昨日、ピアニストを目指す某小学生の子から
ベートーヴェン《ピアノソナタ 第14番 op.27-2「月光」》の第3楽章における
黄金数(黄金比・黄金分割)についての質問をいただき、
それについて考え、調査してみましたところ、
驚くべき発見!となり、面白く、
そのやり取りを、
ここにご紹介してみたく思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(質問)
>こんばんは
1つ聞きたいことがあるのですが、チッコリーニさんの本の89ページに、
「黄金数がベートーヴェンさんのソナタ27-2 3楽章の再現部の直前の
全音符に位置する」とありますが、よくわかりません。
どういうことでしょう?
(以下返答)
おはようございます。
面白い質問をいただき、ありがとうございました。
まずはインターネットで「黄金数」または「黄金比」「黄金分割」を調べてみて下さい。
色々と説明しているページがありそうです。自然界に存在する数の法則のようです。
具体的な数でいうと「1.618・・・」あるいは「0.618・・・」。
これは絶対的・普遍的・無限・永遠というテーマにつながるすごいことのようです・・・。
それに、ベートーヴェンの《ピアノソナタop.27-2》(←何の曲か分かりますか!?
有名な、あれです!)第3楽章がピッタリ当てはまる、ということを
チッコリーニ先生は見付けていらっしゃる!みたいですね。
楽譜を見ると、全200小節。問題の再現部前が「何小節目」か、それに
「繰返し64小節」を入れるか入れないかで、楽章全体として、
その再現部前がどういう位置になるかが分かるはずです。
どうぞ自分で計算してみて下さい!
計算の際は、簡単に「0.6」を使ってもかまいませんよ。
あらためて、ソナタは「繰返しをしないといけない!」と確信しました!
ベートーヴェンが懸命にこのソナタに「黄金比」の仕掛けを施そうとしているよう、
強く伝わってくる感じがしました・・・(小節数が「ちょうど数百」という
簡単な数字になっていることがその証拠!?作曲を設計しやすいため!?)
「ベートーヴェンはがんばってこのソナタを創った」といえるでしょう!すなわち、
自然界の「美」に自分の音楽作品を近付けようとする強い意志が感じられるのです。
いかがですか?
お陰さまで、考え・発見する機会となりました、ありがとう。
GenSegawa
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彼には、自分で計算してもらって
その事実を自分自身で確かめてもらいたいと思いましたが、
こちらの読者の皆様には、ここにその回答をしてみたく思います。
(ご自分で解きたい方は、ここから先は読まないで下さい!笑)
ベートーヴェン《月光》第3楽章は、ちょうど200小節の長さです。(←きれいな数字!)
そして、問題の「再現部前の全音符」というのは、第100小節です。
ちょうど全体200小節の半分に位置することは、この数字を見ると一目瞭然です。
この第100小節の全音符「pピアノ」そして次の全音符「pp」ピアニシモを経て、

続く第102小節、突然の「fpフォルテピアノ」でもって、[再現部]に突入するのです。
この音楽における大事な転換点が、小節数からしてキレイに計画されていることが分かるようです。
しかし・・・これ(100/200)では
イタリアの巨匠ピアニスト、アルド・チッコリーニ氏の指摘する「黄金数」にはなりません・・・
そこで、もうひと考え、この楽章について検証してみますと、実は
ソナタ形式のひとつの典型的な法則でもある「提示部の繰返し」がこの曲にもあり、
(ベートーヴェンもしっかりと繰返しを楽譜に書いています)
この繰返しの小節数を足して、全体を計算しなおしてみるとどうなるか・・・
提示部は64小節あります。ゆえに、繰返しをちゃんとしたこの楽章の全小節数は
「64+200」で、「計264小節」となります。
そして、
問題の全音符の場所は、提示部の繰返しを入れると
「64+100」で、「第164小節目」となります。
これを、
楽章全体を「1」として見た時の割合を導き出すと「164:264=x:1」となり、
答えは「x=0.6212・・・」となることが分かりました。
これは黄金数「0.618」にとても近い数字であることが分かります!
よって、
この楽曲の重点、再現部前の全音符は、冒頭の提示部の繰返しを入れることによって
黄金分割されるよう作曲されていることが、ここに明らかになるのです。
今回このようにあらためて《月光》第3楽章について考え、
ベートーヴェンが設計した「200小節」「100小節」という分かりやすい数字を目の当たりにすると、
ベートーヴェン自身が計算しやすいよう、こうした簡易な数字を使いながら
この音楽作品において「黄金比」が成功するよう努めていた姿が想像されてきました・・・
自身の作品を、自然界が成り立っているある法則に照らし合わせ、
その音楽がまさに大自然の一部である如く!?、天の摂理と一致するものを、
人間の手によって創造せんとする作曲家・芸術家としての強い意志が、
ここに見い出されるようです!

