こんばんは。
今日はDCS-W3に採用している高品位ピアノ塗装についてお話します。
最初に言っておきますが、はっきり言って私自身は塗装についてはあまり詳しくありません。そのため、今日の話は全て塗装ベンダー様にお伺いした話をそのまま掲載させていただきます。
今回塗装を依頼しているベンダー様は、国内大手ピアノメーカーの塗装もやられていた実力のあるところなので、数ある塗装ベンダー様の中では非常に優秀なところだと私は感じています。それに加えて、PARC Audioのような非常に数量の少ないものも嫌がらずに受けていただけるので、非常にありがたいところです。
今回工場を訪問させていただいた時も、細かい工夫や塗装ノウハウがつまった箇所がいろいろとありましたが、企業秘密から写真には撮れない箇所もあり、その辺はご容赦ください。
最初に使用している塗料についてですが、一般にピアノ仕上げと言っても各社いろいろな塗料を使っており、かなりバリエーションがあるようです。
一番安価なものはウレタン系の塗料を使ったもので、これは塗装後に磨いているのでピアノ塗装と言っているメーカーもあるようですが、厳密に言えばピアノ塗装というのはちょっと厳しいようです。ウレタン塗料は表面硬度があまり硬くないので、後で説明する各種磨き工程で強く磨くと塗装がはがれてしまうことがあるようで、こちらのベンダー様ではピアノ塗装用には使用していないとのことでした。
それ以外ではUV塗料という紫外線硬化タイプの塗料があり、これは紫外線投射の大型設備がいるものの、比較的安価にピアノ塗装ができるため、中級クラスには多く使われているようです。私のような素人には、これでも十分きれいに見えるのですが、プロの塗装職人さんに言わせればUV塗装は輝きに奥行きがなく、薄っぺらい感じがするんだよね、との事でした。塗装の世界も音と一緒で奥が深いようです。
今回DCS-W3で採用しているのは、ピアノ塗装の中でも最高級と言われる高品位ポリエステル塗料。これは表面硬度が非常に硬く、塗装直後は非常にザラザラなものの、磨けば磨くほど輝きが出てきて、プロいわく本当に奥行きのある感じになるんですよ、とのこと。当然、この塗料が一番仕上げるのに手間がかかるわけで、職人さんの腕の見せ所といった感じでしょうか。
さて塗料について簡単にお話したところで、次は肝心の製作工程についてです。
1.下塗り塗装(ポリサフェーサー)
DCS-W3はMDFを使用しているので、塗装をする前に下塗りをする必要
があります。ポリサフェーサーと言われる下塗り塗料は同じポリエステル
系を使用しており、6回繰り返し塗装を行います。
2.下塗り研磨工程
上塗り塗装を行う前に、サンドペーパーで軽い研磨を行います。
3.上塗り塗装
高品位ポリエステル系塗料を使い、7回繰り返し塗装を行います。
写真のように、1台1台ていねいに手造りで仕上げていきます。
4.上塗り研磨工程
5種類のサンドペーパーを使って、徐々に表面を研磨していきます。
最初は比較的粗い#320から始めて、最後は#1,000で仕上げます。
このペーパーを当てる力の調整は、手に伝わる感触を頼りに行っており、
まさに職人技といった感じです。
左が最終の#1000で仕上げたもの。右がその一つ手前の#800のもの。
私には、その差はほとんど認識できないくらいの差でした。
5.磨き工程(バフ)
サンドペーパーでかなりフラットになった表面を、バフ磨きと言う非常に
細かい磨き工程で更にフラットに磨いていきます。
バフ磨きは最初に写真のような大型のローラーで磨きを行います。
次に細部を小さなローラーで手作業でていねいに仕上げていきます。
この工程も正に手造りそのものといった感じです。
6.艶出し磨き工程
最後は、手作業で艶出しのための磨きを行います。ここまでくると、正に
鏡面といった感じになります。
ほんと鏡のように、きれいに写っていますね。
以上、合計で13回の塗装工程と8回の研磨および磨き工程で完成です。
ここの社長が最後におっしゃっていましたが、
「最近はピアノ塗装も多くのものが中国生産になってしまったので、安っぽいものが結構出回ってるよねぇ。でもうちは国内で少量でもまじめにじっくり作っていきたいんですよ。」
という言葉が非常に印象的でした。ほんとこういう昔からの匠の技のようなものはずっと残っていってほしいと心から思います。
では今日はこの辺で。
最新の画像[もっと見る]
- PARC サポートメンバー(仮称)について 14年前
- 今年もお世話になりました 14年前
- 今年もお世話になりました 14年前
- 今年もお世話になりました 14年前
- 今年もお世話になりました 14年前
- メーカー欠品中商品の入荷情報 14年前
- プロジェクトF情報1 14年前
- プロジェクトF情報1 14年前
- ユニット生産終了のお知らせ 14年前
- ユニット生産終了のお知らせ 14年前
手の届きにくい価格なんですが、欲しくなりますね。
これは、効果抜群ではないでしょうか。音にも効果ありそうですし。
そうなんですよね。私も塗装でここまで音が変わるとは思ってなかったので、かなり驚きました。でも外観だけの差なら商品化はしてなかったと思います。やっぱりスピーカーは音が出てなんぼですからねぇ。
でも考えようによっては、スピーカーユニットに比べてBOXの表面積は圧倒的に広いので、いくら振幅量が微量とは言え音質に影響が出ても不思議ではないかも知れませんね。
すごすぎて参考になりません!
