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プロジェクトF情報1

2010年11月27日 23時15分35秒 | オーディオ

こんばんは。今日はお約束のプロジェクトF(PF)情報です。
フェアなどでこのサンプルをご覧になられると、多くの方が

「うわ~、でかいマグネットですね。」とか、「やっぱりアルニコでないといい音は出ませんか?」

というようなコメントを多くいただきます。ただ、残念ながら上記のご質問はPFの本質からは少し離れています。確かに大型のツボヨークを使ったこの手のユニットは結構世の中にありますので、外から見ただけではあまり違いは分からないかも知れませんね。
ということで、第一回の今日はこのユニットの最大のポイントである完全シンメトリカル・インナー・デュアルダンパー
ymmetrical Inner dual Damper)についてお話したいと思います。このちょっと長々しい名前ですが、平たく言えば、2枚のダンパーをボイスコイルの両側に、なおかつ 完全に対称形に設置するというものです。

このボイスコイルの両側に完全に対称形にというのが最大のミソで、昔から世の中に多くあるデュアル・ダンパー(Wダンパーとも言います)とは決定的に違います。最初に結論だけ言っておくと、アルニコ内磁型というのはこのSIDを使うために必然的にそうなるということで、これが目的ではないのです。それでは従来のWダンパーとSDIとの違いを解説していきましょう。

そもそも従来のWダンパーの最大の目的は、支持系の耐久性を上げることで、採用されるモデルもHiFiというよりは耐久性を重視されるPA用などのユニットが多いのが実情です。それに比べて、SIDの最大の目的は耐久性アップではなく、あくまで高音質を目指してのことなのです。

 

先ず1番上の一般的なシングルダンパーの構造図を見てください。
ここで「ネック当り寸法」とあるのは、これ以上振幅するとダンパーネックが磁気回路に当るという寸法で、ユニットの最大振幅を示すものです。そのため、この寸法はユニット設計をする上で一番基本的な項目の一つであり、Wダンパーになっても変わることはなく、上記の3つの例でも全て同じとなります。(というか、変えるべきではありません。)
ユニットの基本的な動作として、音楽信号が入力されると、ボイスコイルが振動し、その振動がボイスコイルボビンを伝わって振動板を振動させて音が出ます。そのため、ボイスコイルの振動を出来るだけ忠実に伝播させるには、このボビンを短くすることが有効ですが、最大振幅を確保するために必要なネック当り寸法を確保する必要があるのです。

図を見て明らかなように、振幅方向に対してユニットの質量バランスは、その振動の源であるボイスコイルから見て、圧倒的にユニット前面側に偏っています。これは従来のユニットが持っている基本的な問題点です。この問題点は、図でも明らかなように従来のWダンパーでは更に悪くなります。また、従来のWダンパーのもう一点の問題として、振動板とボイスコイルとの距離が増えてしまい、振動の伝播ロスが増えるということがあります。これらを防ぐには第2ダンパーを第1ダンパーの下に設置すればいいのですが、それをやると先に説明した最大振幅がかせげなくなるため出来ないのです。従来のWダンパーが、音質重視のモデルではあまり使われない理由はここにあると思います。

 

ではSIDの場合はどうかというと、図でも明らかなように、ボイスコイル~振動板の距離は従来のシングルダンパーと同じで、振動伝播ロスの悪化は無く、また質量バランスに関しても明らかに改善されることが分かります。特にウーファーの場合はある程度のM0が許させるので、第2ダンパーのネック部に質量バランスを取るためのウエイトリングを追加することもでき、大幅に質量バランスを改善することも可能です。これにより、機械的なリニアリティが改善され、結果として2次歪み特性などの改善が可能となります。

