音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆ベートーヴェンからブラームスへ ~ 「減七のアルページオ」は奇跡の嵐!?

2008年08月22日 | ブラームス Johannes Brahms
前回の記事にて、ブラームスの晩年の作品
《Cl.ソナタ 変ホ長調Es-Dur op.120-2》に
ベートーヴェンの影響を多分に見られるよう書きましたが、
さらに、
そんなひとつの例をご紹介したく思います。


ブラームスの《ソナタ》III楽章の最後のほう、
先日の記事で書きました「奇跡」のような瞬間と思われる
「3度の下降音型」のあたりは、
変奏曲形式であるこの楽章が、
冒頭のテーマから離れて自由に楽想をつむぐところです。


そして、
曲の終わり(Coda)へと向かう前に、再びある
「奇跡的瞬間」が現れるのです↓



下のほうから一気に吹き上げられる
「減七のアルページオ」


この音に出会ったときの初印象は、実は
「あ、これ、知ってる!!」
というものでした。というのは・・・↓



やはり、ベートーヴェンの後期の大作、
《ディアベリ変奏曲》の最後のクライマックスでもある
「変奏XXXII番 Fuga(フーガ)」の最後に、
このような

「減七のアルページオ」の津波(!?)

が吹き荒れるのです。


曲のクライマックスに現れる
ベートーヴェンとブラームスの「減七」の嵐・・・
もちろん、
ブラームスが後世の人であり、彼が
ベートーヴェンを模したのですが、
巨匠の域に達した大作曲家ブラームスが模した
ベートーヴェンのこの「減七」の音とは・・・


なにか、とてつもないことが起こっているような気がしてなりません。



両者のその後を比べてみますと、
ベートーヴェン《ディアベリ変奏曲》においては、
この「減七」の津波のあとには、
前回の記事でも紹介しました、この大作の最後を締めくくる
「変奏XXXIII Tempo di Menuetto, moderato」
となります。


感動的な天上の音楽を思わせるとき・・・といえましょうか。



そして、
ブラームス《Cl.ソナタop.120-2》の方はといいますと、
この「減七」の吹き上げたあとは・・・



早めのテンポで、さっくり20小節という短い時間の
Coda(終結部)となり、音楽は幕を閉じます。

実に、あっさりと短い。


待ち望んで望んだものが
やってきたかのような
明るいよろこび・・・?



・・・それはもしかすると、
あの、ブラームスまだ若い頃の作品《ドイツ・レクイエム》において
彼が最後に手がけた「第5曲」の、
http://blog.goo.ne.jp/pianist-gensegawa/e/e1ccd96589b429ebbac34d65bb0b4269
「あの約束」が果たされることを思い描いたよろこび・・・


“wieder sehen”(また会いましょう)
といって天高く上っていった
あの母の声が





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