昔の望遠鏡で見ています

人気のアストロ

 望遠鏡の会社で、その名前の前に枕詞を付け呼ばれるのは、五藤とアストロくらいではないかと思う。五藤は「天下の五藤光学」で、アストロは「人気のアストロ」だ。共に、現在はアマチュア向けの望遠鏡は作っていないので、マニアは懐かしさを込めて、そう呼ぶのかもしれない。
 アストロは、昔の天文ガイドの表紙裏に広告を載せていた。食の観測か何かで、土手のようなところに沢山の望遠鏡を並べ、おじさんたちが観測準備を行っているものもあったと思う。会社には、天文好きも多かったのだろう。時代をも反映して、とても活気を感じる広告だった。




 アストロの、接眼鏡とファインダーである。独特のデザインから、一目でアストロ製と判るものだ。上から、エルフレ32mm、6倍30mmファインダー、ドイツサイズ接眼鏡(ケルナー25mmとオルソ9mm)である。






 エルフレ32mmを、拡大したものである。上の画像が見口側で、下が50.8mm径のドローチューブへのねじ込み側である。昭和53年のカタログでは、同社のオルソ9mmが6,500円の時に25,000円と非常に高価だった。また、その頃の小型の望遠鏡には取付けることはできないようで、20cm~25cm反射用の一重繰り出し式の接眼部に装着可能と掲載されていた。その昔に、彗星捜索にも使われていたことを考え併せると、特別な存在だったようだ。




 先のアストロは「アストロ光学工業」だが、その前身は「アストロ光学」という会社だった。上の画像は、数年前に古書店から偶然入手した「アストロ光学」のカタログ(昭和31年)である。S5型とあるので、そのスペックを見てみると、有効径60mm焦点距離910mmとあり、先のアストロ光学工業のカタログ(昭和53年)にあるS5型と同じであった。S5型はとても格好が良く、これぞ天体望遠鏡というイメージなので、姿が良いのも、長い期間に渡って製造された一因だったのではないかと思った。


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