四半世紀以上前、当時の丸ビルで働いていた時、2階にあった時計店に行くのが好きだった。
そこにはオーナーのオバちゃんと時計職人の2人がいて、僕はいつもショーケースに鎮座しているCYMAの腕時計を見せてもらっていた。その腕時計が欲しいと思ったけれど、「売り物じゃないよ」との事、見ているだけでも満足だった。
時計店には毎日の様に顔を出していたから、3~4年する内にオバちゃんとはすっかり仲が良くなった。
そんなある日、オバちゃんが「アンタには話しておくけど・・・」と、貸し店舗の賃料が上がるので店をたたむと話してきた。
「アンタ好きだっただろ、この時計? あげるよ。取っときな」
そんな経緯で憧れの時計を手に入れた。
それから数年し、僕は転職しヤマハのディーラーで働いていた。転職してすぐ父が倒れ、1年半の闘病の後、父は亡くなった。
一人になった母を元気付けようとしていたのだが、母は父の後を追う様にして、3ヶ月後に突然死した。
僕の気は動転した。
母の残したピアノを形見分けで兄からもらったが、母が亡くなってウチにやって来たピアノなんか要らないと自暴自棄で、当時仲良くしていたエレクトーンの生徒に、「ピアノやるよ」と申し出たが、さすがにピアノはもらえないと言うので、「そう、じゃ、これなら困らないだろ? これやるよ」と自分の大切なCYMAの時計をあげてしまった。
あれから28年。
その間、バカな事をしたとか、あの時計がもう一度欲しいと思ったり、大切な物は人にあげてはいけないとか、色々悶々とした事もある。インターネットが使える様なった今は、海外の時計店やオークションも調べまくった時期があるが、見つける事ができなかった。
そんなシーマの腕時計、まさかヤフオクにでてたりなんて・・・と一昨日検索してみると・・・
ん? 拡大しないと分かんないぞ?・・・
まさか?
おぉぉぉぉぉ~~~!!
これぞ探していた時計!
ベゼルが大分痛んでいるが、まちがいない!(そのせいか安い値段)
早速入札し、無事落札、それが本日もう届いた!
元気に動いている!
ベゼルのキズはいつかどうにかするとして、取りあえず手持ちのベルトに取り替えて今僕の腕で時を刻んでいる。
夢にまで見、もう出会う事はないだろうと諦めかけていた時計と再会でき、最高の気分だ!