UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 361P

2024-01-14 18:32:51 | 日記
「これは……」
 
 野々野足軽は穴の向こう側を観た。それは色んな所にうずまきがあるような……空間? といって良いのか? そんな場所が広がってる。
 暗いような、明るいような……実際明るいとなったら、一体何が光源なのかわかんないが、これは力を通して観てるから、そう見えてるだけ……なのかもしれない。本当ならただの真っ暗な空間に見えててもおかしないのかも? と野々野足軽は思った。こうやって色々と見えてるのは、事前に野々野足軽が力を広げてたから……その説はある。
 実際、力を通しての遠視って普通の人がやってる『見る』という行為とは違う。普通は人体の標準の機能を使って普通の人は見てるし野々野足軽だって、普段はそうである。
 つまりは眼球に光が入ってきて、その情報を脳が処理して……という感じの機能である。目は光を取り込む為の器官なわけで目を通して世界を観てるってのは人々の共通認識だろう。
 
 けどだけど、こうやって遠視をしてる時、野々野足軽はその目に光を取り入れてるわけじゃない。けど、見えてる。見えるのだ。原理をそれまで考えたことなんてなかった。いや、最初はそれこそ「なんで見えてるんだこれ?」――とかおもったことはあった。
 けどそのうち気にすることもなくなった。なにせただ便利だからだ。人間、楽な方へと流れる生き物である。便利なら、過程も工程も「ま、いっか」出来る。
 いやそれは野々野足軽の人間性もあったかもしれない。これがとことん気になる――とかいうやつだっているだろう。けど野々野足軽は細かい事は気にしないタイプだったのだ。
 けどここにきて、再び考えた。なにせこの空間にはそもそもが光を発する物体も存在なんてしてないはずだ。地球にいれば、やっぱりどうしても太陽の存在はちらつく。なにせ大きすぎる存在だから。けどここはすでに地球の何処か? ではない。空間が違うんだ。だからここにはきっと光だって通らない。
 いや、そもぞもが光を通してなかった。なら闇が広がってておかしくない。まあ空間自体が光っててももしかしたらおかしくないのかもしれない。
 光る空間があったとしても、それを否定することなんて野々野足軽にはできない。なにせ空間とは? とかいわれても野々野足軽の知識ではなにもいえない。ただなんとなく使ってるだけだ。
 
「このいろんな渦巻きは一体……」
 
 この空間の至る所にあるそれに力を通してみると、力も渦巻いていく。それもどこまでも……だ。
 
「きりがないな。それにしても……これだけ?」
 
 そんな風に野々野足軽は思った。なにせもしかしたら別の空間に繋がってるとしたら……だ。もしかしたら異世界とか? そんな場所があったり――と思ってなかったといったら嘘になる。
 けどなんか面白みもないような……そんなことを思ってちょっとがっかりな野々野足軽である。そんな野々野足軽に声が聞こえる。
 
『助けて……』
 
 そんなか弱い声だった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1000

2024-01-14 18:26:43 | 日記
「勇者……勇者勇者勇者勇者勇者勇者ああああああああ!!」
 
 何やら教会のやつが取り乱してる。俺たちの時はそれこそ静かだったのに……いや、もとからなんか様子はおかしかったが……あいつはこっちを見てはなかった。ただのそこらのゴミ同然に捉えてたんだろう。
 だから眼中にないっていうほうが正しかった。実際、俺たちはやつの魔法に何も出来なかった。ただその瞬間を待つだけしか……けど奴は今は勇者を認識してる。そしてその体は震えてた。
 興奮してるから……のように見えるが、実際は違う。あれは恐れ……だ。俺は一緒だからわかる。俺もビビりだから……ああやって、声を張り上げて自分自身のビビってる気持ちをごまかさないと動けないんだ。
 
 それに俺たちの時はあいつはこっちを向いてさえいなかった。でも今は直視してる。俺達じゃない。勇者……という存在。こいつは見られずにはいられない。視線を引き付ける。
 
「いくぞ」
 
 軽い感じで勇者はそういった。俺たちとは全く違う。気負いって奴が全く感じられない感じだった。まるでそこらに散歩に行くような……そんな感じ。
 
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
 
 ――と今までよりもより高密度、そして高速になった音が響いてて、そしてそれが更に今までと違うのはどうやらその見えない斬撃があの教会のやつの周囲にだけ降り注いでる……ってことだ。なにせ一定の範囲の物を粉微塵にしてるだけで、それ以上広がってない。
 どうやらあの教会の奴は勇者が「行く」といったから、それなら迎え撃ってやる……ということであの選択をとったんだろう。見えないけど、わかる。
 あの斬撃にちょっとでも触れたら、それこそ切り刻まれる。間違いない。なにせ教会のやつの周囲にあるものが瓦礫から破片となって……そしてチリにまでなってる。密度がすごい。あれをかいくぐる? 不可能だ。けど……
 
「かはっ!?」
 
 勇者はなんともなくそれらを一緒くたに切った。光の剣が下から斜め上へと振られたんだ。一回だけ。すると、あの凶悪な教会の奴の上半身に傷が出来て、血があふれた。
 
「彼らはお前のおもちゃじゃない」
「玩具だよおおお! こいつらはオレたちの玩具なんだよおおおおおおお!」
 
 そう言いつつ腕を振るうそいつ。するとその腕の先と勇者の剣がぶつかり合う。どうやら見えない刃を腕の延長線上に巻き付けてる? それによって剣のように使ってるみたいだ。そしてそれで勇者の剣と打ち合ってる。
 でも……勇者は見えないはずのその刃をすべて受け止めてた。明らかに勇者の方が強い。
 
「はぁぁぁぁぁぁ」
 
 そんなクソデカため息が聞こえた。俺の隣だ。いやこれはため息じゃない。もうたまんない――みたいな感情が口から吐き出されてるんだ。
 いやでもわかる。この女……勇者に惚れてるって。