今回の山行のスタートは、安房峠から上高地に抜ける釜トンネル。
冬季間は閉鎖中のこのトンネルも、冬山登山者には重要なアプローチポイント。
全長1.3㎞のトンネル内は真っ暗でかなりのの急こう配です。
トンネルを抜けて訪れた上高地は、最悪の雨模様。
道路には雪もなく、せっかくのスキーも、担いでのアプローチにうんざり。
新緑の夏や紅葉の秋で賑わうシーズンとは打って変わって、人の気配はほとんどなく、時折見かけるスノートレッカーが少々と猿たち。
大正池も静まり返り、あいにくの天気に、穂高連峰も雲の中です。
冬季登山道は、通常の登山ルートと少々違うことがあります。
そこで気を付けないとけないのが、枝などにくくり付けられたルートポイント。
雪山で迷わないようにと、要所要所に結ばれた赤いリボンを見逃さないように。
西穂山荘は北アルプスでは数少ない、通年営業している山荘です。
今日の宿泊は私を含めて9人。
トップシーズンに重なりながらのすし詰め状態も、この時期はゆったりとスイートルーム気分です。
山小屋を切り盛りする3人の青年は礼儀正しくなかなかの好青年。
日頃は炊事や掃除に忙しい彼らも、いざ登山者遭難・・・となると岐阜県警からの出動要請が届くとのこと。
頼もしい限りです。
お昼に頂いたラーメンは800円。
ちょっと高いようですが、標高2400mにある山小屋でのお食事は、少々高くついても致し方ありません。
2日目は気温がぐっと下がり、気温は氷点下10℃。
前日の雨も雪に変わったのですが、空模様は芳しくありません。
頂きを目指し登り始めてみましたが、稜線に出たとたん、岐阜県側からの強風で途中断念。
今日はあきらめて、山小屋で小休止と致しますか。
しかし日没時間がせまるとともに、雲の隙間から夕陽がぽっかりと。
西の彼方のわが故郷、石川県の白山の方角にゆっくりと沈んで行きました。
山小屋の楽しみの一つが食事。
今日の夕食はアジフライ・さつま揚げ・がんもどき・ポテトフライ・具だくさんのトン汁ににフルーツ。
揚げたてのアジフライがいいお味・・・でした。
3日目の朝はきれいな日の出。
今日のお天気には期待できそうです。
山小屋の朝は早い。
5時には起きて身支度を整え、6時からの朝食を待ちます。
食事を終えて早速、頂きに向かいます。
今朝の山小屋スタートは私が一番。
歩き出して、最初に目にしたのが、けものの足跡。
この大きさからするとウサギかイタチでしょうか。
強い風と湿気を含んだ風が、木の枝に小さな樹氷を作ります。
その形状から「エビのしっぽ」と呼ばれています。
急な斜面を登りきり、稜線を歩くこと1時間。
氷の雪面はアイゼンをしっかりグリップしてくれます。
昨年縦走しコースが目の前に、真っ白な山肌となって見えてきました。
上高地をはるか眼下に見下ろし、右から明神岳・前穂高岳、大きく湾曲した吊尾根の先には主峰・奥穂高岳がそびえ,衛兵峰ジャンダルムと続きます。
真っ白く雪を頂いた山々は、人を簡単に寄せ付けない厳しさと気高さを感じます。
厳しい冬の山でこれに出会うと、また来たくなってしまうんです。
風は冷たく、手袋をはずしカメラを持つ手は1分もたたないうちに感覚がなくなってしまいます。
名残りを惜しみながら頂を後に。
いったい何者・・・街中では間違いなく変質者。
顔の露出部分が切るように痛いのです。
下山を前に山小屋前で1枚パチリ。
撮っていただきました。
下山途中、山小屋でご一緒だったご夫妻が撮影に夢中です。
愛媛から来られたお二人は、7年前に写真を始められたのこと。
仲のいいご夫妻で、写真を撮るのはもっぱら奥さま。
ご主人は重い三脚を運搬するサポート係です。
いい写真ができたら送っていただけるとのことでした。期待してます。
終着は新穂高ロープウエー駅。
週末に好天も重なり、大勢の観光客です。
しかし驚いたのはそのほとんどが中国人ではありませんか。
そういえば新聞で、春節のお休みを利用して、日本への海外旅行がブームとの記事を読んだばかりでした。
恐るべしチャイニーズリッチ。
今回、お休みを頂いての山行は、出だしはつまづいたものの、最終日の好天は素晴らしい収穫を頂きました。
皆さんに感謝です。
ありがとうございました。