夜明けの曳航

銀行総合職一期生、外交官配偶者等を経て大学の法学教員(ニューヨーク州弁護士でもある)に。古都の暮らしをエンジョイ中。

卑劣な犯罪

2007年05月28日 | Weblog
このブログでも書いた、京都石峯寺にある伊藤若冲の羅漢像が、倒されたり真っ二つに割られるなどの被害に遭ったという。

http://www.sankei-kansai.com/01_syakai/sya052507.htm

昨年ここに行ったが、ひっそりとした小さなお寺だった。現在相国寺承天閣で若冲の特別展示会をやっていてまた注目されているので、犯人は思いついたのだろうか。

何が動機かわからないが、お寺でしかも芸術作品を修復不能なほどに破壊するなどなんと卑劣な犯罪なのだろう。羅漢像の題材は釈迦の生涯や賽の河原など仏教に題したものだから、それこそ仏罰が下るぞ。

この頃世をはかなみたくなることが多い。

司法制度改革は大失敗でせっかく築き上げた日本の法の支配は崩壊しかねない。

憲法も改悪されそうだ。

こんなときにリベラル派の東大法学部の憲法学者が痴漢で逮捕されるし。
もちろん、疑わしきは罰せずだから黒と決め付けられないが、報道によると本人も「好みだったのでやった」と認めているという。

年齢からすると私と在学時期が重なっているが面識はない。
でも、東大法学部始まって以来の情けない不祥事ではないだろうか。

大学教員の痴漢といえば、うちの大学でも数年前にそれは恥ずかしい事件があった。(以下は全てマスコミに報道されたこと)
セクハラ、アカハラなどの対策をするイコールパートナーシップ委員会の委員長を務める理学部の教授が富山に学会に行った際、書店で女子高生に「遊ばない?」と書いた名刺を見せつつお尻を触り、逮捕されたのだ(起訴猶予)。供述によると「大阪や東京出張の際も何度もやっていた」そうだ。

彼は3ヶ月の停職処分を受け、結局自分から辞職したが、事件はそれだけでは終わらなかった。

それからしばらくして、またマスコミに出たのだが、なんと、彼は神奈川県で強制わいせつで逮捕され、今度は起訴され裁判になり有罪(執行猶予付き)になったのだ。
その内容も嗤える。
ネットで女子高生から生パンツを買う約束をし、神奈川のショッピングセンターの障害者用トイレに入った。8万円で買う約束をしていたのに、片手に札をもって、「パンツだけなら6万円、触らせてくれたら8万円やる」と言い出し、「約束が違う」と嫌がる女性高生を無理やり触って声をあげられ御用になったというのだ。

こんな人間をハラスメント対策の責任者にするのだから、この大学のハラスメント対策がどんなにでたらめなものか容易に想像がつくだろう(実例は別の媒体で詳細に書く予定)。

痴漢は、私でさえ若い頃何十回となくされたことがある。
だからきれいな人はもっとすごい被害にあっているだろう。

あれは本当に嫌なものだ。
まず、物理的に気持ち悪い。
今でも忘れられないのは、大学1年のとき駒場に向かう京王線の車内で、期末試験日の朝、硬い棒状のもの(それが何かは思い出したくもない)を臀部に後ろからずーっと当てられていたことがあって、試験の出来にさしつかえるほどの死にたいような不快感だった。

見知らぬ人のタバコのポイ捨てを注意するような気の強い私でさえ声をあげることができない。
なぜなら、被害者が恥じ入る必要ないのにものすごい羞恥心にかられる。
それに、ただの性欲をぶつける対象=ものと扱われたことに人間性を否定されたような屈辱感を覚える。

さらに、卑怯なことに、声をあげても「満員でたまたま手がそこにいっただけだ」と言い訳されそうな微妙な触り方をするので、やっぱり指摘しづらい。「自意識過剰だ。お前みたいなブス誰が触るかばーか」と嗤われそうな気もする。
(懲戒解雇になった東大理事の触り方も眠っている間に隣の女性の太ももに手がかかっていたのを気づいた後もそのままにしていた、という典型的な卑怯な触り方だ)

いいたいことは、もちろん、映画「それでも僕はやっていない」に描かれているような冤罪もあるだろうが、逮捕される数千倍は泣き寝入りしている被害者がいる犯罪なのだということだ。

日本の女性は満員電車でけして男の味あわない身体的不快感と屈辱を味わって、「なぜ女だけがこんな目に遭うのか」とフェミニズムに身体感覚で目覚めるのではないのかと思う。

満員電車自体があまりないからかもしれないが、外国では電車内の痴漢はあまりないそうだ。他人にばれなければ何をしてもいい、どうせ被害者は声をあげられまいという、逃げ道を作りながら被害者の羞恥心や良識(違っていたら悪い)につけこむ、日本人特有の恥の感覚にも関係する、せこくて陰湿で卑劣で、被害者にものすごいダメージを与える許しがたい犯罪だ。

国会中継で安倍首相が社会科の教科書に出てくる憲法の三大原則を暗誦するようにただ連呼するばっかり(意味がよくわかっていないのは明らか)で、「法律の支配」と「法の支配」が区別できていないことといい、こんな頭の悪い奴がリーダーなのかと目の前が真っ暗になった。

舛添さんは質問で「首相のことを○○と誤解する声がありますので、ここでぜひそうでないことをこの場でご確認させていただきたい」といって、いくつもの点について、安倍首相に言い訳の機会を与えるためだけの提灯質問をしているし、大学1年のとき政治学の授業を受けたときはもっと気骨のある人かと思ったのでがっかりだ。こんな意味のない質問のためにどれだけの国民の血税が使われているのだ。

給食費や保育料を払わない親とか、もうこの国はだめだ。

夫が国家公務員という仕事を一生続けたい人でなければ、もう日本以外のどこかで暮らしたい。

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