ベートーヴェン全曲演奏会の第8回となります、今日のリサイタル。
場所は、音楽大学の建物ではなく、
ルドルフ・シュタイナー・ハウスという教育機関の所有する
小ホールを使わせていただけることとなり、そこにある楽器は、
「Bruettner」というピアノ。
半世紀は越えているであろう、古いピアノで、現代主流の
スタインウェーの完全無欠(!?)といった音ではなく、
味のある、
個性的な、
どことなく古めかしい「匂い」すらする(臭覚に訴えかけてくるもの!)
そんな愛すべき楽器です。
曲目は、
ベートーヴェン
●《ソナタ12番 As-Dur op.26“葬送”》
●《ソナタ17番 Es-Dur op.31-3》
●《ソナタ24番 Fis-Dur op.78“テレーゼ”》
●《ソナタ31番 As-Dur op.110 》
となります。
どれも充実した曲ばかり!!それぞれ違いもあり、
また、
どの曲にも「追いかけっこ」のような要素があることに
先日気がつきました。
(op.26の4楽章、op.31-3の2楽章、op.78の2楽章、
op.110の2楽章の中間部)是非とも、日記のネタにしたかったのですが、
時間切れ!?いやいや、
コンサート、終わってから書きたいと思います!
「追いかけっこ」の対照的でもある、美しい旋律たちも、これらの
ソナタの類似点として、挙げることが出来るでしょう。
こういう「美しさ」だって、ベートーヴェンの大きな特徴のひとつ。
《悲愴》《熱情》《月光》といったベートーヴェンの代表的な
曲のような、暗く・激しいものは、今回はありまっせん。
いや、それでも、明るく美しい中にも、暗雲がふと顔を覗かせるところも
あるかな・・・・
《op.110》は、逸品です。人類の最高の宝物のひとつだと言って
過言ではありません。
美しい歌と、天空を自由自在に飛び回る1楽章
ぶつけようの無い思いの2楽章、孤独な追いかけっこの中間部
3楽章・・・・バッハ的なRetitativ(レティタティーボ)と
「Totenglocken」(一人の人が死んだ時に教会が鳴らす鐘)、
「嘆きの歌」が人間の苦悩をあらわし、
続く「フーガ」が歓喜を!!
再び戻る「嘆きの歌」は、より疲れ果てて・・・(ermattetという
ベートーヴェンの指示)、絶望の淵まで堕ちて行ったところに、
光が・・・
静かに、そして徐々に力強く・・・・!!!!
戻ってきた「フーガ」はSpiegelfuge(鏡フーガ)となって
まるで、空の彼方から白い羽がひとつ、またひとつと、
ゆっくり左右に揺れながら舞い降りてくるような・・・
彷徨うふたつの魂と歌が合い重なり、ついには
神が姿を現す。
御車を引くのは天馬、ペガサス。
それに乗って、人は高く、高く、遥か彼方へと向かう
もっと高く、もっと、もっと!!と叫びながら・・・!!!!!
では、行ってきます。