昔の望遠鏡で見ています

五藤8cmで月を望む


 五藤の8cmF15で、月を見ました。昼間の青空の中に見た際には、全体的に青っぽく見えましたので色収差を心配しましたが、暗くなるとそれもなくなり、見事な月面が望めました。端部の色付きも、気になるものは有りませんでした。
 アイピースは、Abbe25,Po(パンオプティック)24,XW20,Dl(ディライト)9,LV9を使用しました。
 初めに、月全体を低倍率で見てみます。シンチレーションも良く、どれも綺麗に見えていました。色調も変わりなく、アイピース本体を見なければ区別は難しいと思いました。

 次に、ほぼ同じ焦点距離のAbbe25とPo24を、何度か取り換えながら比べてみました。前者は、慣れ親しんだいわゆるオルソの見え方ですが、後者は視野が広いせいか、目が驚くと言ったら良いのでしょうか、若干異なった印象がありました。このアイピースは、アメリカンサイズのアイピースで最大の視野を誇るという宣伝文句が付いていましたので、ワイドフィールドでの使用を想定して設計されているのでしょう。今後、星野での見え方も調べてその真価を探りたいと思います。

 Dl9とLV9についても、ちょっと見た限りでは区別は難しいと思いました。入れ替えを行いながら比べてみますと、同じものは見えているのですが、前者のほうがピントの山が掴みやすいというということが判りました。ただし後者は、ずっと愛用してきた約25年前の製品でしたので、コーティング等の劣化もあるでしょうから、そこはハンディが有ったと思います。



 今回の観望では、タカハシEM1Sとタカハシ用に特注加工されたビクセン三脚を、使用しました。また当日の月は天頂付近にあったため、接眼部の位置の関係から、脚も一番長くしました。ウエイトは3.5kgの物を使用しましたが、もう少し軽くても良いようです。
 この組み合わせでも、眼視での使用には、不具合はありませんでした。ただし、鏡筒が長いので、ファインダーをのぞきながらクランプは操作できるのですが、接眼部を覗きながらは手が届きません。現代のFの短い望遠鏡とは異なる操作方法が、必要となります。

 昔の火星大接近の折、五藤の8cmでコンポジット法を用いて、見事な惑星写真を撮影されている人がいました。昔のコンポジット法は、その当時パソコンなどありませんでしたので、たくさんのフィルムから良い像を選び、もう一度フィルムに焼き付けるという、途方もない努力が必要でした。今回、月の切れ味の良い像を見て、この鏡筒の基本性能の良さも、ひと役買っていたのだと一人納得しました。

最近の「天体望遠鏡」カテゴリーもっと見る