UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 369P

2024-01-24 21:11:40 | 日記
『なんなんだよこれ!?』
 
 そんな事を叫ぶ野々野足軽。迫ってくるドラゴンになってしまった風の少女。どうして絶望の先にドラゴンという形になるのか? とか色々と疑問はある。なにか理由があるのだろうか? けどそこらへんを考えてる余裕はない……いや、ないわけじゃないが、流石にこんなおかしな事が起こったら野々野足軽だって焦ると言うものだ。
 
 風の少女が変貌したドラゴンは野々野足軽が予想ししてたような移動をしてこなかったってのもある。なにせ翼があるドラゴンである。まあ普通とはちょっと違う翼だけど……とは野々野足軽だって思ってた。そもそもがドラゴンと遭遇することだって初めてだから、『普通』なんて分かるはずもないんだが……それでも翼があるのなら、それこそ鳥のように羽ばたいたりするものでは? と思うのは間違いではないだろうか。
 けど、このドラゴンは違った。どういうことかというと、その翼のような骨組みに集まってる風を使ったのだ。羽があるのならバサバサと羽ばたけよ!! と野々野足軽は思った。けどそれは現実に毒された固定概念だ。
 そういうのを打ち破ることが『力』を知る上で大切なのだと……野々野足軽自身がずっと学んできたはずなのに、やっぱり固定概念というものはこれまでの人生で培ってきた常識……と言い換えてもいいものだ。
 それを投げ捨てる――というのはそんな簡単なことじゃない。だからこそ翼を持ってるのに想像のように使わなかったこのドラゴンに驚いた。
 いやもしかしたらドラゴンと言う存在は元々がこんな風に飛ぶ存在だったのかもしれない。どういう風に飛んできてたのかというと。それはいうなれば直進である。
 ゼロから一気に百に至りて度肝を行く――といっていい。ロケットスタートとか陸上の競技とかで言うと思う。まあ陸上だけじゃなくレースではそんな言葉使うだろう。
 それに近い。それを物理的に言葉のとおりにやった……みたいな? 普通は羽って広げるものだろう。バサァと翼を持ってる生き物なら、大気を掴むためにその翼を広げたりする。そして風を掴んで飛ぶ……けどこのドラゴンは逆に翼をなるべく身体に畳んだ。そして身体を小さく見せたかとおもった。するとその翼に集まってる風も収束していく。そしてある時、一気に後方に排出された。それによって中々デカい……と思ってたそのドラゴンの身体が超高速で排出された。それは飛ぶではない。発射されたみたいだった。
 
 そしてここはおかしな空間だから、サイズ感? ってのがかなり曖昧だった。それに今、野々野足軽はその体をこの空間によこしてるわけじゃなく、力を使ってこの空間を『観てる』でしかないのだ。
 だからこそ、サイズ感が分かりづらかった……というのもある。ほら、テレビで見てると芸能人とかかなり大きく見えたりするけど、現実だと「あれ? こんなもんなんだ?」とか思ってリするじゃないか。あれである。
 それに、この空間にはサイズ感を比べるものだってないし、なんなら距離感だってよくわかんない。
 だからそのまま弾丸のように発射されてきたドラゴンの口に――バクン――と野々野足軽は飲み込まれた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1008

2024-01-24 21:04:29 | 日記
 彼女は『聖女・ミレナパウス』だ。教会側からこちら側に寝返った存在。実際、そんなのが本当にいるのか? とか俺は思ってた。けど俺一人の言葉が上の方に届くわけもない。それに上が判断したことに一兵卒……いや、そういう立場でもない俺が何かいえるわけない。
 俺は今や軍属でもない。ただの、協力者といっていい。けどそんな俺でもどうやら聖女・ミレナパウスは回復してくれるらしい。それも致命傷だった傷だ。
 そんな安々と治せるような傷じゃなかった。それに今もそうだ……彼女は攻撃しつつ、周囲の兵士達……いや違う……この一体……この戦場のすべての兵士たちを治療してる? まさか……信じられない。俺は彼女のやってることのあまりのおかしさに彼女を抱えたまま固まってしまった。
 
 それはきっと聖女・ミレナパウスの癇に障ったのかもしれない。なにせ大変なことをやってる彼女である。彼女の一撃はあの強化された砂獣共も一掃してる。それだけの攻撃をしつつ、戦場にいるすべての兵士たちの怪我を回復してるのである。
 
(魔法すげー)
 
 ――で終わるようなことじゃないだろう。
 
「まだ治ってませんか?」
 
 更にそんな事言わせてしまった。これ以上俺という人間にこの人を煩わせたら、この人はともかく周囲から殺されるかもしれない。
 
「いえ、そんな事はないです! おかげさまで助かりました! ありがとうございます!!」
 
 俺はビシッとそう言って頭を下げる。それに対して聖女・ミレナパウスは「それは良かった」と言ってくれた。けど彼女の気が緩んだのは一瞬だった。
 
「それでどこに行こうと?」
「いえ、それは彼女を後方へ……」
「治ってますよね? それとも足りませんでしたか?」
 
 聖女・ミレナパウスはニコニコしてる。男なら誰もが見惚れる様な……そんな笑顔。加えてとても白い肌はここアズバインバカラには珍しく、それだけで見惚れるほどだ。
 けど俺は聖女・ミレナパウスに恐れ……を抱いてた。彼女は笑顔だけど、その裏に何やら怒り……いや不満を感じる。
 
「完治はしてるようですが……なにせ致命傷だったので……」
「それでも今は一人でも戦力を欠くわけには行きません――っと、流石にこれだけのことをやってるとなくなるのも早いですね」
 
 そう言って聖女・ミレナパウスは頭につけてた髪留めを一つ外して、内側から別の髪留めを出してつけた。この戦場で見た目を気にしてるのか? とか一瞬訝しんだが、女とはある意味でそういうものか……とも思った。
 そんなことを思ってると、聖女・ミレナパウスは俺に近づいてた。
 
「致命傷で気を失ってるのです」
 
 そんな分析を彼女はした。それは普通の感じだった。うん、何の変哲もないそんな言葉。すると自然と聖女・ミレナパウスの手が広げられて掲げられた。そしてそのまま横薙ぎに振るわれる。
 
パァン!!
 
 ――そんな小気味いい音が耳に届いた。