音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

♪クラシック音楽の伝統を受け継ぐ真の音楽芸術家を目指して活動しています♪ 「YouTubeクラシック音楽道場」も更新中♪

父の追悼リサイタルを終えて

2020年02月03日 | ◆一言◆

昨日、令和2年2月2日、

横浜市のフィリアホールにて、
昨年末に亡くなりました父を偲んでの
プログラムによる演奏会をさせていただきました…
 
当初予定しておりましたベートーヴェンのプログラムから
大幅な変更となり、お楽しみにして下さっていた方々もいらしたよう、
大変申し訳ありませんでした…
(ベートーヴェン、愛の軌跡Vol.2は、必ず上演できるようがんばりますので、またどうぞよろしくお願いいたします!)
 
葬儀が12月30日にあり、
気付いてみたら、一ヶ月後の2月2日には独奏演奏会の予定…
よくよく考えてみて、故人の四十九日にまだなっていない頃、
どうしても、ベートーヴェンのレクチャーコンサートをするのではない気がしてしまい、
ピアノに向かいながら、曲が見付かり、
それがムソルグスキー 作曲《展覧会の絵》、
そして、ショパン作曲《ソナタ3番ロ短調》でした。
 
《展覧会》は、遡ればもう二十年近く以前(←歳をとったものです、笑)に勉強していたもの、
数年おきに舞台にかけていた、いわばレパートリーの曲…
父調律で演奏した思い出も多々あり、何よりも!
音楽そのものが追悼の意味を持っている曲集!
(作曲者ムソルグスキーの友人ガルトマンが亡くなった後、その追悼展覧会を訪れた際にインスピレーションが沸いて書かれた曲だそう)
ロシア音楽の壮大さも相まって、ひとつ、
盛大に父の魂を送り出してやろうではないか!?!?
…と、思った次第です。
 
問題はショパンの方…
《ソナタ3番ロ短調》は、もちろん難曲として知られる力作…
ショパン自身の父親が亡くなって、その悲しみの中、
姉のルドヴィカに支えられながら苦しみ抜いて書いた音楽、
ときいておりました。
 
私は、この曲は少しは勉強していたものの、
まだ本番にかけることはなかった…いずれ、
父が亡くなった時に、本格的に手掛けるのかなぁ…と
思っていたところ、本当にその日が来てしまった…
 
本番までは約一ヶ月くらいの期間…
この難曲を、その短期間で人前で演奏することが
出来るのだろうか!?不安が多大にあり…
数日弾いてみて…覚悟を決め、
追悼リサイタルを実行することにさせていただいたのです…
 
父に近い音楽関係者の方々からは、
練習を充分に積んだものでなければ父は喜んでくれないだろう、
というご意見までいただき…重ねて苦しく…
自分がやろうとしている演奏は、
一体なんのためなのか!?!?
…わけがわからない気もしました…
 
しかし、曲が曲…
苦しみながら書き終えたといわれるショパンのソナタ、
奏者も、苦しみながら勉強・練習を重ねて、
今にしか出来ない、演奏をすることは無意味ではなく、
父がどう思っているかは、なんだか分からなくなってしまいましたが…
ひとつ、やろう、という昨日でした。
 
今の自分に出来る限りの練習は積んでみました。
(完全に積んだ!?とは、いえる事は決してないでしょうか)
楽譜を詳細に渡って検証し、
細かなペダルの指示を、今回は極力忠実に全て!?実行しようと心掛けました。
ペダルが書いてある所はその通りに、離す位置もなるべく正確に意味あるよう、
あるいはペダルが書いてないところでのペダル無しの徹底まで…
また、和声を解析し、その魅力が表現されるよう、
心を込めて演奏できるよう、練習しました。
 
結果、今の自分に出来る演奏を、
一期一会の追悼リサイタル、
やってまいりました。
 
お聞き苦しい点も少なからずあったと思われ…
ショパンの難所など、崩壊寸前の危ない状態を晒してしまった…悔しさと、お聴きくださる皆さまへの申し訳なさがあります…
 
ですが、ホールにご来場下さった数百人の方々、
皆様懸命に音楽に耳を傾けて下さっていたご様子が伝わってきました。
アンコールも無し…演奏者の勝手ばかりの会にも関わらず、
この音楽会をご一緒して下さいましたことに、
心より御礼申し上げます。
 
前半はショパン、
最初の《ノクターン16番op.55-2》は、
父が亡くなったまさにその日…
やらせていただいている私のラジオ番組にて
ちょうどオンエアされた曲でした…
父の生命がもう危ないであろう…それを意識しながらの収録…
本当に、亡くなってしまうその日に流れるとは…
そしてもうひとつ《ノクターン17番op.62-1》は
自分がドイツ留学中に弾き込んだ曲…
全てのノクターンの中で、これが一番!?とまで思って弾いていた曲…
練習不足を指摘されることなく、プログラムに
のせて良いだろうと思い、並べた次第です。
ショパン晩年の…切なくも美しい名曲です。
そして、《ソナタ》でした。
 
後半は、
これを機に、やれることをやってみたい、と、
初めて、コンサートホールにて、
鍵盤ハーモニカによる演奏を公開させていただきました。
 
曲はバッハ作曲《無伴奏ソナタ1番ト短調(原曲Vn.)》より1,2楽章…
フィリアホールの素晴らしい音響の中、どのように
鍵盤ハーモニカによる演奏が成されるのか…
リハーサルにて、
思っている以上に吹き込まないと、表現が少なく聞こえるとのこと…
よって、自宅練習でやったことのないくらい
大きめな音と息遣いでもって、
初めて…
皆様に鍵盤ハーモニカ演奏によるバッハを
お届けさせていただきました。
演奏後の、会場のどよめきが舞台裏でも聞こえてきて
苦笑いしておりました…(笑)
いかがだったのでしょうか…
 
そして最後は《展覧会の絵》。
ロシア音楽の大きな音で、
父の魂を送り出してあげることは、
できたのでしょうか。
途中に地震があったとのこと…私は気付きませんでしたが、
亡き人の魂が喜んでくれたならと願うばかりです…
あるいは、また怒られているのだろうか!?!?
 
…親子関係は、まだまだ続く、そんなものなのでしょうか…
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◆クラシック音楽道場◆~ベー... | トップ | ◆クラシック音楽道場◆~ベー... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。