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活字ジャンキーぴーの365日読書デイズ。

警官の血

2008-07-13 17:06:03 | 
佐々木譲氏です。

安城清二巡査は男娼殺害事件と、国鉄職員の殺害事件との関連性を疑いを抱き、
独自に調査を始めていたのだが、跨線橋から転落死する。
事件の謎は清二と同じ道を歩んだ息子の民雄、孫の和也へ引き継がれる。

警察官と一括りにしても、実際にはキャリア組とノンキャリア組があるように、
制服を着ている警官であるか否かで、大きく変わってきます。
清二は地域の安全を守ることを第一とした「駐在さん」でした。
民雄は父のような巡査を目指しながらも、
上からの指示には逆らえず、学生運動真っただ中の北大に潜入捜査することに。
そして和也の代でようやく時間の流れの中で埋もれていた謎は、明らかになります。
作品の冒頭といっていいほど、
最初の頃に起こった事件がこんな終盤になるまで謎のままとは思いませんでした。
ですのでここまで引っ張るか…と思ったのは事実。
ただ重要なのは謎の解明ではなく、警官としてのそれぞれの生き方です。
建前では市民の安全を守るのが警察です。
しかしその裏では平然と裏金作り、裏社会との癒着など、現実はかけ離れています。
特殊な世界の中で、彼らがどう生きたかというのが見所です。

これまで佐々木氏の作品は幾つか読んできました。
途中までは実に「読ませる」展開なのに、
このラストはいかがなものか、というような尻すぼみの印象が強かったのですが、
不安が杞憂に終わって良かったです。

また戦後の昭和から平成の現代に至るまでの教科書では習わない、
日本の歩みを見ているようで、そちらも楽しめます。



踊ってきました

2008-07-04 20:55:32 | ぴーの日常
本日はレッスンの日でした。その後は自主練。
12時過ぎにレッスンが終わり、1時からは一緒に踊るメンバーだけで練習です。
スタジオは一応(ほんとに一応)冷房が入っているのですが、人の熱気っていうのは凄いですね。
まるで効きません(苦笑)

ブロックタイプの栄養補助食品が私の昼食だったんですけど、
いつもは食欲のカタマリのわたしもさすがに暑さでバテました。
普通にお弁当持参したところで、絶対傷んでたと思うんですよ。
だから作るのが面倒だからではナイのですよ。
とにかくあの暑さは尋常じゃない。
でも意外に腹もちいいですね。
思ったより満足感ありましたよ。
たぶんこれから踊らないといけないという緊張感のせいかもしれませんが。

それからようやく一曲踊り、後は半分に分かれて細々したチェックをお互いしたりしました。
視線や手の角度の方向を揃えたり、タイミングを合わせたり。
何しろメンバーが揃うのは、前日のリハーサルまでもうありません。
ていうかそれはわたしのせいな訳なんですけども。
何故ならばどぉっっっしても、休みが合わないのです~~~(><。)。。

大丈夫か?大丈夫なのか??

悪果

2008-07-03 23:42:12 | 
黒川博行氏です。

堀内は大阪今里署のマル暴担の刑事である。
暴力団の淇道会が賭場を開くという情報を得て現場を押さえた後、
逮捕者の中にいた学校経営者を、坂辺という編集者を使って強請ることにした。

常々ニュースの映像を見て感じることは、ヤの人と相対するだけあって、
刑事さんたちもなかなかの強面…ていうか、どっち?ぐらいに見た目の線引きができない。
この作品に出てくるのは、中身も刑事よりもむしろ…いやそれ以上でした。
なんの為に刑事をやっているかというと、全てお金のため。
妻はいるが愛情はなく、かといって離婚するわけでもない。
そして妻の方も、リッチウェイという口コミの訪問販売に夢中になっている。
ランクがあがれば、子会員、孫会員からの歩合が入ってくる。
で、ランクを上げるために躍起になる。
つまり両者ともお金。なんとも乾いてます。

それにしても暴力団という悪と戦うはずの警察官が、
己の欲を最優先させてシノギ(金もうけ)を得る。
その為には捜査情報も漏洩するし、裏社会とも癒着する。
しかも個人単位ではなくて、組織ぐるみで裏金を作るのだから腐りきっている。
事細かな描写が非常にリアリティがあって、
これはフィクションなのかノンフィクションなのか、考えるとちと怖くなりました。
(話の展開はもちろんフィクションですけどね)



クローズド・ノート

2008-07-01 22:48:51 | 
雫井脩介氏です。

香恵は前の住人が置き忘れていたノートを見つけた。
いずれ取りにくると思っていたが、持ち主はなかなか現れない。
そしてある日、ついにページをめくってみるとそこには。

映画化されてましたね。わたしは見ていなかったのですが、宣伝などをちら見していたせいか、
展開が読めてしまいました。
が、おそらくそこは重要視する必要ないと思われます。
何といっても魅力はノートの持ち主、伊吹先生の人柄でしょう。
彼女は小学校の先生です。
教師という仕事が、子供たちのことが本当に好きなんだと、
様々なエピソードが伝えてくれました。
こんなに一生懸命に自分たちと向かい合ってくれる先生がいたら…
と思っていたら後書きを読んで驚きました。
ある意味本編の展開よりびっくりしました(笑)

香恵は文房具店でアルバイトをしています。
万年筆のフェアがあり初めて売り場に立つのですが、
ほいほい売れるものではないので悪戦苦闘します。
店主の娘である可奈子さんはいつの間にか売っているのに、
自分と何が違うのだろう。
売るものは違えどわたしも同じ職種故に、この辺りのもどかしさは非常~~~にわかります。
私自身がちょっとスランプ気味だったので、可奈子さんの言葉が沁みました(苦笑)