株式会社プランシードのブログ

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その508.あるもので料理するのがプロの編集

2021-01-27 07:17:26 | 制作会社社長の憂い漫遊記

整理とは捨てること。

棚にしまうのではなく、ばっさり捨てないと整理に至らない。

編集もまた捨てることだ。

ところが今回はコロナ禍で撮れ高が極端に少なかった。
わずかの取材時間で3作品分のインタビューを17名行なった。

したがってインサートカットはほとんど撮れなかった。

わずかに撮れたインサートカットはもちろん使い倒した。

棄てたカットは手振れのみで

その手振れさえもスローモーションで使用する有様だ。

 

テーマを代えてどっさり撮ったインタビューでさえも

捨てるなんて滅相もない。大切に扱い極力使った。

私の質問する声や被写体のモゾモゾ声のみ捨て3作品に散りばめた。

ないものはしかたない。あるもので料理するのがプロだ。

約30日間、年末年始を使い、連日4時~14時を編集に当てた。

空腹も寒さも感じない集中力で

何かが憑依しているような夢の30日間だった。

こわ~

スケジュールに合わせて編集していき、随時上映された。

編集は12月中旬から始まったが

まず視聴対象別に4分×3本を完成させ12月末に上映。

引き続き7分を編集して1月中旬に上映。

さらに4分×2本の編集をして2月中旬に上映。

3作品の編集が終わればネット用に

細切れインタビューを1テーマあたり各30~60秒に再編集し

97話を1月下旬に作り上げた。

正直これが一番大変だったのだが、

2月から順次アップされ、1年間更新されていく。

以上のすべての編集を

1月下旬に完了させるという超ハードロックだ。

実はこの年末年始・死の編集強行軍は3年連続になる。

 

さすがにここまできたら誰が何を話したか

虚覚えになり夢にまで出てくるようになった。

しかしそれでも見直すと新たな発見がある。

よく聞くと「そう言いたかったんだ」と気付くこともある。

3作品は視聴対象が違うので毛色が違う。

よくもまぁあの極貧素材で出来たものだと我ながら感心する。

しかし1テーマ30秒を97話にする編集では新たな発見もあった。

 

見てわからないものは聞いてもわからない。

とはよく言ったものだ。

切らないこと、編集しないことが

ドキュメンタリーの大原則だが

1テーマ30秒となると2~3箇所つながないと収まらない。

我々作り手は悪意を持って編集してはならない。

故意的に編集してはならない。

なぜなら○を×にもできるし、○を△にもできる。

0を1にすることも、1を0にすることもできるからだ。

そのことを心して制作者諸君は編集すべし。

編集とはまっこと恐ろしい行為だ。


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