凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

旅の移動手段 その2 自転車・バイク

2007年10月21日 | 旅のアングル
 自転車で旅をする、ということについては、以前よりよく言及している。県別の旅の話や歌の話でも顔を出すので、自分のことはもういいかな。人力移動の旅1などを参照。

 さて、自転車にもいろいろな種類がある。一般的なのはシティサイクルと呼ばれる街で乗るに特化した車種。つまり「ママチャリ」。これで旅をしようと思えばそりゃ出来るが、ちょっとしんどいかも。ギアもついていないので変速が出来ない。タイヤが太いので地面に対する接地面積が大きく、つまり負荷が大きい。坂道を登る体勢をとりにくい。とにかく長距離にはむかない自転車である。
 でも果敢にママチャリでチャレンジしている人もいる。自ら重荷を負うように旅をする人で、大変だなぁとつくづく思う。ヒザに水がたまりそうだ。
 やっぱり、旅行、長距離移動に適した自転車を選んだ方がラクでいい。僕が長らく乗っていたのは「ランドナー」という車種。いわゆるドロップハンドルのサイクリング車である。旅行用なのでちょっとがっしりとした作り。

 以下、中途半端にマニア的話になってしまう。ご容赦を。
 今はどうなっているか知らないが、僕が自転車に乗り出した四半世紀前は、ブリヂストンのロードマン全盛期だった。他にはミヤタのカリフォルニアロード。丸石のロードエース。ナショナルのタムタムロード。こんな名前を書くだけでなんだかわくわくしてしまう。ブリヂストンのユーラシアは高級車だった。これに乗っているヤツは金持ちでちょっと羨望。アトランティスともなると、大人の雰囲気だった。
 僕はと言えば、ブリヂストンのモノックスに乗っていた。ロードマンよりも若干高い。金欠のくせになんでこんなのに乗ったかと言えば、セールで特別に安かったからにすぎないのだが。青いモノックス・スポルティーフ。これで日本の端から端まで走った。僕の青春時代の象徴とも言える。
 後部にキャリア(荷台)をつけて、後ろ車輪の両サイドに荷物を付けられるようにした。前輪にはなし。キャンプはしなかったのでこれで荷物は充分。ハンドルの間にフロントバッグ。そして寝袋を括りつけて旅立ちの準備完了。
 ところで、僕が自転車に乗り始めた頃は、別に指南役も誰もいなくて、なんの知識もなかった。どう乗れば効率的か、などと考えもせず力任せにペダルを踏んだ。今にして思えば愚かなことで、ペダルにトークリップ(ペダルと足を固定させる器具)もつけてはいなかった。それで宗谷岬まで走るのだから「若かった」としか言いようがないけれども、案の定ヒザを痛めてしまった。
 自転車のペダルというのは、長距離の場合踏み込むだけでは厳しい。ペダルと足を固定することによって、ペダルを引き上げる力も加わる。そうして負荷を分散させないともたない。失敗で学んだ僕は、次回はサイクリングフォームなども雑誌で勉強して旅立った。ペダルを回転させるときには踏み込むと同時にもう片方の足を引き上げるようにすると両足同時に負荷がかかり分散される。どちらかと言えば「引き抜く」感じか。引き抜く足を後方に蹴るようにすればなおさら楽だった。余談だが、自転車のことをチャリンコと言うけれども、中京圏では「ケッタマシーン」と言う。このケッタという語感が、ペダルを蹴るように引き抜く感じに似ていて「名古屋の自転車はみんなサイクリング車みたいだな」と思ったことを思い出す。
 さらには、坂道を登る際には、ハンドルをぐっと自分に引き付けるようにすればスイスイと進む。ツーリングをして夜、腕や肩の筋肉に張りを覚えたときには「ああ僕も一人前だ」と思ったものである。自転車は全身で漕ぐものなのだ。

