■何気ない形態作り分け
今月号の雑誌「とれいん」の特集に取り上げられているのが本日お題の京阪大津線600形。
600形の更新改造の経過や種車による形態差など詳しく載っており、本人としては“買い”であった。
▲とれいん9月号
2両編成の600形は1C8Mのユニット制御で、なんと回生ブレーキ付き。
これは京津線の急勾配を走っていた証。
坂本方が奇数車、石山寺方が偶数車となる。
因みに、大津線では琵琶湖側が湖(うみ)側、比叡山側が山側となるが、社内では湖(うみ)側をA側、山側をB側と呼称しているとのこと。
改造更新の種車と時期により1次から4次車に分類されるが、模型的な形態差としては、1次、2次、4次の3種に大別できそう。
タイミングを合わせたかのように、先日、鉄コレからその600形のラッピング車が発売されたのだが、なんとこの発売により600形のその3種の形態分けが揃ったことになった。
・鉄コレ第17弾の600形2次車
・事業者販売の特急色600形1次車
・一般販売の鉄道むすめラッピング600形4次車
というバリエーションである。
最新のラッピング車のパッケージはなんとスケルトン仕様。
▲裏側からも中身が見える
まさに裏を返せば、これはトミーテックとしてはかなりの自信作という証か?
せっかく出そろった600形バリエーションなので、一気にN化して転がしてみた。
え~
先に書くと…
まず、T車となる台車に金属車輪を入れると、転がりが非常に渋い。
どうやら、台車枠裏のピボット軸受となる穴の深さが足らないようである。
これは製造時期の異なる3種に共通したことであった。
レールに載せても一応走るが、ここは穴を深くすることにした。
0.4㎜ピンバイスを中心に当て、ざぐるように円錐状に回転させる。
折れないように慎重に!
これにより、車輪はくるくると回るようになった。
そして、奇数車のライトケース上には無線アンテナを後付けするのだが、そのためにはガラスパーツをすべて撤去しないとならない。
その取り外しが大変!側面ガラスが下手をすると割りそうである。
なので、裏側にあるガイドからの穴あけは止めて、外側の推定した位置からの穴あけに変更。
幸い、設置場所が限られていたので、可能であった荒業ですが…
次にいいこと。
前面の作り分けは平面ガラスとパノラミックウィンドウとできちんと作り分けされて、なかなか実車の雰囲気を醸し出しています。
細かいこと言うと、平面ガラス車とパノラミック車とでは隅柱部の車体Rの大きさが異なり、パノラミック車の方がガラスに合わせて大きくなっているのだが、鉄コレではそこまで差を持たせていない。
鼻筋も1本通っているが、これはNスケールでの表現自体が困難。
という違いがあるにも関わらず、違和感ないのは模型的には優れているということか。
実車の形態差は妻面に及ぶのだが、ここは見事に消化。
模型的には目立たないけど…
台車の造形もお見事。
特徴である軸箱両側の積層ゴムもきとんと積層されているように何気に表現されていた。
ここはぜひ、フラットブラックで色差しかな…
▲各車のお面形状
左から平面ガラスの1次車、パノラミックウィンドウの2次車と4次車
▲各車の妻面形状
左から丸屋根の1次車、丸妻の2次車、切妻の4次車
▲大津線開業100周年を記念して’12年に特急色に塗装変更された603F
平面ガラス車の特徴である強調された細面顔がよく表現されている
こればかりは幅が決まっているBトレでは表現の難しい領域
▲パノラミックウィンドウとなった2次車
17弾に含まれたこいつだけは旧マークと社紋が印刷された仕様
この609Fは現在「中2病…」ラッピングになっているが、
609号車の山側中央あたり乗って、窓から顔を出して下を見ていたら捕まるだろうなぁ…
▲ラッピング仕様の4次車619F
台車の軸箱周辺を眺めるとゾクゾクしてしまう
もちろん肝心の印刷はそれほど厚さやドットも目立たず、ずれも無く、ほぼ完ぺきでしょう
離合する600形
よく考えると、この旧特急色も本線にはもうなくなり、ここ大津線でのみになってしまったのかな…
大津線はラッピング大流行だが、この特急色カラーだけはなるべく存続してほしいと思う。