夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

A2 森達也

2007年06月10日 | 演劇
A [DVD]
朴保,安岡卓冶
マクザム
A2 [DVD]
安岡卓冶
マクザム


昔日曜の22時ごろやっていた対談番組「ボクらの時代」(栗本薫の乱歩賞受賞作と同じ)が日曜早朝になっている。(昔の番組名は「すばらしき仲間」だったと思う)

今日は森達也、林海象、佐野史郎。

森達也のA2は、香港にいた頃香港映画祭で見て、感動した。

毎年ゴールデンウイーク頃にやっている香港映画祭は、ものすごくよい映画ばかり選りすぐられている。A2は違うが、日本では上映できなかったような作品までみることができた。

たとえば、復員兵に、戦場での略奪・陵辱について語らせるドキュメンタリー映画など、日本ではメジャー上映できなかったらしいが、圧倒された。インタビューに協力した復員兵も、それによって家族や周辺からつまはじきにされるという犠牲を払ったらしい。

A2は、オウム真理教報道がいかに偏ったものであるかを語るもの。
たとえば、中には地域の人と仲良しの信者(本当に愛すべき人柄なのだ)もいるのに、通常の報道は道場があることによって近所が迷惑しているという図しかとりたがらない、など。

また、河野さん(不謹慎かもしれないが、グッチ裕三と似てませんか?)が、自分も報道被害を受けた立場から、信者の子供が住民登録許否を受けていることに憤り、「少しでもそういうことがなくなった方が更生してくれる」とい思いから、わざわざ新生アレフが河野さんに謝罪する場面をTVで報道する場を提供しようとしたのに、結局謝罪しようとしない彼らに対して、優しく諭すとところも描かれていた。

河野さんは勤務先の大学の医学部の主催したシンポでお会いして直接お話もできたが、すごい人格者だ。

番組で森監督いわく、「いろいろな犯罪者に会うけど、本当に人間悪い奴はいない。良かれと思ってすることが害をなすというところに怖さがある」

この前も金田一春彦(私は新婚旅行の帰りにアンカラで飛行機が脱輪して一時空港で待たされたとき、たくさんの取り巻きにちやほやされている老人がいたので見たら彼だったことがある)の3人の子が父のことを語るというのをやっていてすごく面白かった。

こういういい番組はもっとたくさんの人が見られる時間帯に戻してほしい。
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