じぶんの足でたつ、それが教養なんだ

「われこそは」と力まないで、じぶんの歩調でのんびりゆったり歩くのがちょうどいい。

主流ではなく傍流に、中心ではなく周辺に

2006-11-18 | 随想(essay)
 「大事なことは主流にならぬことだ。傍流でよく状況をみていくことだ。舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落してしまう。その見落されたもののなかにこそ大切なものがある。それを見つけてゆくことだ。人の喜びを自分も本当に喜べるようになることだ。人がすぐれた仕事をしているとケチをつけるものが多いが、そういうことはどんな場合にもつつしまねばならぬ。また人の邪魔をしてはいけない。自分がその場で必要を認められないときは黙ってしかも人の気にならないようにそこにいることだ」
 これはだれのことばでしょうか。日本資本主義の父といわれた渋沢敬三の言です。これを終生、みずからの生き方になぞらえたのが宮本常一だったといえます。
 「財界でも学会でも中心に居てはいけない。いつも少しはなれたところに居るべきだ。そうしないと渦の中に巻きこまれてしまう。そして自分を見失う」
 「日本文化をつくりあげていったのは農民や漁民たちだ。その生活をつぶさに掘り起こしていかなければならない。多くの人が関心をもっているものを追求することも大切だが、人の見おとした世界や事象を見ていくことはもっと大切だ。それをやるには、君のような百姓が最もふさわしいし、意味のあることだと思う」