one's works. my works!


one'sとは「その人の」と言う意味です。
僕らはone'sに「皆様の」と言う思いを込めました。

【おじさんだって】ファミレスラブストーリー【恋をしたい】  (田中)

2007年12月04日 16時53分23秒 | コイバナ・・・哀愁の村に雪は降るのだ
レストランS。
当時は名張に和食店と洋食店がありました。
和食店は10時まで、洋食店は夜中2時がオーダーストップでした。
これは和食店でバイトしてた時のお話です。

23歳でそろそろSでのバイトも辞めようかと思ってた頃その店の店長さんが交代しました。
そこはある一定の周期でスタッフがどんどん入れ替わっていってる様でした。
バイトさんが殆どの店では正社員と馴れ合いになってしまうからだと聞いた事があります。
大体数ヶ月~1年ぐらいで転勤だった様に思います。

それまでの店長さんが辞めて(印象が薄かったので忘れてしまった)新しく他店から赴任してきたのは今までで一番歳をとってる感じの方でした。
背も低くて小太り。
髪が無かった。
見た感じは50歳ぐらい。
厳しさも含めてとても貫禄のある方でした。
なので実年齢を聞いた時に驚きました。
今の僕と同じ40歳だったんです。

確かあの店長さんだったその年の10月に割と大きな台風がきました。
僕の住んでた村と名張を結ぶ368号線に大きな被害が出ました。
朝から夜7時ぐりまでは普通に通行できたのですがそれ以降から明け方までは復旧工事の為に通行止めになってしまいました。

美容院だけの仕事で終わってればこの368号線を使って普通に帰れるのですがSにバイトに行ってると奈良県を通ってかなり遠回りしなければなりませんでした。
20kmぐらいは遠回りした様に思います。
時間も余分にかかりますからもう辞めよう(Sを)とか思ってたんですね。
でもま、通勤手当を余分に貰えたらいいかなとか思って店長さんに言ってみました。
答えは

「そんな事は君の都合だしこっちには全く関係無い」でした。
ええもう取り付くしまもありません。
んだよ、じゃあもうやっぱり辞めっかな。
って思ってたらなんとその月から+20kmの通勤手当を付けてくれてありました。

とにかく「やり難い人」ってのが常日頃の印象でした。
それがいつの間にかやたらと喋ってくれる様になったんです。
何故か僕を呼ぶ時も「田中きゅ~ん」と。
きゅ~んて何よ。

今までの店長さんはかなりバイトさんとも仲良くやってたのですがこの店長さんは本当に厳しかったのでその「田中きゅ~ん」には他のスタッフはかなり驚き、またかなり引いてました。
一番びっくりしてたのは当たり前だけど僕な訳ですが。

スタッフルームで帰り支度をしてると度々この店長さんがやってきて色々な話をしてきました。
一通り話終わると満足するのか(?)また仕事に戻っていきます。

もうご結婚されてたのですが高校生のお嬢さんの事とか奥様の事とか。
愚痴とかじゃなくて本当に何でも無い日常の話。
昨日どんな事を話したとか。
別に聞きたくも無かった(まだ23歳とかで若かったので)けど。

そんな店長さんでしたが半年ぐらいで転勤になる事が決まりました。
いよいよ今日で最後って日。

またしても僕が帰り支度をしてる時にやってくる店長さん。

が、押し黙ったまま何も話さない。

何故か瞳に涙を浮かべてぽつりと僕に言ったのは

「田中君・・・燃える様な恋がしたいねぇ・・・」でした。

うざっ

って今風に言うとそんな風に思いました。

あの時、店長さんのその時の姿しか見てなかったから。
当たり前ですがその店長さんにも若い頃があったんですね。
今になって思うのはあの「燃える様な恋がしたいねぇ」は「自分が」じゃなくて僕に言ってくれた言葉だったんですよね。

「燃える様な恋愛をしなさい」って。

多分、ご自分の若い頃の姿も投影してらしたのでしょうか。

今なら判る。

そしてあの時の店長さんと同じ40歳になった今。
「年齢を重ねる事は悪くないな」と思います。
誰だっていつまでも若くいたいです。
でも「歳とんのも悪くないな」って今思えるのはあの時の店長さんの言葉があるからか。(燃えるry あったかどうかは?ですが)

そんな風に言える年齢って悪くない。
若いヤツに同じ様な事、言ってんですよ。
これがまた。

うざっ

とか思われてんでしょうね、きっと。


あの店長さん。
今、57歳ぐらいでしょうか。
今もきっとSで頑張ってらっしゃるかな。
色々と話したい事がある。
結構会いたいです。


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