P.S.
レオナルド・ダ・ヴィンチもこのような意志で制作していたそう。

美術におけるこの巨匠、音楽における巨匠、どちらも彼らの創作活動において
「黄金比」を目標にした強い意志が介在していたであろう共通点が見い出されるのは
とても興味深いところではないでしょうか。
♪
ベートーヴェン《ピアノソナタ 第14番 op.27-2「月光」》の第3楽章における
黄金数(黄金比・黄金分割)についての質問をいただき、
それについて考え、調査してみましたところ、
驚くべき発見!となり、面白く、
そのやり取りを、
ここにご紹介してみたく思います。
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(質問)
>こんばんは
1つ聞きたいことがあるのですが、チッコリーニさんの本の89ページに、
「黄金数がベートーヴェンさんのソナタ27-2 3楽章の再現部の直前の
全音符に位置する」とありますが、よくわかりません。
どういうことでしょう?
(以下返答)
おはようございます。
面白い質問をいただき、ありがとうございました。
まずはインターネットで「黄金数」または「黄金比」「黄金分割」を調べてみて下さい。
色々と説明しているページがありそうです。自然界に存在する数の法則のようです。
具体的な数でいうと「1.618・・・」あるいは「0.618・・・」。
これは絶対的・普遍的・無限・永遠というテーマにつながるすごいことのようです・・・。
それに、ベートーヴェンの《ピアノソナタop.27-2》(←何の曲か分かりますか!?
有名な、あれです!)第3楽章がピッタリ当てはまる、ということを
チッコリーニ先生は見付けていらっしゃる!みたいですね。
楽譜を見ると、全200小節。問題の再現部前が「何小節目」か、それに
「繰返し64小節」を入れるか入れないかで、楽章全体として、
その再現部前がどういう位置になるかが分かるはずです。
どうぞ自分で計算してみて下さい!
計算の際は、簡単に「0.6」を使ってもかまいませんよ。
あらためて、ソナタは「繰返しをしないといけない!」と確信しました!
ベートーヴェンが懸命にこのソナタに「黄金比」の仕掛けを施そうとしているよう、
強く伝わってくる感じがしました・・・(小節数が「ちょうど数百」という
簡単な数字になっていることがその証拠!?作曲を設計しやすいため!?)
「ベートーヴェンはがんばってこのソナタを創った」といえるでしょう!すなわち、
自然界の「美」に自分の音楽作品を近付けようとする強い意志が感じられるのです。
いかがですか?
お陰さまで、考え・発見する機会となりました、ありがとう。
GenSegawa
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彼には、自分で計算してもらって
その事実を自分自身で確かめてもらいたいと思いましたが、
こちらの読者の皆様には、ここにその回答をしてみたく思います。
(ご自分で解きたい方は、ここから先は読まないで下さい!笑)
ベートーヴェン《月光》第3楽章は、ちょうど200小節の長さです。(←きれいな数字!)
そして、問題の「再現部前の全音符」というのは、第100小節です。
ちょうど全体200小節の半分に位置することは、この数字を見ると一目瞭然です。
この第100小節の全音符「pピアノ」そして次の全音符「pp」ピアニシモを経て、

続く第102小節、突然の「fpフォルテピアノ」でもって、[再現部]に突入するのです。
この音楽における大事な転換点が、小節数からしてキレイに計画されていることが分かるようです。
しかし・・・これ(100/200)では
イタリアの巨匠ピアニスト、アルド・チッコリーニ氏の指摘する「黄金数」にはなりません・・・
そこで、もうひと考え、この楽章について検証してみますと、実は
ソナタ形式のひとつの典型的な法則でもある「提示部の繰返し」がこの曲にもあり、
(ベートーヴェンもしっかりと繰返しを楽譜に書いています)
この繰返しの小節数を足して、全体を計算しなおしてみるとどうなるか・・・
提示部は64小節あります。ゆえに、繰返しをちゃんとしたこの楽章の全小節数は
「64+200」で、「計264小節」となります。
そして、
問題の全音符の場所は、提示部の繰返しを入れると
「64+100」で、「第164小節目」となります。
これを、
楽章全体を「1」として見た時の割合を導き出すと「164:264=x:1」となり、
答えは「x=0.6212・・・」となることが分かりました。
これは黄金数「0.618」にとても近い数字であることが分かります!
よって、
この楽曲の重点、再現部前の全音符は、冒頭の提示部の繰返しを入れることによって
黄金分割されるよう作曲されていることが、ここに明らかになるのです。
今回このようにあらためて《月光》第3楽章について考え、
ベートーヴェンが設計した「200小節」「100小節」という分かりやすい数字を目の当たりにすると、
ベートーヴェン自身が計算しやすいよう、こうした簡易な数字を使いながら
この音楽作品において「黄金比」が成功するよう努めていた姿が想像されてきました・・・
自身の作品を、自然界が成り立っているある法則に照らし合わせ、
その音楽がまさに大自然の一部である如く!?、天の摂理と一致するものを、
人間の手によって創造せんとする作曲家・芸術家としての強い意志が、
ここに見い出されるようです!

P.S.
レオナルド・ダ・ヴィンチもこのような意志で制作していたそう。

美術におけるこの巨匠、音楽における巨匠、どちらも彼らの創作活動において
「黄金比」を目標にした強い意志が介在していたであろう共通点が見い出されるのは
とても興味深いところではないでしょうか。
♪