いってらっしゃーい

日常生活の中でみかけたもの。街や野山はふしぎなもので満ち溢れています。

新千歳から羽田へ

2006年05月18日 | 雑文
先日、夕方の飛行機で新千歳発羽田行きに乗ったときのことです。
(別に天変地異や怪奇現象が起こったわけではありません)
空域の関係か、飛行機はひたすら三角定規の斜辺をたどるようにまっすぐ飛び、
右下には、たぶん登別方面と思われる海岸線が見えます。そらはまだ青みがかって
夕方にはなっていません。
そのまま上昇してゆくと、いつしか、飛行機は、その日の1番高い位置の雲を超え、
ちょっと早めの夕焼けになります。雲が、ふとんのわたを広げたように、軽いでこぼこ
状態で広がっている空の上で、雲と空の境目に達した太陽は、皆既日食のときのような
ダイヤモンドリング的な輝きを残して、雲の下に消えてゆきます。
しばらくすると、飛行機は、1番上の層の雲を割って少し低い位置にはいり、そこで
また太陽と出会います。そこは、上が平らな黒い雲、下がやはりふとんのわた状の雲で、
ところどころに、恐竜風の雲がもりあがっていたり、西洋のドラゴンのような雲が見えたり、
なんだか夕暮れのサバンナを見ているような雰囲気になります。竜巻が来る前の米国の
大地のようでもあります。
そして、やがて、着陸体勢になった飛行機は、下の層の雲を切り裂いて、
下に向かいますが、天候があれていて、雷はないものの、まるでトワイライトゾーンの
化け物が翼に乗っていたシーンを思わせるような、気味の悪い空が、しばらくつづきました。
羽田付近に出ると、そこはいつもと同じ。地上の明かりと方位磁石を見て、現在位置を
確認しているうちに、徐々に高度がさがってゆきます。
なんだか異世界をのぞいたようなあやしい景色の中を飛んだ数十分でしたが、金色っぽく輝く外の景色をながめていたのは、ほんの数人だったようです。それ以来、飛行機に夕方乗ると、またみてみたいと思うのですが、残念ながら、その願いはまだかなっていません。