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活字ジャンキーぴーの365日読書デイズ。

さようなら、猫

2013-03-30 15:04:28 | 
井上荒野氏です。

自分の猫 /わからない猫/ 赤ん坊と猫 /降りられない猫 /名前のない猫 /ラッキーじゃなかった猫 /他人の猫 /二十二年目の猫 /さようなら、猫

猫とかかわったことで、気づかなかった、あるいは気づかないふりをしていた心の奥底の感情が浮かびあがる。
連作ではないし、テーマに「猫」が共通しているだけでそれぞれの話には何の繋がりはないのだけれど、
どことなくそれぞれの話の主人公が放つ空気感が似ているように思う。
それはきっとどの主人公も少なからず猫とかかわったという、大きな共通点があるせいかもしれない。
これが「犬」だったら、随分と作風が変わったはずだし。(犬だったら、全体的にテンションは高め、とか)

正直、タイトルの「猫」と表紙の猫の写真にひかれて手に取ってしまったのだけど、
きゃ~~ねこ、かわえぇとかそんな内容なはずはないと予想はしていたので、そこは問題なし。
男女の話よりも、姉と妹の何とも言えない感情のやり取りが妙にリアルだった「赤ん坊と猫」が、やたら印象的でした。