臨床心理士の第一歩

2015年に臨床心理士(CP)試験に,2018年に公認心理師試験に合格しました。もうすぐ68歳。CP5年目の更新年です。

臨床心理士試験勉強方法2

2016-01-20 12:57:46 | 臨床心理士
勉強を始めたのは5月頃です。
就活や修論など一段落しても,仕事がすぐに始まるので,
そのための勉強がまたたくさんあって。
試験勉強を始めるには気持ちの高まりが必要でした。
絶対落ちない!!
と,気持ちを引き締めたり。
私の場合は,1回落ちると1歳年取ちゃう,
そうすると,就職に不利,という事情もあるし。

基礎心理本,'15-'16年版 臨床心理士試験徹底対策テキスト等々平行して常に読みつつ,
読んでいるうちに,絶対必要なものや自分が弱いところがわかってくるので,
まとめ用ノートの表紙裏にどんどん書いておき,
8月頃から,それらのまとめに集中しました。
今から勉強されている方は,8月と言わずもっと早い段階がいいと思います。
私は仕事がスクールカウンセラーだけだったから夏休みでよかったけれど,
忙しい人はまとまった時間が取りにくいでしょうから。

1週間にⅠ分野,徹底的に覚える
自分なりにノートに書いたり,エクセルでまとめたり。
ノートに書くとコピペできないのでより覚えるような気がします。

エクセルにまとめたものは,前回書いたロールシャッハ・テスト。
ノートにまとめたものは以下。

【統計】
基礎,検定の前提条件,対応のあるケース・ないケース,多重比較検定の種類や内容,
共分散構造分析の内容や言葉,モデルの評価などなど。
自分流でも納得できるようにまとめました。

【乳幼児発達検査】
エクセルでもA4でまとめ,ノートにはより詳しくまとめました。
必ず出題され,毎年どれかがかなりこまかく問われます。
27年は新版K式発達検査2001かな。
対象年齢,子どもの反応・回答の評価のみか・親が回答するのか・両方か,
内容,何で判定するか等。

【心理アセスメント】(Ror,WISC,神経心理学検査は別立て)さまざま。
一通りまとめましたが,K-ABCⅡ,P-Fスタディ,MMPIは特に詳しくしました。
院試の際にはあまり詳しくやってなかったことと,
詳しくやってないと答えられない。
特にP-Fスタディ,MMPIは出題率が高いように感じます。
描画法は好きなのでこまかくまとめました。
P-FスタディとRorのPとの関係,MMPIがいろいろ出題されました。

【神経心理学検査】(どのような高次脳機能がどの程度阻害されているかを定量的,客観的に評価するもの)
これが思いの外たくさんあって,随所によく出題されていると思います。
たとえば,ハノイの塔課題はプランニング・行動組織力・問題解決力を見るとかも。

全般的知能検査(MMSEなど)
記憶障害検査(三宅式記憶力検査など)
遂行機能障害の検査,注意障害の検査(WCST,ストループテストなど)
失語症検査(WAB失語症検査など)
半側空間無視検査(線分二等分検査など)
失行症検査

こんな感じです。
私の大学院には高齢者専門の先生がいらして,また特に心理検査に熱心だったので,
自分でも心理検査がちゃんと取れる心理士になりたいという意識が強まりました。
MMSEが結構こまかく出題されました。

【脳と神経系】
図をいくつか描いて覚え,構造と機能をまとめました。
連合野の前頭葉は何を司っているかなど,それぞれくわしく。
大脳辺縁系もかなりこまかく。
ニューロンについてとか,内分泌系とか。
ニューロンについて出題されました。なぜかニューロンは以前から得意だった。

【法律系】
精神保健福祉法の入院形態。
少年法。少年事件手続きの流れや年齢。少年院の名称が変わったので今年あたり出るかも(?)
その他法律が新しくなったもの(数年前の分から)は必ず。
入院形態の一部が出題されました。
少年法は流れや年齢をまとめました。
今回は少年法の精神,理念が出題されたと思います。

【心理療法】
全般的なまとめはもちろんです。
私の場合,家族療法が弱いので,集中しました。
たくさんあるし,複雑です。
出題されました!!

【精神症状】
DSM-5になったので,繰り返し相当勉強しました!!!
DSM-5は過去問がないから,本もネットも調べまくり,
DSM-Ⅳ-TRからの変更点や診断基準などを覚えました。

もし友人たちと担当制で勉強会をやっているなら,
ここは自分がやると名乗り出るっていうのもオススメです。
ややこしいところほどそうするといいです。
発表者が一番覚えます。
もちろん,出題されました。

【防衛機制】
これは絶対ですね!