個人ではここまでは無理ですね~
これは素人にはハードルが高いですね、硬化剤を入れて硬化させるタイプですね。
色と粘度、硬化時間は塗料の生産工場と連携して作って貰っているはずですが硬化剤の量が気温でかなり変化するので職人さんがデーターを付けながら調整されてるのでしょうね。
道具の掃除にアセトンと言う溶剤を使わないといけませんし塗料と溶剤自体かなり臭いので、道具と材料がそろったとしても住宅地ではまず苦情がきて無理ですね!
しかし塗料は硬化するとガラス光沢があるので綺麗なはずですね、まいりました。
I.Y様
確かに今回のW3のピアノ塗装は一般の方にはかなりハードルが高いでしょうね。そうでないと、あの価格はお許しいただけないかと・・・。
「これ欲しい!!!」という気持ちと、「自作を楽しみたいので我慢」という気持ちが毎日戦っている状態です。
ただ、既に13cmウッドコーンフルレンジユニットを購入済であり、更に本日会社帰りにコイズミ無線さんでDCU-T111Sも購入してきたので......。
とりあえず自作で行こうかなと考えています。
今年中には何とか完成させてユーザーコーナーに報告できる様がんばりたいと思っております。
私の環境(マンション住まい)では、臭いの弱い水性塗料のハケ塗りに限られてしまうので、光沢仕上げやピアノブラックなどはとてもできませんが.....。
素人なりに色々勉強して少しでも綺麗な仕上げができる様頑張ってみたいと思います。
DCU-T111Sご購入ありがとうございました。W3でなければダメなんて贅沢なことは申しません。(笑)
ユーザーレポート楽しみにお待ちしておりますね。
よろしくお願いいたします。
未だに、綺麗に仕上がったためしが有りません。
特にMDFは悲惨です。
直接、音質に影響は無いでしょうが、少しは上達しても良さそうなのですが、どうしても斑が出てしまいます。
DCK-F101W-Aも見事な斑になりました。
どなたかご指導戴けないでしょうかね。
何か下塗りが必要なんでしょうか。
MDFは塗料がしみ込んでしまうので、サフェーサーという下塗りが必要のようです。もし直接塗装をされていらっしゃるのであれば、ホームセンター等で下塗り塗料をお探しになられたらいかがでしょうか。
ただ塗装は本当に難しいですね。現在検討中のCタイプのキットも、発売するかどうかは微妙な感じになっています。どこまで品質を求めるかが本当に難しいところです。
仕事が立て込んでおりまして、こちらにすっかり御無沙汰している間に……!
なんと13回の「ぬりぬり」ですか、う~ん。
私は、下塗り一回、中塗り7回(カラーの透明ニスをシンナーで薄め、徐々に濃度を上げながら、塗り→乾燥→研ぎ→塗りで7回)、仕上げ塗り1回まではやったことがありますが、これは完全に脱帽です。
この仕上げ、さる国産高級車の本木目パネル塗装の方法をヒントに自分で考えてやったのですが、すでに20年近く、高温多湿の場所でツヤも滑らかさもびくともせずにいるのですが、やはりプロの技というのは桁外れですね。
ともかく新発売、おめでとうございます。