それとSID方式のもう1点のメリットとして、ボイスコイルの中心保持の精度が大幅に向上するということがあります。ボイスコイルは狭い磁気ギャップ内を当らないように正確に前後に振幅する必要があるため、その支持系(エッジとダンパー)にはセンタリングの精度が要求されます。図でも明らかなようにSID方式ではボイスコイルを磁気ギャップ部の両側で支持するため、その精度は非常に上がります。それに比べて従来の方式は、ボイスコイルの片側で支持をしているだけで俗に言う片持ち梁構造となっていますので、精度が落ちます。これは従来のWダンパーでも若干改善されるものの、基本的には変わりません。ではこのセンタリング精度が良くなることで、音質的にどういう効果があるかということですが、これはちょっと説明が長くなるので、次回にしたいと思います。

それからマグネットの件ですが、図でも分かるように、SIDではダンパーを磁気回路の中に入れる必要があるため、自動的に磁気回路は内磁型になります。そのためフェライトは使えないので、残る候補はネオジムかアルニコになります。ただSIDでは修理や同じ磁気回路を流用しての試作などを行う時にマグネットの脱磁が必須となりますが、ネオジムの脱磁は非現実的なので、自動的にアルニコの内磁型ということになるのです。もちろん私は音質的にもアルニコ内磁は最高と考えてはいますが、SIDの場合はちょっと別の事情もあるのです。

さて次回は、センタリング精度が向上することと音質向上の関係を説明したいと思います。では今日はこの辺で。


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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
う~む、すごい。 (GX333+25)
2010-11-28 01:04:56
PARC 様

 支点をきちんと定めて、良い磁石の間できちんと振動させる。するとセンタリングも自ずと良くなるんだろう、となんとなくわかります。

 昔、CMで良いゴルフスウィングをすると、縄でも和太鼓からしっかりした音が出る、ってのを見たことがあります(私自身は、ゴルフは全然しません――だってお金ないもん)。ちょうどそれと同じようにしっかりとグリップされたボイスコイルが正確に往復運動して、振動板に伝達する。
 ここで、かつてならば新素材ギンギンのがちがちの振動板を使ってピストニック・モーションを追求するところでしょう。しかし、おそらく、代表は、貴重なパルプ製の振動板を起用して、しなやかな振動を追求する、一方、エッジの負担は軽くて済むので、ここもさらに一工夫する・・・・・・・たぶん的外れと思いますが、なんとなくそんな絵が浮かんできました。

 やっぱりこれは、私の描いた「夢」ですかねぇ?
SLE-20W(?) (jun)
2010-11-29 00:26:56
というエッジレスウーファが昔売られていて、私は長い間、これを使っていました。構造上、当然ダブルダンパーで、アルニコ磁石だったと思います。が、どんな構造だったか思い出せません。今もあるので今度調べてみよう・・

で、次回が楽しみです。
磁気ギャップを狭くとれると言うことは、
あの式に鑑みて・・小さいマグネットで重いマスを強力に制御できる?
熱対策的にもメリットがあるのかも?
Unknown (PARC)
2010-11-29 00:30:23
GX333+25様

>一方、エッジの負担は軽くて済むので、ここもさらに一工夫する・・・・・・・たぶん的外れと思いますが、なんとなくそんな絵が浮かんできました。


いやぁ、なかなか鋭いです! 詳しくは次回に・・・。(笑)
Unknown (PARC)
2010-11-29 00:33:36
jun様

>エッジレスウーファが昔売られていて、私は長い間、これを使っていました。構造上、当然ダブルダンパーで、アルニコ磁石だったと思います。が、どんな構造だったか思い出せません。今もあるので今度調べてみよう・・

このモデルは私は知らないので断言は出来ませんが、私の知る限り、ダンパーを磁気回路の中に入れるなどというバカなことを考えるのは私くらいかと・・・・。(笑)

ソニーも研究所でWダンパーを使ったエッジレスWFを他のメンバーが検討していましたが、構造自体は普通のWダンパーでしたね。エッジレスに関しても、次回お話したいと思います。
眠れなくなりそうです(?) (kasiwaya)
2010-11-30 22:53:23
こんばんは、ご無沙汰しております。

