おもいつくままに

身の回りのことや世の中のことについて、思い付いたことや気付いたことを記す

42÷4=11足りない2

2007年10月31日 22時48分42秒 | Weblog
NHK教育のマテマティカ2が面白い。監修は「失敗学」や「直感で分かる数学」の畑村さんだ。

割り算42÷4を、発泡スチロールの立方体のブロック42個を並べて表現する。小学生がグループに分かれて、グループで考えて自分たちの答えを発表する。

正統派は、4列に10個ずつ並べると2個余る、つまり
    42÷4=10余り2
である。

面白かったのは、4列に11個ずつ並べようとすると2個足りない(2個分の穴があく)というもので
    42÷4=11足りない2
となる。

これも素敵な考え方だ。例えば壁面にタイルを貼るデザインを考えているのなら、この2個分の穴を何かに使えないか?穴をライトをつけたらどうだろう、もう少し下の方にして表札をつける?などと発想はふくらむ。

学校の算数のテストには役に立たないだろう。しかし、テスト以外の局面では望まれる豊かな応用力だ。

「ゆとり教育」は誤りで総合学習の時間もなくし、通常の授業時間を増やし、特に理数強化を目指すそうだ。応用力が足りないからだそうだが
    42÷4=11足りない2
を考えられるゆたかな感性と応用力もった人こそ、将来の科学や技術を作り出していく人材なのだと思う。
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元素はいかにつくられたか

2007年10月31日 22時17分59秒 | 
野本憲一編「元素はいかにつくられたか ー超新星爆発と宇宙の化学進化」岩波講座物理の世界 地球と宇宙の物理3、岩波書店、2007年

東大野本研究室では元素の起源となる超新星爆発のコンピュータ・シミュレーション研究が精力的に行われいている。この本では野本グループの中核を担う博士課程大学院生及び卒業生によって、研究の最前線が紹介されている。

1987年に超新星爆発によるニュートリノを神岡のカミオカンデで検出したエポックメイキングな出来事によって、元素合成と超新星爆発に関する研究は急速に進展した。カミオカンデとは神岡鉱山の地下1000mに3000トンの純水を蓄えたプールのニュートリノ検出器で小柴先生のノーベル賞受賞をもたらしたものだ。

1987年の当時から現在まで、野本グループは超新星爆発のコンピュータ・シミュレーション研究に関して主導的な役割を果たしている。そのおかげで、この本ではこの分野の最先端の知見をコンパクトにまとめられている。

この本は、この分野を勉強/研究しようとする学生/研究者にも役に立つものだと思う。その反面、あまりこの分野になじみのない人には、特に院生の担当章で、ちょっと難しいところもあると思う。しかしそうゆうところは、まず読み飛ばして最後まで読んで全体のイメージをつかめれば良いと思う。

元素の起源を知ることは宇宙の生い立ちを知るという野望につながることを野本先生が最後の章で述べている。しかし残念ながら、宇宙の組成のうち観測的に理解可能なのはわずか4%の普通の物質(バリオン物質)であり、残りの96%は分からない。20%は暗黒物質(ダークマター)76%を暗黒エネルギー(ダークエネルギー)と呼ぶ。

未知の成分が96%であることの評価をどうするかは面白い問題だ。「我々の面前には未知なる真理の大海が広がっている、さあ真理の探究に漕ぎだそう」というのが一番良いと思う。

その一方で、知見が増えていても、宇宙に関して我々はほんのわずかのことしか分かっていないと謙虚な気持ちにもなる。未知が96%という割合は、宇宙の中で私という存在がはかないものであるという素朴な感情に応えてくれる心地よい数値でもある。
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新しい自然学 ー非線形科学の可能性

2007年10月16日 00時59分52秒 | 
蔵本由紀著「新しい自然学 ー非線形科学の可能性」岩波書店,2003年。

湯川生誕100周年。20世紀は物理学の実り豊かな時代であり、これまでその実りを享受してきた。世紀の変わり目だから余計に意識するのかもしれないが、これまでとは違う科学のあり方や知のあり方が必要になってきているような気がする。

この本は、「もの」の科学の一辺倒だった従来の科学から、「こと(がら)」の科学の重要性を説く。さらに、「こと」の科学を進めていく上で、著者の専門である非線形科学が極めて魅力的で大きな可能性を秘めていることを語っている。私もやってみたい。

さらに、科学のあり方、知のあり方に関する著者のメッセージは大変貴重で極めて興味深い。

良い本に出会えてうれしい。
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福井の恐竜博物館

2007年10月14日 23時45分41秒 | Weblog
福井には、原子力発電所が多くあること以外、あまり強い印象を持っていない。

戦国の時代には柴田勝家とお市の方、幕末には松平春嶽と橋本左内を思いつく。しかし、それぞれ秀吉と坂本龍馬との関係で思い出されるので、私の頭の中では主役ではない。

福井といえば恐竜。恐竜が一番かもしれない。今日見学した恐竜博物館は素晴らしかった。

恐竜博物館は1995年に基本構想・計画の策定を始め、2000年に開館したので、バブル崩壊後のいわゆる失われた10年に建設されたことになる。この週末に新規開館した交通博物館を始めとして、最近の博物館には素晴らしいものが多いが、失われた10年に作られたものが多いような気がする。バブル崩壊後の10年は「失われた」と否定的に語られるが、次の時代の作り出す大きな流れを孕んだ貴重な時代だったように感じられる。

福井では北陸新幹線の開業に向けた準備が着々と進められているようだった。何年か後に福井まで新幹線が延びれば、ちょっと寂しく感じられた街の印象も変わるかもしれない。
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