one's works. my works!


one'sとは「その人の」と言う意味です。
僕らはone'sに「皆様の」と言う思いを込めました。

コイバナ・・・~月は出ているか~     (田中)

2006年05月07日 18時21分14秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ

おひさしぶりの「コイバナ」です。
もうそろそろこのシリーズも終わりにしようかと考えてます。
あと2~3話ぐらいでしょうか。

さて、僕はですね、割と知らない人とでも平気で話しができるんです。
何かの順番待ちしてる人とかどっかの駐車場で止まってる自分好みのバイクや車のオーナーさんとか。
このお話の相手の方もそんな感じで知り合った女性でした。

今から12~3年ほど前の事です。
仕事帰りにいつも寄るコンビニに買い物に入りました。 その時に乗ってたのは古いフェアレディでした。
駐車場に目をやるとGPZ900が。
「今までカワサキは乗った事ないなー・・」とか思いつつバイクを見てたんです。

ややあってオーナーらしき人がバイクのもとへ。
「忍者かっこいい」っすよね~まで言いたかったのですが絶句。
女性だったんです。
いや、女性はともかくその方髪の色がまっ黄色。
長い事美容師してるけどあそこまで黄色(金髪とかじゃなくって黄色です、黄色)
まだあの人以来みないです・・・ 「ブリーチしてマニキュアだな・・」とか思いつつ無言で立ち去ろうとしました。
なんせばつが悪い。
髪の色に驚いたのが彼女にバレバレ。
コンビニに入ろうとしたしたその時。

「これSR311ですよね?」と。 古い車に乗ってらっしゃる方はお解かり頂けると思うのですが「これなんて言う車ですか?」とか「変わった車ですね~」って言われるよりも型式とか言われると「判ってる人なんだ~」って嬉しくなりますよね?え?ならない??
すぐに踵を返し彼女のところへ。
暫くお互いの車やバイクの話で盛り上がりました。

そして仕事の話に。
僕は美容師。 これは普通。
彼女は・・・? この髪の色だと働けるところ限られてくるよなー・・・ひょっとして美容師さんかな? とか思ってら「ショップの店員」さんでした。
なるほど。
そして彼女は「平日が休みだからなかなか友達と時間が合わない、そもそもバイクに乗ってるの自分だけだし」 って言うんです。
思い切って誘ってみました。
「僕も平日が休みだから今度どっか走りに行く?」なんて。
こうして彼女との付き合いが始まりました。

因みに走りにいってないな・・・ 僕のアパートによく来ました。
でも彼女のアパートには入れてくれないんです。
いつも「駐車場で待ってて」です。
なんかあやしい・・・絶対におかしい・・・ こうなったら誰も僕を止める事は不可能。

「なんで入れてくれんの?」と聞くと 「嫌われるもん・・・」と。
「職業柄個性的な人とか変わった話とかよく聞くしたいていな事ではびっくりしないから」とか 理屈をこねてどうにか彼女を説得しようとします。
喫茶店で20~30分ぐらい押し問答。
やっと部屋に入れてくれる事になりました。
その時彼女は凄く寂しそうな不安そうな顔をしてました。

そして約束の日。
想像だにしなかった事が。
それでか、それで彼女は髪が黄色だったのか・・・・ 全ての謎が氷解します。
ここで判った人はエライ。
部屋に入ってみるといたるところに写真と服が。























何と彼女はセーラームーンだったのです。

写真に納まる彼女はとても生き生きとしています。
中にはあろう事かセーラー戦士勢揃いな写真まで!
我を忘れて写真を見続けます。

「・・・・・彼女はセーラームーンで・・・・って事は俺は何?」みたいな。
いや、みたいなじゃなくって。

みなさん想像してみて下さい。
自分の彼女がセーラームーンだったら。

はっと我に返り彼女に目をやると涙を目に一杯溜めて僕を見てる。
僕は一言「で?」と。
彼女は驚いて僕をマジマジとみます。
そしてもう一度「で?」と。
こんなの全然OKじゃないのって感じの言い方ですよね。
ちょっとかっこいーすか?(なわけない)

彼女も多分この時そう思ったんですよね。
でも実はそうではなくあまりの出来事に「で?」しか言えなくなってただけなんです。

そしたら彼女涙ながらに今までの辛かった事とか喋りだしたんです。
この趣味の事で凄くバカにされた事とか「やめろ」って言われたとか。
聞いてるうちになんか今度は本気で「で?」と言いました。
そんなの個々の趣味だから別に良いんじゃないの?って。

今でも本気でそう思います。
だって誰にも迷惑かけてないもんな。
ハッピーエンド。
ここまでは。
暫く幸せ。
だって髪は黄色だけど綺麗な人だった(ちょっと年上)し性格も申し分なかったし。

そうあの日がくるまでは。
ある日「日曜って休み取れないの?」と。
「誕生月は一日日曜でも取れるよ」 「じゃあ来月の日曜休み合わせてくれる?」と。
そして翌月の日曜。
彼女の部屋に。
もの凄い荷物を持ってるんです。
「今日は私の車で名古屋へ~!」と。
「名古屋へ~!」って・・・・その言い方・・・・?お・・・お嬢様・・・・??

嫌な予感的中。
名古屋某所でコスプレイヤー集結。
カメラ小僧(おっさん含む)も幾人か。
驚いたのは彼女がかなり有名だった事。
セーラームーンになった彼女に擦れ違う人達は「○○さんこんにちは~」とか「おひさしぶり~」とか挨拶されてるし だんとつ写真撮られてる(気がする)。

僕はカメラ小僧(おっさん含む)達の羨望の的。

「あれ彼氏?」とか。
ってかちょっと薄ら笑いされてた気もしましたが。
そうこうしてるうちに「みんな集まって~」とセーラービーナスが。
期せずしてセーラー戦士揃い踏み!!
カメラ小僧(おっさん含む)も走る!

リクエストに応じていろんなポーズをする彼女(達)。
嗚呼・・・もう君が遠すぎて見えないよ・・・見えないのは涙に霞んだ僕の目のせいか?
いや、さにあらず。
訳のわからないうちに帰路につきます。
もうぐったりでした。
さすがにアレはきつかった。
ハードル高いわぁ・・・・ それから開き直りきった(全てカミングアウトだもん)彼女は僕が何か言ったりしたりすると「お仕置きよ~!」と人前で。

あかん・・・すっかり別人になっとるがな・・・・ なんかそれ以来(コスプレ祭り??)お互い少しずつ距離を置くようになり自然消滅。
それから暫くして関東に引っ越したと後日届いた手紙には髪を黒く染めた彼女の写真が。

それはそれでちょっと寂しかったです。
※例の如く特定されないように設定を若干いじってあります。
※2 セーラー戦士よ永遠に。



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