株式会社プランシードのブログ

株式会社プランシードの社長と社員によるブログです。
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その2.商品と作品の狭間で 

2012-05-28 14:55:02 | 制作会社社長の憂い漫遊記
我々企業PRを制作する人間にとって、それがTVCMであれ、会社案内であれ、
入社案内であれ、商品紹介であれ、できあがったモノは自分の「作品」である。
が、一方ではスポンサーからお金を頂いて制作している以上「商品」でもある。

特にイメージという難物を、視覚化という誰が見てもわかるカタチにするので、
イメージ=できあがったモノの違いが即わかる。
「見てわからんモンは聞いてもわからん」とは名言で、PRの世界では
見てわからる、もしくは見て感じなければ存在意義はない。
しかし困ったことにアプローチ方法は幾万通りもあり、
イメージの数だけ違うモノができあがってしまう。
よってお金を出すスポンサーと制作する監督のイメージをイコールにして
1作品だけに絞り込むには監督の卓越した技と忍耐が必要になる。
イキがって「これは僕の作品です」と言ってみたところで
「では君がお金を出して、君の好きなように作ればよい」となってしまう。
実際若気の至りで激昂するスポンサーから
「これはウチの商品だ!君の作品ではない!」と言われたこともある。

そんな作品論と商品論の狭間で起ち回る監督の悲哀を描いた名CMが
三浦 春馬さんと仲里 依紗さんを広告タレントに起用している
明治製菓「チョコ染み込むガルボ」である。
このCMは我々企業PRの作り手の日常を、
卑下しながら実にコミカルに描いている。
まずはじめに見せるのは、
三浦さんと仲里さんの会話で構成された監督の自信作。
仲里さんの「チョコしみ~」のコメントに自信満々の監督は
「チョコしみ~、これ商品残りますね」と
スポンサーに告げる。しかしスポンサーのお歴々は苦い顔。
ヤバイと直感した監督は、
すかさず編集スタッフに「もっと商品、デカクしちゃう!」と、
スポンサーにも聞こえる声で伝える。
さらにスポンサーへの気遣いも忘れず「ちょっとお時間ください」と。
とどめは、最終的に編集された映像を見た三浦さんが、
予想に反して画面の隅に追いやられている姿を見て「俺ら映ってた?」。
それを受け仲里さん「チョコっと…」とダジャレでまとめる。
これは「俺ら仕事した?チョコっと」というスタッフの怒りの声であり、
監督の嘆きの叫びでもある。
まさに監督の作品であり、商品であることをうまく象徴した
企業PRを生業とするスタッフの笑えない日常である。
(明治製菓ガルボCM www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/galbo/

では作品論と商品論、監督にとってどちらが重要なのか?
そんな会話をするようでは「喝!」まだまだ青い!どちらも重要なのである。
常に商品と作品の狭間で「3歩進んで2歩下がる」。
合計1歩しか進んでいないが、
ジタバタと泥沼を這うようにして3歩進み、
(スポンサーの理不尽なオーダーに)潔く、時にはアッサリと2歩下がり、
それでも仕事のたびに着実に1歩は進んでいる、そういう度量こそが
監督の必須条件なのである。

監督に求められる2つの能力、つまり作品を作り上げる能力(作品管理)と、
その作品を作るためのスタッフワーク(スタッフ管理)を身につけた時、
PRの監督として生きていくことができる。
その監督の上位に当たるのがプロデューサーである。
作品管理、スタッフ管理に加え、
作品に見合うお金の管理(又はお金に見合う作品の出来)が求められる。
当社はプロデューサー集団であり、監督集団である。
崇高な思いに反し、その道は険しい。
それについては、また後日。


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