pcfxはずっとPC-98を良いマシンだと思えなかった。日電さんが嫌いだったわけでは
ないが、なんかOA用コンピュータで無理やり遊ぶというイメージがPC-80時代から
あったのと、マイナー好きの魂がトップシェアのパソコンをどこかで許せなかったのが
あったのだろう。もちろん偏見なのはわかっているし、マジョリティが羨ましくも
あった。
職場のバイト君が学校を卒業して引っ越す際に、荷物になるのでほとんど使って
なかったPC-98RSを買ってくれないかと頼んできた。その時代DTMはマックの独壇場
だったがPC-98にもプロ用環境が揃いつつあった。音楽知人の皆はマックユーザー
ばかりで、電話で話せばマックを買え、会って話せばマックを買えと連呼し、自宅に
来てpcfxのアミーガを見てはプアマンズマックと罵った。自分がいかにマックに金を
つぎ込んでいるかを語り、メモリをどれだけ買い足しているかを延々と語り出す。
もうそれがウザくて仕方がなく、まるであの宗教みたいに感じていたので、マックは
買うまいと心に決めていたのだった。高くて買えなかったし。
しかしMSXのDTMはとっくに時代遅れとなっており、アミーガではデータの互換性や
製作環境が国内と違いすぎる点などで限界を感じていた。そこにこの話である。悪くは
ないな、とpcfxはバイト君のパソコンを買い取る事にした。
98を買ったらソフトを買わねばならない。大須(名古屋のアキバ)に向かい、何本かの
DTMソフトと大戦略4を購入した。そして、マイナー機ばかり使ってきたpcfxが、98を
欲しかったもう一つの理由、「エロゲー」を買いに、ソレ系統のショップに初めて
足を踏み入れた。88からのユーザーにはメーカーや傾向などがわかるのだろうが、pcfxは
何を買っていいやらわからず、結局買わずに帰宅したのだった。
それでもエロゲーはやりたい。そこで何を選ぶべきか友人に相談すると、どうやらエルフ
というソフト会社のゲームが人気があるらしい。最新流行は「同級生」というタイトル
だそうな。
その情報を元に、また大須のエロゲショップに繰り出したpcfxは、「同級生」の
パッケージを見つけ出して、多少抵抗はあったもののレジに持っていった。
その結果、DTMソフトはロクに使わず、また大戦略もロクにやらないまま、猿のように
「同級生」をやりまくる事になってしまった。あまりに面白く、「これ別にエロじゃ
なくてもよくね?」というほどシナリオが秀逸だった。もちろんエロがなければ物足り
ないのだが、破天荒な主人公が一日中街をフラフラして色んな女にちょっかいを出して
回るという、そのゲームシステムにすっかり脳を持って行かれたのだった。
当時の98はHDDが標準搭載ではなく、またHDDは非常に高価なものだった。なので皆は
フロッピーディスクを入れ替え入れ替えしながらゲームの中断に耐え忍ぶのが普通
だった。「同級生」も10枚くらいあるフロッピーを入れ替えながら遊ぶものだった。
なにしろ頻繁な入れ替えなものだから、左手の指によく使うディスクを4枚はさみ、
右手でキーボードを操作するという涙ぐましいスタイルを余儀なくされる。また5インチ
のフロッピーディスクは非常にかさばる上傷つきやすく、扱いにも苦労した。
pcfxは同級生のキャラの中では「美沙」がお気に入りであり、他のキャラを攻略中でも
ついつい美沙ルートに入り込んで、結局美沙ENDばかり迎えてしまう毎日を送って
いた。pcfxのガンヲタの友人が「キミキス」をプレイする際に、毎回猿のように
「まお姉ちゃん」ばかり攻略していた気持ちもわからなくはない。男とはそういうもの
である。
同級生はその後、色数が改善されたDOS/V版が発売されたので買い、HDDインスコ
バージョンが出たのでHDDとセットで買い、CD-ROMバージョンが出ればやはり買った。
他のエロゲは一回やったらそれまでなのだが、同級生は何度やっても面白い。
未だに時折やっている。
同級生には続編もある。「同級生2」だ。ゲームシステムは継承しているがキャラは
