【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第35回
「四苦八苦(しくはっく)」
「こんにちは、ご機嫌はいかがですか?」
「ありがとう、ここんとこ四苦八苦ですわ」などとよく使いませんか?
仏教では、苦しみを八つに分けています。
何気なく、日常的に使う言葉ですが、意外と四苦八苦の意味って、
詳しくは私たち 知りませんよね?!
今回は、その言葉を一緒に学びたいと思います。
最初の「四苦」とは、「生老病死」(しょうろうびょうし)のことになります。
それは、「生まれて、老いて、病気になり、死んでいく」という、
人の一生における「肉体変化」による苦しみになります。
「五苦」から「八苦」までの苦しみは、
日常生活の中での「感情の動き」による苦しみを説明しています。
五苦は、「愛別離苦」(あいべつりく)といって、
愛している人を思いかけず死別したり、
あるいは、いろいろな事情で離別しなければならない苦しみです。
六苦は、「怨憎会苦」(おんぞうえく)といって、
怨んで憎んでいる人たちと会わなきゃならない現実を
なかなか受け入れられない苦しみです。
七苦は、「求不得苦」(ぐふとくく)といって、
自分がいくら望み求めても 得られない苦しみのことです。
最後の八苦は、「五蘊盛苦」(ごうんじょうく)といって、
肉体に精気が満ち溢れていても、はけ口のない苦しみです。
ひとくちに、「四苦八苦」といっても、こんなに深い意味が含まれているのです。
いかがでしたでしょうか?
少しでも生きているうちに、肉体の変化も受け入れながら、
メンテナンスもしっかりしていき、感情の動きに関しては、しっかり感情を受け入れ味わいつつ、
生きられたら 人生の豊かさを 少しでも享受していけるかと感じています。
そして、四苦八苦があるからこそ、人生の味わいや 深さも出てくると思うことがあるので、
苦しみの先にある 楽しさや幸せを感じ、人生の醍醐味を 味わい尽くしたいと思います。
参考 (『声を出して覚える般若心経』 大栗道榮著 中経出版)