おもいつくままに

身の回りのことや世の中のことについて、思い付いたことや気付いたことを記す

高橋英夫著「西行」(岩波新書)

2016年05月01日 23時29分24秒 | Weblog
旧東海道を歩いていて西行の歌に何回か出会い、興味を持った。

旧東海道の金谷宿から日坂宿への道中が、小夜の中山という有名な難所であるとは知ずにいて、やっとの思いで中山峠に着いた時に西行の歌碑を見つけた。

年たけてまた越ゆべしと思いきやいのちなりけり小夜の中山

無知ゆえに有名な歌とは知らなかったが、険しい道を歩いた私には素直に体と心に響いた。年老いて再び奥州に旅するとは、さぞ難儀であったろう。西行という人はどんな人だったのだろう。

鈴鹿峠ではこの歌に出会った。

(世をのがれて伊勢の方へまかりけるに、鈴鹿山にて)
鈴鹿山うき世をよそにふり捨てていかになりゆくわが身なるらん

鈴鹿峠の近江側は緩やかだが、伊勢側は険しい。伊勢に行ったらどうなってしまうのだろうというのは、歩いた実感としてもその通りのものだった。

西行については、武士であったが隠者になった歌人という程度のことしか知らなかったので、高橋英夫著「西行」(岩波新書)を読んだ。線の細いイメージをなんとなく持っていたが、なかなかどうしてその逆なのだ。なるほどそうでなければ、二度も奥州に旅することはできまい。政とは距離をおく隠者とはいえ、歌を通して俊成、定家に至るまで、時の権力者とのかなりの関係を持っていたこと、(歌への)一念、自意識の激しさにも驚き、ちょっとと引いてしまうほどであった。
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