大きく入れ替わった。「同級生」は夏休みの話だったが、「同級生2」は冬休みの
話になっている。だから「同級生」はカラッとした雰囲気の夏の開放感に満ちているが、
「同級生2」は冬の憂鬱さがにじみ出ている。それがまた特別な情緒となり脳に刻み
込まれる事になってしまう。
「同級生2」はPC-FXにも移植された。PC-FX版はなんとフルボイスである。これだけを
やりたいがためにPC-FXを購入してしまった人も大勢いることだろう。「同級生2」が
好きな方なら是非フルボイスのPC-FX版をプレイするべきであり、今すぐネットや
中古ショップを探しまわってPC-FX本体と「同級生2」を同時購入するべきである。
そこには至高の喜びが待っており、必ずや「買ってよかったPC-FX」と歓喜に打ち震える
事になる。心配しなくてもPC-FX版は18禁仕様だ。
え?SFC版?SS版?PS版?エロ省略ですよ。いいんですかそれで。
現実的な現在のソフト入手方法で合理的なのはエルフHPのダウンロード販売で購入
する方法だろう。価格もまあ安いし、支払い方法も豊富で買いやすい。どうしても
今この場で欲しい人はクレカやSUICAやEdyを用意してググろう。
ともかく「唯」の「お兄ちゃん!」を肉声で聞くことがこのゲームのコア部分にあたる
のは間違いないと思われる。それだけはどうしても外せない。
しかしそれぞれのバージョンには独自の特別キャラが登場したり、特別シナリオが
追加されたりしているので、ファンなら全部プレイしたほうがいい。いやするべきだ。
いやしなくてはならない。「今更・・・」などという他人を意識した時系列が重要
だろうか?大事なのは自分が「やったか、やらなかったか」のみだ。主体的に生きよう。
但しスーファミ版はニンテンドーパワー書き換えなので、現在購入は絶望的だ。しかし
データの残っているSFメモリがオークションに出ているかもしれない。他に入手する
方法はあるがここでは書けない。アレをアレすれば遊べる。
pcfxは「同級生2」では洋子がお気に入りであり、何度もアレされる事になった。
「同級生3」はまだ発売されていない。いろいろとエルフの中の人の大人の都合により、
「作品」はあるようなのだが「発売」はされていない。その内に大人の都合がついて
発売されるかもしれないので、大人になりきれていない中年の我々は体育座りなどして
待つのが吉だといえる。まあ世の中お金だよね。やっぱ。なんだかんだいっても。
「下級生」とか「下級生2」というシリーズもあるが、上記の大人の都合によって
同級生の続編が作れなくなったので出たソフトだという噂の可能性が高いかもしれない
っぽい的な感じの複雑なものだ。
ゲームシステムなどがいろいろと違うように作られたので、同級生の続編とは言い難い。
しかし細部には同級生テイストが散見されるので、雰囲気は似ている。独特の面白さも
あるがここでは紹介しない。
pcfxは「同級生」の音楽が非常に気に入っている。特に忘れられないのはやはりマップ
移動中のBGMだ。あの「南国ハッピー」な感じの曲。それぞれのハードや時代が違うと
イメージも違うので表現し辛いが、一般的な構成と時代背景である「PC-98に廉価な
FM音源ボード搭載でPSG混在」のイメージで思い起こしてもらうと都合が良い。
ブラス系楽器のメロディーで、マップを走りまわる際に流れるBGMだ。移動の際、
プレイヤーキャラは両手を激しく振って走りまわるので、pcfxの仲間内ではこの曲を
聞くと皆、示し合わせたかのように両手をバタバタさせる。そして近くの民家の
ドアホンを鳴らしたくなる衝動を抑える。押したところで出てくるのはどうせオバサン
で、通報されるのが関の山だからやらない。
なんにしろ、「同級生」は夏の躁と冬の鬱が織り成す甘酸っぱい青春のゲームであり、
エロゲと一括りにするにはあまりに切ない恋の物語だ。国産マシン文化の産物であり、
エルフとテクノロジーとオタの幻想によって紡ぎだされた日本固有の文学がそこに