【臨床心理士倫理綱領】
これも絶対!!











「慰安婦問題をめぐり日韓両国が合意」したことについて

2016-01-08 10:58:46 | 女性の人権
今回の合意は,戦時に性的被害を受け続けた,元「慰安婦」の人たちのためだろうか。
彼女たちとその支援者の人々が,長年訴え続けているのだから,
普通の感覚で考えると,
被害者の方々への心からの謝罪と名誉を回復しようとの気持ちがあるのなら,
被害者が納得できるように考慮し,話しあい,できるだけ近づける努力をするだろう。
また,首相自ら,直接謝罪に行くだろう。

そういうことがなされたのか。
なされたとは言い難いから,元「慰安婦」と支援者の皆さんは反発しているのだろう。

国連の人権分野の活動などを研究している,
青山大学教授で国際法学者の申 惠丰(しん へぼん)さんは,次のように述べているという。

以下のご意見にまったく同感する。
あらためて,「慰安婦」問題を,それが自分自身だったら,
自分の子ども,孫,親,姉妹だったらとの気持ちで考えたい。

心理臨床では,PTSD(※)からの回復は大きな課題だが,
戦時中の性的奴隷がいかに深刻なPTSDとなっているか,察するに余りある。


※PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害。米国精神医学会診断統計マニュアル第5版(DSM-5)の基準によれば、実際にまたは危うく死ぬ、深刻な怪我を負う、性的暴力など、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験に晒されたことで生じる、特徴的なストレス症状群のことをさします。
出来事の例としては、災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などが挙げられます。そのような出来事に他人が巻き込まれるのを目撃することや、家族や親しい者が巻き込まれたのを知ることもトラウマ体験となります。また災害救援者の体験もトラウマと成り得ます。)
(日本トラウマティック・ストレス学会より)


“日本軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた、という部分は1993年の河野談話と同様だが、日本政府が「責任を痛感している」ということを新たに盛り込んだ点と、民間でなく日本政府の資金拠出によって財団を設置するとした点について、踏み込んだ内容の合意になったという評価もある。しかし、今回の合意には、以下のように問題も多い。”

“まず、事実に関する大前提として、「軍の関与の下に」という表現がそれ自体あいまいであること。

多数の公文書のほか、裁判における事実認定、また、河野談話当時に政府自ら行った調査の結果
(アジア女性基金デジタル記念館「政府調査『従軍慰安婦』関連資料集成」)
によっても、慰安所は軍が自ら考案して設置し、女性集めや陸路・海路での輸送、
慰安所規則・料金の決定などの管理を含め全面的に軍が監督・統制し、かつ、
内務省や外務省など国の機関も深く関与したことは実証されている。「軍の関与の下に」ではなく、
「軍が」設置し運用した制度であったと包み隠さず言うべきだ。”

“第二に、「女性の名誉と尊厳を傷つけた」というものの、
その人権侵害の実態についての明確な記述が欠けていること。

女性が集められた方法は様々であり、日本の植民地であった朝鮮半島の場合には、
「工場で働く」などと言って貧しい家の娘を騙して連れて行く場合が多かったが、
拉致・脅迫・甘言など徴集の方法にかかわらず、連れて行かれた先で、
監禁されて連日強かんされ続けたのであるから、それはまさに、「性奴隷」の状態そのものであった。

河野談話はこの点、募集や移送、管理について「総じて本人たちの意思に反して行われた」
としていたが、安倍内閣は、2007年の閣議決定で
「軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述もみあたらなかった」としているように、
これまでほぼ一貫して、「人さらいのような強制連行」でなければ「強制連行」ではなく、
また、そのような意味での強制連行を軍や官憲がしたことを示す証拠はないという立場にこだわってきた。

入口の段階で「人さらいのような強制連行」がなければ
それはまるで自由意思で女性が性的奉仕を行ったものに過ぎないかのような、
そのような言い逃れをする態度こそが、被害者に対して、慰安婦としただけでなく
この期に及んでも繰り返しの侮辱を与えてきたのである。
日本政府、とりわけ安倍政権(第一次、及び現在の第二次)がこの問題に対して取ってきた態度こそが、
まさに「蒸し返し」なのであり、アジア女性基金を含む日本の取組みや謝罪に対しても
被害者が納得しない最大の理由である。
このような経緯をふまえれば、安倍政権がこれまでとってきた立場を明確に否定し、
徴集の形態はどうあれ被害女性たちは性奴隷状態におかれたという事実を認める内容を含めなければならない。