コイルの上下でダブルダンパーですね。これだけ支持位置が上下に広ければローリングのリスクも
小さくてギャップを詰められますね。Bgを稼げて非対称歪も低いし性能的には良いことづくめですが、
工法を考え込んでしまいました。コイルの下のダンパー自体は特許広報などで時折見かけますけど、
よほど作りにくいのでしょうか・・・特殊な例を除いてお目にかかったことがありません。

一旦ダミーのポールか何かでコイルをセンター出ししながらダンパー1に固定し、次にコーンを固定、
今度は下からダンパー2をコイルに固定、最後にポール+磁石を入れる・・・な感じでしょうか。

この知恵の輪、もう少し考えてみます。
いずれにしても各パーツの芯出しが肝でしょうから、正解は企業秘密、ですかね。笑

Unknown (PARC)
2010-11-30 23:30:48
kasiwaya様

>特殊な例を除いてお目にかかったことがありません。

ソニーでは、プロ用ではSUP-L11,L11G、コンスーマーでも1モデル商品化しています。ただコストがねぇ・・・。

>一旦ダミーのポールか何かでコイルをセンター出ししながらダンパー1に固定し、次にコーンを固定、今度は下からダンパー2をコイルに固定、最後にポール+磁石を入れる・・・な感じでしょうか。

基本的にはそれでOKです。ただ細かいことを言えば、第一ダンパーとコーンは当然同時接着です。PFではあえて鼻タレタイプにしているのもそのためです。量産モデルでは先にダンパー~VCを接着する方法がよく見られますが、これは音質的にはよくありません。この3点接着部はユニットのキモです。この辺のところは、いずれまた書いてみたいと思います。

Unknown (nhaka)
2010-12-01 18:39:50
ついにプロジェクトF発進ですね.

今までにSUP-L11,L11Gの音を聴いたことがないので, どんな音になるのか楽しみです.

このユニットが日本の自作オーディオに大きな足跡になるのでは, と思います.

つかぬ事をお聞きしますが, プロジェクトFの Fはなんの略でしょうか?
Unknown (PARC)
2010-12-01 23:31:43
nhaka様

>今までにSUP-L11,L11Gの音を聴いたことがないので, どんな音になるのか楽しみです.

私もです。(笑)
でもL11とはコストのかけ方が違うので、同じというわけにはいきませんが、基本的な設計ポリシーは同じなので、多分皆さんにも気に入っていただけるものが出来ると思っています。問題はコストかも・・・・。

>このユニットが日本の自作オーディオに大きな足跡になるのでは, と思います.

まぁそれはちょっと大げさですが、単に価格が高いユニットということではなく、皆さんの記憶に残るようなユニットに出来ればと思います。

>つかぬ事をお聞きしますが, プロジェクトFの Fはなんの略でしょうか?

それは、FineのFです。というのは嘘で、私のイニシャルを付けました。(ベタですみません)
長年設計をやっていますが、今回のように本格的な開発ユニットはおそらくこれが最後かと思うので、ちょっと図々しいかもしれませんが思い切って記念につけちゃいました。ただ、正式なモデルNo.はどうするか、まだ決めていません。また5cmウッドみたいに愛称を募集しますか・・・・。(笑)
Unknown (GX333+25)
2010-12-03 06:25:57
PARC 様

>今回のように本格的な開発ユニットはおそら
>くこれが最後かと思うので、

 ん~、今のオーディオ環境を考えるとやむをえない判断とは思いますが、「最後」という言葉を聞くのは寂しいですね、なんとも。
Fは (nhaka)
2010-12-03 12:02:05
>私のイニシャルを付けました。

なるほど. そうなんですね.

# すいません. てっきり代表のお名前は "とみたけ" さんかと思っていました...

愛称募集いいですね.
Fで始まるもので募集する, はどうでしょう.

Fantasista
Final Weapon
(フェアで見た第一印象は大砲の弾でした)

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