昔の望遠鏡で見ています

双眼鏡を持って散歩する

 今日は、一眼レフカメラの代りに双眼鏡を持って出かけた。街中で水平方向を覗くことには気が引けるので、団地を抜けて郊外へ行くことにする。車の往来が頻繁な道だが、のんびり行く歩道の上は緑のトンネルだ。先の橋を渡ろうとすると、子供たちが下を覗いている。つられて見てみると、大きな鯉が数匹口をぱくぱくさせているではないか。後で聞くと、エサをやっている人がいるという。こんな街中でと、少し驚く。次に幹線道路を渡り、田んぼの中にでる。いつも思うのだが、草のにおいや水の音は、本当にいいものだ。双眼鏡を取り出して、近郊の田園風景を楽しむ。毎度のことだが、その立体感に見とれる。そこは、一面に広がる田んぼの向こうに畑や林が点在する、緑の重なりが美しいところだ。双眼鏡で見ると、少しずつ色の違う緑色の色紙をたくさん切り絵して、奥行きのある空間に並べてあるように感じた。




 帰り道、田んぼの脇の小さな草地に、石仏を見つけた。かつて、この付近にあった古街道の名残なのだろう。お供え物が缶コーヒーや缶ビールというのが、現代風だと感じた。近くに酒屋もあることから、案外若い人も拝んだりしているのかもしれない。帰り道は、上り坂だ。登れる道があるだけいいと思いながら歩く。




 家に帰ってから取り出したのは、アストロの箱入りの接眼鏡だ。昔、時計や貴金属が入っていたようなビロードのような布地に包まれている(実際は、油紙で包まれているが、画像では取り外している。)。箱自体は紙製だが、今の梱包に比べたら、ずっと高級品扱いされている。左からAH40、K25、Or9だが、Or9の紙箱の底に、4,800円と鉛筆書きされていた。「昔欲しかった天体望遠鏡」というHPの「レトロ望遠鏡資料館」にある1975年のアストロのカタログを見ると、Or9の価格は6,500円とのことなので、それより少し前の時代のものだと思われる。

 AH40とK25について接眼部側を外してみると、本体の筒の部分の厚みが異なっているのが判る。


 接眼側を外したところ。K25の筒の部分の厚さは、現代では見られないものである。古い興和の接眼鏡にも、同じタイプのものがあったのを思い出す。



 本体の筒を上下反転したもの。筒の部分は、同じく薄いことが判る。

 昔、天体望遠鏡はデパートや眼鏡店で高額商品として売られていたことから、このような立派な箱に入れられていたのだと思うが、紙や布は湿気を含む材料なので、保管場所に気を付ける必要があったことだろう。


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