“第三に、慰安婦問題の事実を後世に語り伝えていくための歴史教育の問題。

河野談話は曲がりなりにも「歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、
同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意」を表明するとしていたが、
その後この姿勢は(アジア女性基金デジタル記念館の作成を除けば)ほとんど実行に移されることなく、
むしろ、実際に起こったのは、この問題を何とか少しでも矮小化しようという日本政府の意向の顕在化であり、
NHKなどのメディアへの安倍ら自民党政治家の露骨な介入であった。
現在、子どもたちが学ぶ歴史教科書からも、慰安婦問題はほとんど消えてなくなっている。


“今回の合意は、歴史教育を含め、歴史の教訓を伝えていくことに全くふれていない。
重大な人権侵害について、事実を歴史の教訓として教え、語り継ぐことは、
事実の承認、被害者の名誉回復、さらには、同様のことを繰り返さないという再発防止の観点からも
きわめて重要だが、これが抜け落ちていることは大きな欠落である。
これを日本側でしないでおいて、少女像を撤去せよとか、
不可逆的解決うんぬんと言って被害者側の口を閉じようとしても、被害者にとって受け入れ難い。

この合意は、被害事実を真に認めて謝罪し、名誉回復や再発防止を図ろうということよりも、
後世の日本人に謝罪を繰り返させたくないという日本側の自己中心的な考えに立ってなされたもの
と言われても仕方がない。むしろ、日本こそが、(ドイツやオーストリアがそうしているように)
都心の一等地に記念碑 を建てるなり、歴史博物館を作るなり、自ら積極的に乗り出すべきなのだ。
 総じて、今回の合意は、戦後70年も経って結ばれたものながら、
当然に含まれてしかるべき内容が多く抜け落ちており、
当然ながら、納得できない被害者が再び抗議の運動を繰り広げる事態を招いていることがとても残念。



“後世の日本人に謝罪を繰り返させたくないという日本側の自己中心的な考えに立ってなされたもの”
であるだろうし,アメリカのアジア政策の一環への政治家としての打算ではないかと思われる。

“後世の日本人に謝罪を繰り返させたくない”よりもむしろ,
今までの言動から考えて,何より首相自身が謝りたくないのだと思われる。
さらに,自分の国が過去にどんなことを行ってきたか,
歴史教育できちんと認識させて,皆が常に自覚していることこそ,
同じ過ちを繰り返さないために必要なことだろうが,
国民に早く忘れさせて,同じ過ちを繰り返そうとしているのかと勘ぐりたくなる。

臨床心理士試験勉強方法1・・・私の場合

2016-01-03 01:42:02 | 臨床心理士試験
記憶力低下著しい,私の勉強法ですが,
わずかでもどなたかの参考になれば幸いです。
少しずつアップしていきます。

◆まず,過去問を用意しました。
コピーがたくさん必要なので,まだ学生の方は,友だちと手分けして,
修論が終わったら早速,大学院にいる間に取れるといいです。
うちの場合平成5年頃から15年頃までは,分野別に綴じてあったので,
そこまで昔のはいらないかとは思いつつ,コピー。
分野別の勉強中に,一応目は通しました。

過去問をやる時間をたくさん取れなかったので,
過去5年分くらいは,全問題をざっと見て,分野別に何番の問題か一気に書き出しました。
何が多く出題されているかも実感としてわかるし,あとから便利だったなあと思いました。
たとえば,統計の勉強をやったら統計の問題傾向を見るために,上記まとめを見て統計だけやって,
すぐに答えを見るという方法を取りました。
統計,ロールシャッハ・テスト,乳幼児検査,知能検査,その他心理検査,精神障害,発達障害,
基礎心理学,法律関連・・・というような感じです。例えば以下のように。




◆次に参考資料を集めました。
大学と近隣の図書館で借りられるもの,相当数借りたと思います。
心理アセスメントのいい本が見つけられなくて,以下にはあげてないですが,
数冊借りてみたりしました。


■参考資料一覧■

1.『心理臨床大事典』培風館
(大学院受験時に購入。読んでいて結構面白い)

2.『DSM-5精神疾患の分類と診断の手引』
(これは手放せない!!! 常に見ていた。買ったほうが良い)

