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A&Vフェスタ参考出品モデル 2

2008年03月05日 22時10分41秒 | オーディオ

 今日は、フェスタの参考出品の中でも一番目立つモデルのご紹介です。
上が17cmパルプコーンフルレンジスピーカーのDCU-F172P、下が17cmPPコーンウーファーのDCU-172PPです。
両モデルともに共通する特徴は、アルニコマグネット使用ということと、当社独自の完全シンメトリー(対称)インナー(内部)デュアル(ダブル)ダンパー方式ということです。

このモデルを見て多くの方が、「うわっ、すげぇーデカイマグネット!」と驚かれていましたが、実はマグネット自体はそんなに大きくないのです。磁気回路部がこんなに巨大になっているのは、その中に1枚目のダンパーと全く同じダンパーが対称形で配置されているからで、マグネットが大きいためではないのです。

どこかのメーカーが、アルニコマグネットを外磁型で無理やり使い**kgのアルニコ採用などとちょっと?な
ことをやっていましたが、うちのモデルは正攻法の内磁型で設計しています。正直なところ、マグネットはもう少し大きくしてもよいかとも考えていますが、アルニコの場合下手な設計をすれば磁石の動作点が変なところになって簡単に減磁したりするので、なかなか簡単にはいかないのも事実です。この辺のことも、また後日ゆっくりと書いていきたいと思っています。

このシンメトリーインナーデュアルダンパー方式はソニーの業務用ウーファー
SUP-L11で採用した方式で、パーツコストと組立て工数がかさむことが最大の悩みですが、その性能(特に音質)を一度聴いてしまうとなかなか元には戻れない魅力を持っています。

一般にある デュアルダンパー方式は、最大の目的は耐久性の向上で、主に大出力のサブウーファーやPA用ウーファーに用いられていますが、2枚のダンパーが磁気ギャップ部の片側に配置されるためセンタリング効果は完璧ではなく、またボイスコイルから振動板までの距離が2枚目のダンパーの分伸びてしまうので伝達ロスも発生し、音質的にもデメリットの方が多いと思います。下記の図はソニー時代に私が書いた導入資料ですが、今回のモデルとはサイズは違うものの方式としては同じですので分かりやすいかと思います。



まぁこの辺のところは理屈では設計者であれば分かっているとは思いますが、あんな手間のかかるくそ高いインナータイプのデュアルダンパーを本当に製品にしようと考えるのは私のような技術バカしかいないのかも知れません。実際のところ、SUP-L11もその性能の良さは評価されたものの、その価格がネックとなって大ヒットとはいかなかったのも事実ですから。
でもここだけの話、当時189,000円という定価も本当のところは大バーゲンで、原価がこうだから定価はこうしようというやり方ではなく、コンペチターのTADがいくらで売っているのだから定価はこの辺が限界というような感じで決めており最初から赤字に近かったのです。SUP-L11を今お持ちの方は、2度とこんな価格ではこのクラスのユニットは出てこないと思うので、是非大切にしてやってください。

今回のモデルはまだ製品化については何も決まっていませんが、おそらく価格はF社の限定モデル以上になりそうなので、PARC Audioという新参ブランドではたして何人の方が購入していただけるのか、本当に頭が痛いところです。

DCU-F172Pはモデル名が示すように、パルプコーンのフルレンジモデルですが、現状は低域のクオリティが上がりすぎて高域が少し負けている感じなので、商品化までにはもう少し再調整が必要かと考えています。

DCU-172PPも当初はフルレンジでの検討予定でしたが、これはDCU-F172P以上にウーファー的なバランスになったため、今の状態ではウーファーの方がまとめやすい
かなぁと感じています。

昨日紹介したPPコーンのコアキシャルが好評のようなので、これもコアキシャルにして商品化という可能性もあるかも知れません。いずれにしても、これらのモデルは今後じっくりと熟成させて世の中に出していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
雰囲気よりも (ヒーすけ)
2008-03-06 01:07:55
こんにちは。
DCU-172PPに興味心身です。
ダブルサスペンションや二重支持のドームが少なくなっており残念に思っていました。
パークさんの製品は最近のユニットを基準にするとコンサバティブなのでしょうかそこが気に入っています。
星を描いたり、蝶を描いたり、紙を切り貼りする雰囲気重視のスピーカー(ユニット)が増えた反面、いかにもやりすぎたユニットが見られなくなったような気がしていました。
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コメントありがとうございました。 (PARC)
2008-03-06 09:48:36
ヒーすけ様

コメントありがとうございました。
DCU-172PPということはウーファーなのですが、ウーファーを支持していただける方がいらっしゃるということで少しほっとしています。

PARC Audioのユニットがコンサバティブに見えているとしたら、それは私の設計ポリシーが温故知新だったり、良いものは良いという当たり前の事からきているのかも知れません。でも、それでもできるだけオリジナリティは出していきたいと考えて、必死でやっているんですよ。(笑)

今回のダブルダンパーの商品化は、まだまだ紆余曲折があるかと思いますが、またこれから進展を報告していきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
返信する
す、すごいです~ (carriage driver)
2009-11-29 10:55:48
PPコーンのウーファ、しかもデュアルダンパーで。いやはや、以前のコメントで「17cmのミッドバスが欲しい」と申し上げた私的には鼻血クラスの大興奮モノです(笑)

正直、私の駄耳ではマグネットがフェライトかアルニコかで音質に違いがあるのかどうかはわからないんですが(もしあるにしても磁気回路部分の外形のほうが影響してるんでは?と思っています)、インナーダンパーは素人目にも振動板の動作をチューニングする上でのメリットがあるのが(ポールピース形状のほうが影響は大きいのでしょうが)容易に推測できますのでとても期待しております。

あとは私のような極貧ユーザにも買える手ごろな価格で出てきてくれますことを…(苦笑)

返信する
Unknown (PARC)
2009-11-29 23:41:08
carriage driver様


>私の駄耳ではマグネットがフェライトかアルニコかで音質に違いがあるのかどうかはわからないんですが

マグネットに関しては、ソニー時代にフェライト、ネオジ、アルニコといろいろ細かい検討をやりましたが、私なりの結論としては材質的にはアルニコが一番良いと思いますが、それ以上に影響が大きいのは内磁か外磁かということですね。そういう意味で、私には高いコストをかけて外磁型のアルニコを使うやり方はちょっと理解できません。


>あとは私のような極貧ユーザにも買える手ごろな価格で出てきてくれますことを…

このクラスの価格決めは本当に難しいです。やりたいことを徹底的にやると天井知らずになりますし、それでは絵に描いた餅になっちゃいますし。私としては高くても2桁にならない(10万円未満)ところでやりたいのですが、日本性パーツを多用するとかなり高くなるし、中国製でいくかどうか・・・。う~ん悩ましい!
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