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退職オヤジのひとりごと

退職オヤジが直面する新しい日々…感動か困惑か?
カオスの日々を綴ります

墜落の波紋

2024年08月07日 05時12分58秒 | 本を読みました

青山透子氏の『 日航123便 墜落の波紋 そして法廷へ 』という本を読みました。


未だ全容が解明できていない39年前の事故(事件)についての本です。


内容は
はじめに
第一章 「外国人遺族」
第二章 隠蔽の法則
第三章 情報公開への道
おわりに 次世代へ

というものです。

 

ネット上では、日航ジャンボ機墜落事故について、臆測も含め様々な話題が飛び交っています。

そんな中、墜落事故の外国人遺族とのやりとりから、この事件を風化させまいとする著者の強い信念が伺える内容でした。


特筆すべきは、その一つ一つが単なる臆測や想像ではなく、専門家の見解をもとに事実を積み上げたものであることです。

筆者自身は、もと日本航空の国際線客室乗務員で、国内線乗務の時日航機墜落事故の客室乗務員と同じグループに所属していました。退職後、接遇教育や人材育成プログラム開発及び講師となった後、日本航空123便墜落事故の事故調査委員会の調査に疑問を持ち、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程を修了、博士号取得されたという方です。

 

日航123便墜落事故においては、日本では裁判は一切行われず、誰も刑事責任を取らないまま公訴時効が成立している・・・ということに驚きました。

そのため、その全容が未だはっきりしない様です。

そのことにより、事件に関する多くの情報や証拠品は国民の眼に触れることがないままです。

総務省でも「情報公開とは、国民に開かれた行政の実現を図るために重要な法律です。」と謳っているにもかかわらず、その実態は作為的で情報保有者の都合により著しく客観性を損なったものとなってしまったようです。

それ以外にも同様のことは多く繰り返されており、森友の公文書改ざん事件などは論外ですが、ほぼ前文を黒く塗りつぶした文書の公開や、プライバシー保護などと云って米兵の婦女暴行事件を県側に伝えなかったりなど枚挙に暇がありません。
(公開する内容を情報所有側が一方的に決めるという点では、徹底されているとも云えるのですが・・・)


読んでいて多くの発見に出逢える本でした。

 


発見の一つ・・・『ブラック・スワン理論

追)青山透子公式サイト 


開業医の正体

2024年07月27日 06時31分45秒 | 本を読みました

松永正訓氏の『 開業医の正体 』という本を読みました。


ネットか何かの記事にあって興味を持ったので購入しました。

 

内容は

第一部 クリニックはどうやって作られているか?
第二部 医者と患者 この難しい距離感!
第三部 医者の作り方、教えます
第四部 医者は診察しながら何を考えているか?

というものです。


お医者さんの収入をはじめ、大学の医局にいた医師がクリニックを開業するまでの課程や、現在の小児科医が抱える諸問題等知らないことが多く、興味深く読むことが出来ました。
「小児科」の特殊性など難しいものだと感じました。


特に印象に残ったのは『オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン』。
患者さんとコミュニケーションを取る工夫です。

また、『・・・医師は患者から学ぶ部分も多く、ある意味患者にがまんしてもらって、その代わりに医師は一人前になっていく・・・』という記述。


これらは、教職に就いていた自分が強く感じたことと一致していて、感激しました。

亡き父が「おまえは人を相手にする職業を選んだ。それは本当に難しい職業だ」と言っていたことを思い出しました。


文章もわかりやすく、一気に読める本でした。


戦後史の正体

2024年07月18日 06時20分23秒 | 本を読みました

孫崎享氏の『 戦後史の正体 』(2012発行)という本を読みました。


日航ジャンボ機墜落事故関係の本を読み進める中で、『プラザ合意』なるものが何とも腑に落ちず、その背景をもう一度考えようと思って本棚から探し出しました。

繰り返しになりますが、内容は・・・

序 章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか
第一章 「終戦」から占領へ
第二章 冷戦の始まり
第三章 講和条約と日米安保条約
第四章 保守合同と安保改正
第五章 自民党と経済成長の時代
第六章 冷戦終結と米国の変容
第七章 9.11とイラク戦争後の世界
あとがき
 資料① ポツダム宣言
 資料② 降伏文書

というものです。

 

本の帯に書かれている文章が、森永卓郎氏の云う『触れてはいけないタブー』にも繋がる気がするので、挙げてみます。

いま、あなたが手にとってくださったこの本は、かなり変わった本かもしれません。というのも本書は、これまでほとんど語られることのなかった<米国からの圧力>を軸に、日本の戦後史を読み解いたものだからです。こういう視点から書かれた本は、いままでありませんでしたし、おそらくこれからもないでしょう。「米国の意向」について論じることは、日本の言論界ではタブーだからです


退職して本を読む時間が増えたことで、今まで考えもしなかった日米間における日本の立ち位置。

よく云えば「寄らば大樹の陰」、悪く云えば「幇間?」に思えてきてなりません。


トランプ氏の台頭により「アメリカンファースト」という言葉がよく聞かれますが、それはトランプ氏独自の考え方ではなく、歴代の大統領が共通に持っている思想に他ならないようです。

