすり替えようと画策しました。シナはいずれインドが核武装するならそれを印パという構図にしようとしたわけです。印パの構図で核武装する限りそれは戦勝国による核管理体制に対する反発という印象を薄めることができますからアメリカなどもシナの描くこの構図に乗ったのでしょう。

そこで今回の北の核武装宣言です。北が核武装を目指したのはアメリカの軍事的圧力が原因です。もっともアメリカの軍事圧力の原因は北朝鮮がアメリカの言うことを聞かないからというよりかの国が犯罪国家だからでありアメリカの圧力に正当性がないわけではありません。独立国であるということ以外に国際社会にまともな主張ができない北朝鮮の現政権がアメリカの圧力を跳ね返すには露骨な力つまり核武装しか手だてがないのです。そしてこれは第二次大戦の戦勝国による核管理体制に対する明確な挑戦です。インドがシナとの関係で提起したかった問題を北朝鮮が明確に示した形です。

これからかつての戦勝国はこの北朝鮮の挑戦をいかに有耶無耶のうちにおさめて核管理体制を継続するかに腐心することになるでしょう。その際の一番の焦点は日本の核武装です。北朝鮮の核の向かう先は日本以外にほとんど考えられないからです。アメリカの上院からは直ちにその懸念の表明がありました。世界第2位の経済規模を誇り軍事転用可能なプルトニウムと長距離ロケットを保有している日本が核武装の可能性を宣言するだけでもそのインパクトは絶大です。このような国際秩序の大変動はそう簡単に実現できるはずありません。アメリカは盛んにミサイル防衛網を売り込み金を巻き上げた上でこれで我慢しろと言うでしょう。

日本の選択は単純でアメリカのいいなりにミサイル防衛網で我慢するか反発を押し切って核武装するかです。核武装はさすがに機が熟さないと無理でしょうから当面の現実的な選択肢はミサイル防衛網しかありません。しかし無理を承知で希望を述べればこの政治状況を利用して日本が正式な核保有国になれればよいとおもいます。しかしこれは第二次世界大戦処理の枠組みの変動を意味し国連の安保理改革と表裏一体の関係にあります。また国連の現在の枠組みはシナの対日優位の源ですからシナが安保理改革に応じることはほぼ考えられません。中華世界の中に2カ国目の常任理事国は要らないのです。そうであれば日本の核武装は原則として国連という枠組みを超えることによってのみ可能ということになります。

ただインドとパキスタンの関係を日本と北朝鮮との関係に適用して核武装するみちもあるようにおもいます。それが近い将来なのか遠い将来の話なのかは分かりませんが来るべき日のために国内世論をまとめておく必要を感じます。いつの日か現在の第二次大戦の戦勝国による核管理体制が崩壊することは確実でその時に日本が独立国家として存在しているためには核武装していることが必要であろうとおもうからです。

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