 そうして、あちこち部品も取替え自分の身体に合わせ、大事に乗ってきた僕の青いモノックスであったが、社会人となってそんなに長いツーリングにも出られなくなった。それでも自転車で旅をしたい。社会人一年目の夏、僕は二台目を購入した。それは「輪行」のためである。
 「輪行」とは、自転車をバラして袋に詰め、列車などに小荷物として持ち込んで目的地まで行き、現地で組み立ててサイクリングを始めるという手段。北海道や九州まで走っていくなどということはもう無理なので、そうしう手段をとらざるを得ないのだ。
 「ランドナー」でも輪行は出来るが、時間もかかるしあちこち溶接してあるのでまたそういう仕様に改造もしなくてはいけない。僕は「ロードレーサー」という種類の自転車を購入した。これは競技用の自転車である(競輪用ではない。あれにはブレーキもついていない)。これだと、車輪もワンタッチで外すことが出来る。慣れれば約10分あればバラして列車に乗り込むことも可能。余分なものは一切付いていない。荷台はおろか泥除けもない。なので雨の日に走れば車道の泥水が撥ねて背中に一筋の黒い汚れが付着する。なので雨の日は走らない方針にした。どうせそんな長い旅はしないので荷物もデイパックひとつで充分であるからして。
 これはタイヤも細く、ちょっとダートに入ればすぐパンクしたが、なにより軽く重宝した。これで北海道・東北・九州とあちこちに出かけた。列車だけでなく長距離バスにも持ち込んだことがある。バスは小荷物料金を取られないのがいいな。

 そうやって自転車旅行を20代後半まで続けた。ちょっと身体を悪くして引退を余儀なくされ、その後結婚もしたので身体が治っても一人フラリのチャリンコ旅はしなくなってしまったが、今でも「自分はかつてサイクリストだった」という誇りみたいなものは持っている。吹けば飛ぶような誇りではあるのだが。
 現在、サイクリスト人口はどのくらいいるのだろう。僕が現役の頃は、北海道の大きなYHに泊まれば玄関前に20台やそこらの自転車が停まっていたものだが、今はあまり自転車旅などは流行らないのかもしれない。僕が自転車を降りて10年以上経つが、その最後の時代でさえ自転車が目に見えて少なくなってくる様が伺えた。
 僕がロードレーサーに乗っていた時代には、マウンテンバイクで旅をしている人々の割合が高くなってきていたように思う。MTBはオフロード用に特化した自転車であり、タイヤも太く長距離ツーリングには向かないと思うのだが、どうなっているのだろうか。重心も低いし。あの時だけの流行だったのだろうか。MTBは確かに格好いいのだが。


 さて、僕は若い頃はずっと自転車に乗っていたのだが、旅で知り合ったサイクリストたちはどんどんバイクに転向していった。僕も「なんでバイクに乗らないの」とよく言われたものだが結局乗らなかった。別に意地になっていたわけでもないのだが、兄貴がバイクで事故をやって半年入院したのを見ており、怖かったのだろう。両親も「バイクだけはやめて」と反対していたし。誘惑はあちこちからあったのだが、僕もそこまでバイクに乗りたいと思わなかったのでそのまま沙汰止みとなった。本当に風になれるのはバイクじゃないということもよくわかっていたので。
 なんでかはわからないが、結婚した相手というのがライダーだった。ガキのように小さい身体で中免を持っている生意気なやつだったのだが、彼女は無理に勧めようとはしなかったので僕も免許は取らなかった。何度かタンデムをやったがこれは怖かったなあ。ニーグリップをしろ、とか訳の分からないことを突然言われてビビったことを思い出す。今は妻も原付にしか乗っていない。

 ただ、バイクというのは旅向きだろうと思う。その機動性において。雨さえ降らなければ楽しいだろう。
 僕が見ているところ、ライダーさんにも二種類いるような気がする。「旅人」と「走り屋」さん。旅行者の視点から見てもったいないなと思うのは、せっかく絶景ポイントや史跡があっても「止まるのが面倒くさいので観ていない」という人が多いということ。バイクってそんなに止まりづらいのかなぁ。見学するより走っているほうが楽しい、というのは趣味の問題であってとやかく言うのは僭越以外の何物でもないことはよくわかっているが、なんとももったいない。昔、摩周湖ですらすっ飛ばして走っていた人と会ったが、そのくらいは見てもいいと思うのだけれどもなぁ。