トランプ氏は単にわかりやすい人だということなのかもしれません。

 

アメリカの混乱を聞くにつれ、これでいいのかとつくづく感じさせられます。

そんなことを思わせてくれる本です。


改めて、若い世代も含めて、是非一読して欲しい本と感じました。

追)アメリカとの対峙方について、レスター・ピアソン氏について読んでみたいと思いました。

 

 


墜落遺体

2024年07月02日 05時15分42秒 | 本を読みました

飯塚訓氏の『 墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 』という本を読みました。


飯塚氏は日航機墜落発生事故時、身元確認班長として藤岡市民体育館等において遺体の身元確認を指揮した方です。


内容は、

第一章 出動命令
第二章 大量遺体
第三章 最初の遺体確認
第四章 悲しみの体育館
第五章 看護婦たちの胸の内
第六章 指紋、歯が語る
第七章 身を粉にした医師の仕事ぶり
第八章 遺体の引き取り
第九章 過酷な任務
第十章 極限の日々
第十一章 最後の最後まで

というものでした。


「単独飛行機事故では世界最大」という表記の元、犠牲者520という数のみで語られるこの事件を、遺族、そして事後処理に当たった多方面の方々の心情を中心に、記録することを目的とした本でした。


報道されるのは、警察、自衛隊ばかり。看護婦の報道は無に等しかった。淋しかったがこれでいいのだと思った』という成田赤十字病院の看護婦さんのことばは、強く印象に残りました。

 

著者が語る『志望者の人数や自衛隊員、警察官、医師などの大量動員数を並べ立てても、真実は伝わらず、また残らない。情報というのは、悲しみとか、怒りとか、汗や涙がしっかりとこもっていなければならない』という言葉が重く感じられました。


今世界各地で紛争や災害が起こっています。

そこでは数字で処理してはいけない「人の生活」があるのだと、改めて考えさせられました。


遺物は真相を語る

2024年06月18日 09時18分21秒 | 本を読みました

青山透子氏の『 日航123便墜落 遺物は真相を語る 』という本を読みました。


内容は、

はじめに
第一章 この墜落は何を物語るのか 国産ミサイル開発の最中の墜落
第二章 焼死体が訴えていることは何か 乗客乗員全員分の未公開資料から
第三章 遺物調査からわかったことは何か 機体の声が聴こえる
第四章 証拠物と証言が訴えていることは何か 未来の有り様を考える
あとがき

というものでした。

 


この事故に興味を持ったのは、すでに事故調査委員会の調査結果も発表されている40年近く前の事件の記録を開示させないという判決が、どう考えても納得いかなかったからです。

日航機墜落記録開示認めず 遺族の請求棄却、東京地裁


判決の理由は
「遺族は和解したからそれで終わりである」
「日航は単なる民間企業だから事故調査にこれ以上協力する必要もない」
「事故調査報告書の書面で十分であるから情報は公開しなくていい」


ボーイング社の修理ミスが墜落の原因だと結論づけているのだから、日航は公開すれば良いのにと思いました。

それでも被害遺族に寄り添うべき立場の日航が、公開を拒否し続けている・・・。

 

本の中では、科学的視点からの考察と事故調査委員会の発表との間の矛盾を、理路整然と述べ、かつ、その隠蔽せざるを得ない理由(日航を緘黙にする理由)を自衛隊が起こした事件ではないかと推測しています。

そして、開示請求棄却の理由は、その背後に組織の閉鎖性と絶対的な上下関係がもたらした事件が存在する可能性があるとしています。

 

かつて、軍事力をもって世界に進出しようとした日本の歴史の中で、兵士が理不尽な上官の命令に振り回され苦しんだ事実があったと聞いています。


総員玉砕せよ 水木しげる


現在も一昨年、自衛官のセクハラ問題が大きな話題となりました。

上官の命令ではないでしょうが、組織の閉鎖性がもたらした事件かも知れません。


そんな中、この本で強く印象に残った部分がありました。
ドイツの軍人法第11条では、『(1)兵士は上官に従わなければならない。・・・ただし、命令が人間の尊厳を侵し、勤務目的のために与えられたものでない場合は、それに従わなくても不服従とはならない。(2)命令はそれによって犯罪が行われるであろう場合には、兵士は命令に従ってはならない・・・』とある。

軍人も「制服を着た市民」として、基本的人権を守られる・・・ということなのでしょう。

日本の自衛隊法には、このような項目はないそうです。

 

永田町も自衛隊も、情報が公にならない組織は、腐敗が早いということなのかも知れません。


当事者にとっては辛いことでも、情報を公にすることが組織を守る一番の近道だと思うのですが。


災害救助にあたっている自衛官の献身的な振る舞いを見るにつけ、隠蔽された諸問題の存在が、残念でなりません。


そんなことを感じてしまう一冊でした。