銀嶺の人
2018年05月16日 | 本
新田次郎の小説、銀嶺の人を読んだ。
文庫が手元にあるのだが、少し古い本。
医師で登山家である今井通子は、マッターホルン、アイガー北壁、グランドジョラスなどヨーロッパ三大北壁を登摩した人で知られている。
駒井淑子(今井通子)と、若山美佐子(若山美子)という実在の人物を題材にした小説だった。
この小説で、若山美子という女性登山家のことを始めて知った。
マッターホルンを今井通子と女性として世界で初めて登摩された女性だ。
その後、登山のかたわら、鎌倉彫の技術者として活躍されている。
表に出ることがとても嫌いで、マッターホルン登摩後の取材が嫌で、純粋に氷壁を登る事だけが好きだったという。
小説では若山美子さんは、新婚旅行のマッターホルンで落雷による死亡になっているが、実際は、夫ともに墜落死された。
氷壁を登る技術とういうのは大変だし、生まれ持った才能というのもあるのだろう。
読んでいて、ザイルやカラビナ、ハンマーなどそれを駆使して登っていく様子が彷彿される。
学生時代、山岳部に属し、北海道小樽の赤岩というところで、岩登りの訓練を何度かしたことがある。練習中落ちてしまい、ザイルで確保されていたので、何事もなく無事だったが、自分にはできないとすぐに感じた。
アイガー北壁直登ルートの隊長だった加藤滝男さんは、現在、スイスで山岳ガイドをされている。加藤保男氏の兄。
小説では、隊長だった加藤滝男氏が今井通子に振られてしまうのだが、その辺の話は、新田次郎のフィクションだろうけど、久々に本格的な山岳小説を読めて楽しかった。