前妻との間に娘が一人いる
27歳になった
東京に住んでいてなかなか会えなくなっちゃったのだが
昨日、久しぶりに帰って来て一緒に過ごしました
そのお話を。
前もって来ていた連絡では
5時半に着く新幹線だよって言われてたのに
どこを、どう勘違いしたのか
俺の記憶には5時11分とインプットされていた
昨日の岩手県の俺地方
日中は吹雪、夕方はとても冷え込んで道路がツルツル
3時で早退する予定にしていたのに
仕事の都合で4時半まで働いていた
…え、間に合う??(5時11分着だと思っている
頭の中のナビゲーションシステムで空いている道
安全に走れそうな道を探す
…
間に合うかな…どうかな…
ノロノロ運転の車を呪う
でも、しょうがない。こんな天気だもん。
市内の道は鏡のようにピカピカしてて
いやいやいや…恐ろしい季節だわコレ。
…もうすぐ駅って所の交差点で止まる
つつぅ~っと車が滑る。マジ勘弁して。
娘からのLINEを確認。
『寝てた~www 着くのは31分だよ~』
…
…
…あ、余裕です。余裕で着きます。
安全運転で大丈夫です。
楽しみすぎて時間を間違えて
一人で焦っていたな、うん。
時間になって、改札口へ向かう
ここで待ち合わせだ
色んな人が降りて来る
でも、なかなか見えない
新幹線が停まるとある程度の人波があって
その中にいるんだろうな…って思うんだけど
娘はその人波が落ち着いて、少ししてから現れた
ニコ~ッって笑って
『お~い』
改札を通過したら走ってきてジャンプしてハグ
『ただいま!』
『おかえり!』
久しぶりに会ったら大人っぽくなってるのかと思ったけど
あんまり変わってない。それが、ホッとする。
『お爺ちゃんもお婆ちゃんも待ってるから電話してあげて』
『は~い』
娘がかける電話の向こうで嬉しそうなオヤジの声が聞こえる
お爺ちゃんも、お婆ちゃんも楽しみにしてたよ。
なんか、気合がスゴイ
どんだけ食わせたいのかと、思う
でも、嬉しくていっぱい買っちゃったんだよね、ジジババ。
…
娘と話していると
俺との共通点がいっぱいある事に気付く
特にバカな話はツボが同じである
俺のくだらないDNAがしっかり受け継がれてる。
『明日は映画を見に行くんだよ!ちゃんと起きてろよ』
『10時には起きるようにする』
『バカ、10時55分からの映画だぞ。9時には起きてて。』
『は~い』
娘はそのまま実家に泊まった
…翌日の今朝9時
時間を守る男、俺は5分前に実家に到着だ
『コメダでモーニング食べて、映画に行く』
という予定だった
…が、しかし。
よく考えてみたんだけど
東京にもあるコメダで飯を食って
東京でも見られる映画を会話も無しに160分も見て
岩手に来た意味ってあるん??
って思っちゃった。
それを娘に言ってみた
『確かに言われてみたらそうだね』
あんなに見たいと言ってたのに一瞬で墜ちた
…
で、本当はコメダじゃなく何が食いたいかと聞くと
『お肉ぅぅぅぅ』って言う
『前にパパに連れていってもらったとこのジンギスカン食べたい』
ほほう。
そういう明確な目的、嫌いじゃないよ。
んでこうなる。
前にここで一緒にご飯食べたの、とっても美味しかったんだって。
で、内心『また行きたいなぁ…』って思ってたんだって。
『パパが運転するからビール飲んでいいんだよ』
『ええ~っ…いいんですか?』
『飲む気満々じゃねぇか!!』
瓶ビール(大)も注文
俺はライスが足りなくて
『すいません!ご飯おかわり!!』
…
大変、美味しく頂いた
食べている娘をパシャパシャと何枚も撮った
酔いを醒ましてから温泉へ…と思っていたので
少しドライブ
この地方は俺が昔、仕事でかなり通った地域だ
当時の思い出話なんか聞かせながら運転
雪景色になって、とってもいい風景が続く
…
『何か食べたいのある?』って聞くと
『甘いもん!!』
そうだね。お肉を食べて、ビールも飲んで、デザートが無いんじゃ話になんないね。
どっかアイスを売ってる所あったっけ…
本当は本命の所があるのだが
ドライブしてるうちに随分と遠くまで来ちゃってた
で、旧役場の向かいにある小さな産直に行ってみたら
入口の所に、隠すようにソフトクリームの看板があった
『お!!ソフトクリームあるんじゃない??パパ聞いてこようか』
『一緒にいこ』
…
小さな産直に入る
お婆さんが二人いる
どっちが店員さんだろうか…
とりあえず腰の曲がっていない方に声を掛ける
『ソフトクリームって…やってます?』
すると、妙な間があって
『あ…ソフト…や…やってま、す。』
『やってるんか~い』(心の声
俺がバニラで、娘がゴマソフトを注文した
冷凍庫から、アイスの素みたいのを出して来て機械にセット
『上手にできないんだよなぁ…今日はどうかな』
…
ダメだろ。コレで金を取ったら。
とは思ったものの
俺はメッチャ優しいので
『全然、プロしか出せない味わいが感じられますよ』
と、言ってあげた
娘のは俺のよりも上手に出来ていた
…
形は悪かったけど美味しいアイスだった
娘も美味しいと繰り返していた
温泉はコチラ
砂風呂です
二人で並んで砂に埋もれて
いっぱい汗をかいて来た
とっても気持ちよかった
それからもドライブをして
娘が職場に持って行くお土産を買いに行ったり
俺が前から探していた喫茶店を探しに行ったりした
そして、少し早かったけど
5時ぐらいに夕飯
蕎麦と天丼を頂いた
そして、蕎麦湯を飲みながら雑談をする親子
…
早く帰れと思われたかもしれないが
蕎麦湯が美味い(やかましいわ
それから電気屋さんに行く
新しいテレビって凄いんだよって娘が言うから見に行った
…本当にすごかった
もう、リモコンにYouTubeやNetflixやHuluって書かれたボタンがあるのね
それを押せば、ネットに簡単に繋がってもう簡単に。
…そういう世の中なのか
と、驚いた
画面もキレイで驚いた。
駅の駐車場
帰る時間がどんどん近づいてくる
今度、四月に来てよって言ったら
『いいよ』って
『四月に来たら何がしたいか考えておいて』
『また全部、今日と同じがいい。楽しかったもん。』
ジンギスカン食べて、砂風呂に入って、ヘンテコなソフトを食べて
パパのバカな話をいっぱい聞かされて
そっか、それでいいんだ。あはは。
早く四月こないかな。
ホームまで見送るのは苦手だから
きっと娘も苦手なんだと思う
俺に似てるからきっと苦手なんだと思う
…
改札口まで見送った
『またおいで。待ってるよ。』
って言うと
背伸びをしてギュウってハグをしてくれた
俺もギュウってした。
Applewatchを改札口にかざして入って行った
ハイテクな娘だ
振り返って『ありがと~~』
『ありがとね~~またね!!』
そして駅の構内に消えてった
…
心の中の明かりがフッと消えちゃったような寂しさが残った
さっき二人で歩いてきた駐車場と駅の間がとっても冷たく感じた
きっと娘も似たような事を思いながらホームに向かって歩いてる
俺に似てるから同じこと思ってんだと思う。