あった。
ないが、なんかOA用コンピュータで無理やり遊ぶというイメージがPC-80時代から
あったのと、マイナー好きの魂がトップシェアのパソコンをどこかで許せなかったのが
あったのだろう。もちろん偏見なのはわかっているし、マジョリティが羨ましくも
あった。
職場のバイト君が学校を卒業して引っ越す際に、荷物になるのでほとんど使って
なかったPC-98RSを買ってくれないかと頼んできた。その時代DTMはマックの独壇場
だったがPC-98にもプロ用環境が揃いつつあった。音楽知人の皆はマックユーザー
ばかりで、電話で話せばマックを買え、会って話せばマックを買えと連呼し、自宅に
来てpcfxのアミーガを見てはプアマンズマックと罵った。自分がいかにマックに金を
つぎ込んでいるかを語り、メモリをどれだけ買い足しているかを延々と語り出す。
もうそれがウザくて仕方がなく、まるであの宗教みたいに感じていたので、マックは
買うまいと心に決めていたのだった。高くて買えなかったし。
しかしMSXのDTMはとっくに時代遅れとなっており、アミーガではデータの互換性や
製作環境が国内と違いすぎる点などで限界を感じていた。そこにこの話である。悪くは
ないな、とpcfxはバイト君のパソコンを買い取る事にした。
98を買ったらソフトを買わねばならない。大須(名古屋のアキバ)に向かい、何本かの
DTMソフトと大戦略4を購入した。そして、マイナー機ばかり使ってきたpcfxが、98を
欲しかったもう一つの理由、「エロゲー」を買いに、ソレ系統のショップに初めて
足を踏み入れた。88からのユーザーにはメーカーや傾向などがわかるのだろうが、pcfxは
何を買っていいやらわからず、結局買わずに帰宅したのだった。
それでもエロゲーはやりたい。そこで何を選ぶべきか友人に相談すると、どうやらエルフ
というソフト会社のゲームが人気があるらしい。最新流行は「同級生」というタイトル
だそうな。
その情報を元に、また大須のエロゲショップに繰り出したpcfxは、「同級生」の
パッケージを見つけ出して、多少抵抗はあったもののレジに持っていった。
その結果、DTMソフトはロクに使わず、また大戦略もロクにやらないまま、猿のように
「同級生」をやりまくる事になってしまった。あまりに面白く、「これ別にエロじゃ
なくてもよくね?」というほどシナリオが秀逸だった。もちろんエロがなければ物足り
ないのだが、破天荒な主人公が一日中街をフラフラして色んな女にちょっかいを出して
回るという、そのゲームシステムにすっかり脳を持って行かれたのだった。
当時の98はHDDが標準搭載ではなく、またHDDは非常に高価なものだった。なので皆は
フロッピーディスクを入れ替え入れ替えしながらゲームの中断に耐え忍ぶのが普通
だった。「同級生」も10枚くらいあるフロッピーを入れ替えながら遊ぶものだった。
なにしろ頻繁な入れ替えなものだから、左手の指によく使うディスクを4枚はさみ、
右手でキーボードを操作するという涙ぐましいスタイルを余儀なくされる。また5インチ
のフロッピーディスクは非常にかさばる上傷つきやすく、扱いにも苦労した。
pcfxは同級生のキャラの中では「美沙」がお気に入りであり、他のキャラを攻略中でも
ついつい美沙ルートに入り込んで、結局美沙ENDばかり迎えてしまう毎日を送って
いた。pcfxのガンヲタの友人が「キミキス」をプレイする際に、毎回猿のように
「まお姉ちゃん」ばかり攻略していた気持ちもわからなくはない。男とはそういうもの
である。
同級生はその後、色数が改善されたDOS/V版が発売されたので買い、HDDインスコ
バージョンが出たのでHDDとセットで買い、CD-ROMバージョンが出ればやはり買った。
他のエロゲは一回やったらそれまでなのだが、同級生は何度やっても面白い。
未だに時折やっている。
同級生には続編もある。「同級生2」だ。ゲームシステムは継承しているがキャラは