 僕も普通免許くらいは持っているので、原付には乗ることが出来る。女房の原付には時々跨ることはあるのだが、これで旅に出たことはさすがにない。原付での旅行者は昔は結構居て、北海道のYHの前にジョグやタクトがずらりと並んだ時代もあったのだが、今はどうなんだろう。カブの旅というのも楽しいものだとは思うが。なんせ燃費がいいし(坂道はキツいらしいが)。原付だと止まりやすいのであちこち見て歩く旅行には適しているのではないか。近距離であればしんどくないし。僕で言えば、奈良や京都は原付旅が合うかなぁ。駐車場の心配をしなくてもいいし。
 旅先でレンタルバイクを借りたことは何度かある。交通が不便な島などでは威力を発揮する。昔石垣島で借りたバイクはスピードメーターが壊れていたので怖かったな。古きよき時代の話。

 次回に続く。

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6 コメント

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Unknown (アラレ)
2007-10-23 01:41:18
先日、中3の息子の友達が
ディズニーランドのある場所まで
いわゆる、ママチャリで冒険旅行に出かけたそうだ。

排気ガスが直撃するし
行きはまだ、よかったけど、帰りは後悔したと
いう話を聞いてきた。

片道3時間くらいの場所だと思うけど。

高校生の頃、毎日、往復14キロを
自転車通学していた私にとっては自転車は、まさしく
交通手段でした。

その後、すぐに車には乗らずに
50ccのバイクに乗った時期があった。

自転車よりはスピードは出るけど
大型バイクや車よりは格段に遅い。
でも、あのスピード感が好きだったなぁ。
季節を肌で感じられる感覚。

止まってるトラックに接触して
バイクを大破させたのに、無傷という事故から
バイクは乗っていません。

息子は春になったら祖母のいる場所まで
自転車で行くんだと張り切ってました。
友達が行った場所より、遠いと思うけど
田舎なので、気分がいいでしょうね。
一緒には行けないと思います。体力的にね(笑)
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Unknown (明石家_1955)
2007-10-23 21:37:07
そういえばここ数年乗ってないなぁ

もう乗れなかったりしてww
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>アラレさん (凛太郎)
2007-10-23 23:38:41
「毎日往復14キロ」ってのは相当だと思いますね。そういうことをやっている人は北海道でも九州でもすぐに行けると思うのですよ。

ママチャリでディズニーランドへ、というのはちょっとした冒険心をくすぐりますが、実際は排ガスでやられたか(汗)。走っていて楽しい道とそうでない道というのは当然あって、概して都会は楽しくないです(当然)。
その点、お祖母さんのところへ行こうとされてらっしゃる息子さんは正しい。是非おかあさんも一緒に♪

バイクで事故を起せば、それが人身であればニュースになるくらいで、つまり滅多に起きないことではあるのですが、自分の身に何かがあるともう怖くなる。
ライダーさんたちは本当に気をつけて欲しいですね。Tシャツ短パンで乗っている人を見るとヒヤヒヤします(汗)。
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>明石家はん (凛太郎)
2007-10-23 23:41:12
乗れないってことはないと思うよ。ああいうものは身体で覚えているもんだから。
しかし、物理的に乗れなくなってるってことはあるかもねぇ。腹がツッかえてしまうとか。ハッ!! それはワシのことかっ(汗)。
返信する
バイク体験 ないのがざんねん。 (まるちゃん)
2007-10-24 09:32:16
徒歩のみ→自転車→クルマ。
そのときどきに感じたことって 忘れていっちゃうこと多い。
凛太郎さんの文章読んでると いまは自転車乗らないまるちゃんも いろいろおもいだすなあ。
もちろん遠出なんかしたことなくて ママチャリでお買い物レベル。

クルマの免許取って初めて どんなに危険な自転車の乗り方してたかに気づいた とか
クルマに慣れてから自転車乗ったら バックミラーないのがこわかった とか。

自転車で 風とゆっくり仲良し とか。

んんん…バイクのハナシ書けなくて ごめ~ん。
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>まるちゃん (凛太郎)
2007-10-25 23:45:45
いや僕だってバイク体験はほぼありませんから。ごめ~んと言われましても…。ただ一般論として、旅の移動手段としてバイクの占める割合は高いのではないかと思って言及したにすぎませんので。

免許取った後に自転車に乗ったときに、まるちゃんと同じ体験をしたことがありますね。まっすぐ前を向いて走っているにもかかわらず、視線がなんとなしに前方左斜めにいっちゃう。これってフロントミラー目線なのですよね。慣れってこわいと思いましたよ。
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