UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 365P

2024-01-20 18:14:11 | 日記
 見つけた存在は風の子となんか似てた。いや、それはそうなんだろう。なにせ風が良くこの穴に入ってたんだから、それらが集まった存在……が多分あの存在。悲しさ……とかが募ってあんなふうになってるんだろう。
 風の子は無邪気ランラン――って感じだった。けどいま見えてるその存在はなんかもっと……荒々しい。確かにその思いは『助けて』と懇願するような想いが伝わってくる。けど……あの風の子……いや風の少女の周囲はとっても危ない。少女としたのは伝わってくる声が少女のそれだからだ。
 きっと女の子なんだろうって野々野足軽は思った。そして風の少女の周囲にはずっと物騒な空気の流れができてる。それはある意味で拒絶なんだ。
 助けて……というその言葉の裏で、周囲には寄せ付けないような力の波動をはなってる。それは言動の矛盾だ。傍から見た……だけど。きっと風の少女はそれに気づいてない。自分がどれだけ危険なことをして、そしてそのせいで誰も近づけなくなってるとか。
 
 でも多分、それもこれも諦めが根底にあるんだと思う。どれだけこの穴があるかわかんないが、きっと絶望とか諦めとか……それを感じるのに十分な時間、彼女はここで叫び続けてたのかもしれない。
 だからこそ、周囲に気づいてもらいたくて力を振りまいてる。助けてと言う傍ら近づけないことをしてる。悲しいことだ……と野々野足軽は思った。
 
「落ち着いて」
『やっと、やっと来てくれた!』
 
 嬉しい気持ち、それがあふれる。その時だ沢山の風が放たれた。渦の奥の奥……暗い場所にいた風の少女。放たれた風はとても強かった。なんでこんな場所でこれだけの力が? と思うほどだ。それはこの空間事態? を傷つけてるのか、彼女の周囲の空間はとても不安定になってるのがみえる。というかパリパリと剥がれてる。それこそ野々野足軽がイメージしてた空間の破壊……そのエフェクトが現れてるといっていい。ああいうの期待してた――と野々野足軽はちょっと思った。
 
「いっつ……」
 
 野々野足軽の意識はいつの間にか本体に戻ってきてた。さっきの攻撃……いや攻撃ではないだろう。風の少女的には攻撃はではなかったはずだ。なにせさっき受けた攻撃からは喜びしか感じなかった。
 攻撃したことに、攻撃できたことに喜びを感じた――とかならどんなサディストだよってなるが、そうじゃないだろうと野々野足軽は考える。なにせああいう存在は純粋なんだ。風の子をみればわかる。だからきっとあの風の少女だってそうだろう。
 この喜びはきっと本当にただ「助けがやっときた」とかいう思いのはず。
 
「もう一度……」
 
 だからこそ行かないと……と野々野足軽は思う。再び力を穴の向こうへと向けるために遠視をしようとした。けどその時、野々野足軽に結構な痛みが頭に走った。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1004

2024-01-20 18:08:44 | 日記
「まだまだだな」
「うるせえ……」
 
 俺がなんとか一体を倒したのを見たのか、そんなことを彼女は言ってくる。前を先行する彼女になんとか食らいつくように俺も走る。迫ってくる蟻型の砂獣、確かに一撃で絶命させる……
となったら厳しくなった。けど……俺たちにはこれまでの積み重ねがある。
 これまでの砂獣の情報は俺も勉強したんだ。というかさせられた。どうやら軍の方では今までの砂獣の情報を頭に叩き込む……というのは当たり前らしい。
 賞金稼ぎなら、そういうのは経験者に聞いたりするか、自身の経験を積み重ねていくしかない。けどそんなのは博打である。大体の人はその過程で生命を落とすか……自身の経験を誰にも伝えることなく、人生を終えたりする人が大半だった。それに賞金稼ぎの場合は同業者は仲間でもあり、ライバルでもある。仲間内にはいいが、それ以上に広められた困る……というのがあるだろう。
 けど軍は違う。軍は所属してるだけで生活が保証されるのだ。そして軍に必要とされるのは安定。安定的に砂獣を退治できる様にならないといけないから、きちんと今まで軍が対処してきた砂獣の情報を残してるし、定期的に賞金稼ぎの所にきて情報を買ったりもしてるんだろう。
 
 普通はそんなのは秘蔵であってもおかしくない。けど今回、それらの情報が全てこの戦いにおいて開示された。それこそ俺たちのような賞金稼ぎにも……だ。まあ俺はそれを直接受けたわけじゃない。眼の前の女に又聞きしただけだ。けど本当に授業の様にされた。勉強なんてこの上なく嫌いなんだが、聞かないと飯抜きにされるから一生懸命頭に叩き込んだ。
 
 そして今、その知識が役立つ。彼女は弱点? そんなの関係ねえ! とばりにその技術……そして俺よりも制度の高い身体強化によって強化された砂獣さえも屠ってる。流石に今すぐにあのクラスに行くことはできない。
 そして砂獣たちもそんな研鑽をまってくれるほどに悠長なやつらでもないのは明確だ。だから戦いの中で成長して行くしかないわけで……そして成長していくには生き長らえないといけない。そのためにも、使えるものはすべて使う。
 
 俺は砂を滑った。迫ってくる蟻型の砂獣に近づいた所で、尻で砂の上を滑る。そして蟻型の砂獣の腹に潜り込む。コイツ等は基本的に背よりも腹の方が柔らかい!! 
 
「うらあああ!」
 
 俺はその腹を剣で突き刺し、そのまま縦に切った。今度は一発だった。けど砂獣はまだまだ多い。いや、尽きることなんてないかもしれない。けど……それでも……俺たちは戦い続けるしか出来ない。
 
「どうだ! みたか! 俺だってな……っつ!?」
 
 俺は聞こえてなんてないだろうが、とりあえずそんなことを口にして彼女をみた。そして俺の瞳に映った光景……それはさっきまで元気に砂獣を屠ってた彼女の姿じゃなかった。
 
 今、彼女には砂獣の角がその身体を貫いてるようにみえ……る。