大きく入れ替わった。「同級生」は夏休みの話だったが、「同級生2」は冬休みの
話になっている。だから「同級生」はカラッとした雰囲気の夏の開放感に満ちているが、
「同級生2」は冬の憂鬱さがにじみ出ている。それがまた特別な情緒となり脳に刻み
込まれる事になってしまう。
「同級生2」はPC-FXにも移植された。PC-FX版はなんとフルボイスである。これだけを
やりたいがためにPC-FXを購入してしまった人も大勢いることだろう。「同級生2」が
好きな方なら是非フルボイスのPC-FX版をプレイするべきであり、今すぐネットや
中古ショップを探しまわってPC-FX本体と「同級生2」を同時購入するべきである。
そこには至高の喜びが待っており、必ずや「買ってよかったPC-FX」と歓喜に打ち震える
事になる。心配しなくてもPC-FX版は18禁仕様だ。
え?SFC版?SS版?PS版?エロ省略ですよ。いいんですかそれで。
現実的な現在のソフト入手方法で合理的なのはエルフHPのダウンロード販売で購入
する方法だろう。価格もまあ安いし、支払い方法も豊富で買いやすい。どうしても
今この場で欲しい人はクレカやSUICAやEdyを用意してググろう。
ともかく「唯」の「お兄ちゃん!」を肉声で聞くことがこのゲームのコア部分にあたる
のは間違いないと思われる。それだけはどうしても外せない。
しかしそれぞれのバージョンには独自の特別キャラが登場したり、特別シナリオが
追加されたりしているので、ファンなら全部プレイしたほうがいい。いやするべきだ。
いやしなくてはならない。「今更・・・」などという他人を意識した時系列が重要
だろうか?大事なのは自分が「やったか、やらなかったか」のみだ。主体的に生きよう。
但しスーファミ版はニンテンドーパワー書き換えなので、現在購入は絶望的だ。しかし
データの残っているSFメモリがオークションに出ているかもしれない。他に入手する
方法はあるがここでは書けない。アレをアレすれば遊べる。
pcfxは「同級生2」では洋子がお気に入りであり、何度もアレされる事になった。
「同級生3」はまだ発売されていない。いろいろとエルフの中の人の大人の都合により、
「作品」はあるようなのだが「発売」はされていない。その内に大人の都合がついて
発売されるかもしれないので、大人になりきれていない中年の我々は体育座りなどして
待つのが吉だといえる。まあ世の中お金だよね。やっぱ。なんだかんだいっても。
「下級生」とか「下級生2」というシリーズもあるが、上記の大人の都合によって
同級生の続編が作れなくなったので出たソフトだという噂の可能性が高いかもしれない
っぽい的な感じの複雑なものだ。
ゲームシステムなどがいろいろと違うように作られたので、同級生の続編とは言い難い。
しかし細部には同級生テイストが散見されるので、雰囲気は似ている。独特の面白さも
あるがここでは紹介しない。
pcfxは「同級生」の音楽が非常に気に入っている。特に忘れられないのはやはりマップ
移動中のBGMだ。あの「南国ハッピー」な感じの曲。それぞれのハードや時代が違うと
イメージも違うので表現し辛いが、一般的な構成と時代背景である「PC-98に廉価な
FM音源ボード搭載でPSG混在」のイメージで思い起こしてもらうと都合が良い。
ブラス系楽器のメロディーで、マップを走りまわる際に流れるBGMだ。移動の際、
プレイヤーキャラは両手を激しく振って走りまわるので、pcfxの仲間内ではこの曲を
聞くと皆、示し合わせたかのように両手をバタバタさせる。そして近くの民家の
ドアホンを鳴らしたくなる衝動を抑える。押したところで出てくるのはどうせオバサン
で、通報されるのが関の山だからやらない。
なんにしろ、「同級生」は夏の躁と冬の鬱が織り成す甘酸っぱい青春のゲームであり、
エロゲと一括りにするにはあまりに切ない恋の物語だ。国産マシン文化の産物であり、
エルフとテクノロジーとオタの幻想によって紡ぎだされた日本固有の文学がそこに
あった。