【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第50回
「灑掃・応対・進退」(小学)
昔、江戸時代は 寺子屋で7歳くらいまでに、この小学を徹底的に教えていたそうです。
シンプルに言いますと、「掃除・挨拶・後片付け」になります。
基本的なことだと思われますが、その人の状態を見るには、
この3点をみればすべてがわかるとも、言われています。
ある会社の社員教育は、この3点を徹底的に教え込むだけ という話を聞いたことがあります。
この基本的な事は、仕事力や人間力を図る上でも とてもわかりやすい基準になります。
躾(しつけ)とは、身が美しいと感じで書きます。
この3点を意識して行動することで、所作(しょさ)が美しい人になります。
小学の「学」、「まなぶ」という意味になりますが、旧字では「學」という字になります。
その語源を見てみると、「建物の中で、子供が交わり合いながら、大人が支え合う姿」
というような意味合いもあるそうです。
その交わり合うための場を、一緒に気持ちよく使うために、
このような小学の3つの教えがあったように感じられます。
それでは、少し詳しく見ていきましょう。
灑掃(さいそう)とは、拭き掃除のこと。
本来は雑巾がけという意味ですが、現代的には掃除という意味合いで
身の回りを綺麗にするということになります。
身の回りを綺麗にすることで、心も穏やかになり、整理整頓ができているので、
頭もすっきりして行動にも無駄がなくなります。
そして、何よりそこに愛着心も生まれるので 物を大事にするようになります。
会社内や飲食店でも、掃除が行き届いていないところは お客さまも離れてしまいますよね。
神社や仏閣も、繫栄しているところは、とても掃除が行き届いていて 清々しいです。
応対(おうたい)とは、挨拶などのコミュニケーションになります。
当時は、手紙の書き方などすべて それぞれの仕事別に教えたようです。
様々な状況に応じての応対力は、その人のコミュニケーション能力になりますが、
これで終わりということがないので、一生学びですね。
進退(しんたい)は、後片付けになります。
例えば、机をつかったら元にもどす。
電車などのリクライニングシートに座ったら、元にもどす。
物を使ったら、元にもどす。当たり前の事かもしれませんが、
なかなかできないのが我々人間です。
この3点を意識しながら 日本の清く美しいところを大切にしていきたいですね。
参考文献
『清く美しい流れ』田口佳史著 PHP研究所
伊勢神宮