昔の望遠鏡で見ています

星三百六十五夜の源流

 野尻抱影の代表作の一つである「星三百六十五夜」は、天文に関する随筆365話が納められた労作で、天文に対する情熱と博識が無ければ作ることが出来なかった名著です。この本は昭和30年に初版が発行されましたが、それをさかのぼること30年前の大正14年に、これも抱影の代表作である「星座巡礼」が発刊されました。その序文に、抱影が参考にした西洋の書籍が紹介されており、その最後の部分に以下のような記述があります。

 " エルヂィ氏の The Stars Night by Night は、「星座日誌」とも呼ぶべきもので、毎夜の星の観察や感想を図入りで書いた興味の深い本です。日本に此の種の書が現れ、そして読まれるのはいつでせうか? ”

 この想いを、ずっと暖めていて自らの集大成として著したのが「星三百六十五夜」なのだと思います。




 1914年発行です。丸く黒い部分は、星図のようで、縦の折り目の少し右側に北斗七星があります。中央と左下の星雲状のものは、こすれてインクが薄くなったところです。
 上の画像は、ペーパーバックですが、同じ内容のハードカバーで「The Night skies of a year」という書籍もあります。




 左がペーパーバックで、右がハードカバーです。
 

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