3.『臨床家のためのDSM-5虎の巻 』森則夫, 杉山登志郎, 岩田泰秀編著
(今回の試験はDSM-5からだろうと思っていたので,とても参考になった。実際今回は,DSM-5からしか出題されなかった)

4.『DSM-5を読み解く1~5』2014.9~12発行
(詳しすぎるので,試験勉強には役立たないかも。安心感のためぐらい)

5.『特別支援教育の理論と実践第2版 Ⅰ理論・アセスメント』上野一彦,宮本信也等著
(特別支援教育士のためのセミナーテキストで,非常に良い! 発達障害の理解,WISC-Ⅳ,KABC-Ⅱ等詳しい)

6.『日本版WISC-Ⅳによる発達障害のアセスメント』日本文化科学社 2015/1/30
(とても役立つ。ここに載っていた例のプロフィールに似たものが試験に出た。図書館になかったので買った。その後も出番が多いと思う)

7.『'15-'16年版 臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集 』2015/2/13発行心理学専門校ファイブアカデミー 著
(やっぱり全体をカバーしているので役立つ。買った。厚いので,分野別に切り取ってカバーを付けて持ち歩いた)

8.『臨床心理士試験一問一答問題集&最重要キーワード』心理学専門校ファイブアカデミー著 2015.3発行


9.『臨床心理学頻出キーワード&キーパーソン事典』心理学専門校ファイブアカデミー著 2014.8.28発行


10.『心理学の頻出問題 改訂版』:実務教育出版
(院試の時買ったもの)

11.『合格ナビ!臨床心理士を目指す人のための心理学用語集』福井博一, サイコロジカル・コーチング・スクールC4著 2014.11発行
(8から11は合間合間にちょこちょこ読んでいた。全部は多すぎるので,選択するといいと思う。もちろん,できるだけ新しいバージョンを)

12.『キーワードコレクション 心理学(改訂版)』
(基礎心理を抑えるのに非常に良い。明らかに出ないと思われる内容は飛ばし読み。院試の時に買った古いバージョンよりやっぱり新しい方が良い。常に読む)

13.『心理学 第5版』鹿取廣人, 杉本敏夫, 鳥居修晃編 東京大学出版会 , 2015.7発行
(これも良い。東大心理学のテキストらしい。第5版が最新。12と13で基礎はいいかも。近隣の図書館で借りた)

14.『ロールシャッハ・テスト その実施・解釈・臨床例』小野和雄著 P91-156
 (カテゴリーの整理,日本人の標準値,解釈についてまとめるのに,とても役立つ。ロールシャッハの片口法をパーフェクトにするためには,以上のことを自分なりに十分理解できるようにまとめておくと,試験は大丈夫だと思う。まとめるにあたっては,この本だけではもちろんなく,15.も,その他ネットも駆使して。エクセルでA4,4枚ぐらいにまとめて持ち歩いた。)

15.『新・心理診断法―ロールシャッハ・テストの解説と研究』片口安史著

『ロールシャッハ・テストの学習―片口法スコアリング入門』藤岡新治・松岡正明・片口安史著
(事例を読む参考にもなる)

16.包括システムなら,
『ロールシャッハ・テスト実施法』高橋雅春・西尾博行・高橋依子著

『ロールシャッハ・テスト解釈法』高橋雅春著


17.『多変量解析のはなし―複雑さから本質を探る』大村平著
(統計には危機感を持っていたので一通り読んだ。結局統計は1問しか出なかったけどね)

18.『よくわかる心理統計 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)』山田剛史・村井潤一郎著,ミネルヴァ書房
(わかりやすい!)

19.『本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本』吉田寿夫著,北大路書房
(くわしすぎて読むのにまどろっこしい感もあった)

20.『試験に出る心理学 臨床心理学編』
(アセスメントのまとめがわかりやすい)

21.『わかりやすいMMPI活用ハンドブック : 施行から臨床応用まで』野呂浩史, 荒川和歌子, 井手正吾編集 ; 和田秀樹序文,金剛出版
(MMPIのまとめならこれ! 代表的なプロフィールを覚える! 実際試験に出た)

22.心理データ解析(小塩真司先生のサイト)
(すごく役立たせていただいた!こういうサイトをオープンにして下さっている先生に感謝!!)

23.総合心理相談ES DISCOVERY
(こちらも簡潔でわかりやすい。感謝!!)

24.仔猫の遊び場
 (こちらもとてもありがたかった!)

25.ひろみの部屋
(いろいろ参考にさせていただいた。感謝!!)

26.その他ネット等