【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第49回
「三法印(諸行無常・諸法無我・涅槃寂静)」(仏教)
三法印(さんぽういん)とは、仏教教理の特徴をあらわす3つの大切な教えになります。
これら3つの言葉からお釈迦様は、宇宙の本質と現実社会での世界を
端的に表現しているように感じました。
それでは、言葉の本質についてみてみましょう。
「諸行無常(しょうぎょうむじょう)」・・・あらゆる現象は変化してやまない
「諸法無我(しょほうむが)」・・・いかなる存在も不変の本質を有しない
「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」・・・迷妄の消えた悟りの境地は静かな安らぎである
般若心経では、「色即是空 空即是色(しきそくぜいしき くうそくぜいしき」
という言葉がありますが、まさに形あるもの、物質的存在を「色(しき)」、
形のないもの、本質のことを、仏教では「空(くう)」と表現しています。
空とは、サンスクリット語では梵(ブラフマン)・道教では、「タオ・道」ともいい
宇宙の実体のことを指しています。この3つの言葉をわけて考え見ますと、
「涅槃寂静」がまさに、宇宙の本質であり、「空」の部分を指しており、
「諸行無常」と「諸法無我」が現象面である、「色」の部分を指しています。
参考文献
『岩波 仏教辞典第二版』中村元他 編集 岩波書店