茶山守廣・隠岐三味線ブログ

名残尽きぬに 銅鑼が鳴る今宵

西郷港は 小雨も降らぬに 袖しぼる

        (隠岐民謡・しげさ節)

松直し

2010年01月04日 | 気まぐれ日記
隠岐に古くから伝わる「松直し」の行事は毎年正月の2日に行われる。
其々の漁船が大漁旗を掲げ、颯爽と沖に漕ぎ出すさまは今や正月の風物詩でもあり、漁業に従事している人たちにとっては云わば船の出初式でもある。
漁獲量の減少や燃料費の高騰などが叫ばれる昨今ではあるが、古来より豊かな海の恵みと共に生きてきた隠岐の島、漁業が町の経済を支配してきた部分もありました。

そもそも松直しという言葉の由来は、漁船のマストに注連縄と松の木の枝を括り付けて船を清め、今年一年の豊漁と航海の安全を祈願するのだが、航行中に注連縄や松の木が斜めに傾いたりすると、真っ直ぐに直すことから「松直し」と呼ばれるようになったそうだ。

以前は漁船を何隻も所有している船主の家では、身内や船員を自宅に招き景気づけに三味や太鼓で大盤振る舞いをしたそうだが、最近では世相を反映してか静かな松直し行事へと変わりつつある。
時代は変われども漁師町に古くから伝わるこのような伝統行事は、未来永劫いつまでも続いていって欲しいものである。